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スタッフも馬から学び、子どもの関わりに活かす

 私やスタッフたちは、毎日のように馬に関わり続けています。エサやりや馬の移動、馬の部屋の掃除などルーティーンで日々行う作業と馬の調教として馬の運動を行っています。ルーティーンの作業は、同じことの繰り返しですが、馬は言葉を話すわけではないので、こちらが馬の状態を観察して、変化や異変に察知する力が求められ、養われます。日々、同じ作業を繰り返す中で、その日の自分の身体や心の状態を確認することが出来ます。
 馬の運動として、主に乗馬や調馬索等を行っています。調馬索とは、馬場の中で長いロープを付けて人が中心に立って、その周りを馬が円を描くように、歩かせたり走らせたりします。調馬索をする際には、内面の気持ちの上げ下げ、馬の動きに即座に反応して身体を変化させる、馬に対して強く要求するだけではなく、こちらの要求に対して適切に答えてくれたらプレッシャーを解放してOKを出す(馬を認める)。要求が伝わらない場合には、意図的に段階的に要求を強くしていきます。自身の心と身体をつなげて、今ここに集中して、向き合う必要があります。馬からの反応としてのフィードバックもありますし、スタッフ同士でも気付きを伝え合いながら、馬との関係を深めることを続けています。

 馬と関わり方は、そのまま子どもとの関係づくりに活かせます。例えば、子どもの言葉にならない身体の変化に気付く。自分の身体や心の状態を知覚し、裏表なしに、こちらの気持ちを伝える。など、馬から身体的・感情的な力を養われて、それが子どもへと伝わっていきます。これはスタッフだけに限らず子どもたちにも同じことが言えますが、最初は、馬となかなか上手くコミュニケーションが取れません。馬との関わりを積み重ねていくと、できることが増えて、自分の成長を実感できます。それが、その人の何かやってみようという自信にもつながり、自ら新しい企画を提案して、実行するという意欲も生まれ、組織の活動も広がっていきます。

 近年、生成AIが台頭し、将来は多くの仕事や現場でAIがそのパートナーになります。その際に、求められる力が、情報や知識を使いこなすことのできる上記の身体的・感覚的な力です。このように、時代の変遷の中で、自然体験の意味を定義し続けることで、持続的な取り組みとして、社会から求められるものになると考えています。

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