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『現代版ふるさとの菓子』

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昭和期に活躍した俳人「中村汀女」の句集『ふるさとの菓子』に倣って、現代の様々なお菓子を取り上げて短いエッセイと俳句を1つ書きます。更新は不定期ですが月に2、3度できればいいかなと…
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『現代版ふるさとの菓子』ハーゲンダッツバニラ

『現代版ふるさとの菓子』ハーゲンダッツバニラ

 よく辛党の人は甘いものが苦手、甘党の人はお酒が苦手と言われます。しかし私は甘いものもお酒も大好き。いわば中道、無所属です。

 そんな私が週末の楽しみにしているのが、ハーゲンダッツのアイスクリーム。売り場には色んな味がありますが、やっぱり外せないのがバニラです。皆さんもお好きでしょう?
 
 もちろんアイスそのままでも充分美味しいのですが、私はここに一工夫加えます。ラム酒を少しかけるのです。前述

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『現代版ふるさとの菓子』トラウベンシュトゥルーデル

『現代版ふるさとの菓子』トラウベンシュトゥルーデル

 トラウベンシュトゥルーデル。舌を噛みそうになるこの名前。お気に入りのにしむら珈琲の新メニューです。いつものオペラにしようかとも迷いましたが、期間限定の強みと何より一緒に盛られているクリームに負けてしまいました。注文に際しては噛まないように何回か練習してからホールスタッフを呼び、「え〜、コーヒーと、トラウベンシュトゥルーデルを」。キマった。

 この長い名前のケーキ、「トラウベン」がドイツ語でブド

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ふるさとの菓子『塩味饅頭』

ふるさとの菓子『塩味饅頭』

 この度、初めて赤穂を訪ねてきました。というのも、よくJRの新快速播州赤穂行というのを利用するのですが、その播州赤穂というところに一度も行ったことがないので、一度は行ってみようかと思い立ったのです。
 さて電車を乗り継ぎ西へ西へ。やっとのことで赤穂の街に降り立つと、そこはまさに忠臣蔵一色。駅の構内には義士たちの絵が掲げられ、駅から真っ直ぐ行けば義士ゆかりの城、その周りにはゆかりの長屋、ゆかりの井戸

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『現代版ふるさとの菓子』にしむら珈琲のオペラ

『現代版ふるさとの菓子』にしむら珈琲のオペラ

 サントスに続いてまた神戸の喫茶店を取り上げます。今回語るのは神戸を中心に展開しており、根強い人気を誇る「にしむら珈琲」です。ここで美味しいのはコーヒーはもちろんのこと、一緒に食べるケーキがまた絶品なのです。私はこのケーキを目当てに通っています。定番商品から季節ごとの限定品までどれにしようか毎回迷ってしますが、やっぱり一番のお気に入りは「オペラ」です。
 オペラとは、チョコレートガナッシュとコーヒ

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『現代版ふるさとの菓子』元町サントスのホットケーキ

『現代版ふるさとの菓子』元町サントスのホットケーキ

 コーヒー。神戸はコーヒーの街と言われます。コーヒーが日本に初めて持ち込まれたのが神戸だからだそうです。そのためか三宮、元町エリアにはカフェや喫茶店がたくさんあります。もちろん有名チェーン店も多いですが、よくよく探すと古めかしい純喫茶も多く見つかります。神戸は洋菓子文化が盛んなだけに、お菓子と一緒に頂くコーヒーも地域に根ざして洗練されているのでしょう。

 今回訪れたのは元町商店街の喫茶店「元町サ

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『現代版ふるさとの菓子』ミスドのエンゼルクリーム

『現代版ふるさとの菓子』ミスドのエンゼルクリーム

ミスドに行くと必ずガラスケースの前でどれを選ぼうかうんうん悩み込んでしまいます。意を決して2、3個を選び取るのですが、その中でもエンゼルクリームは絶対に欠かせません。

 まず私にとって甘いものと言えば第一に「クリーム」なのです。高校生の頃無性にホイップクリームが食べたくなり、スーパーでケーキ作り用のチューブのホイップクリームを買ってきて一人で1本食べたことがあります。皿に直接絞りだし、スプーンで

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『現代版 ふるさとの菓子』序文

『現代版 ふるさとの菓子』序文

 「中村汀女」(なかむらーていじょ)。大正、昭和に活躍された有名な俳人で、現代に読み継がれる名句を残れた名人です。

 日々の生活の中に多く題材を見出だした汀女の作風は、卑近なものばかりを扱い平凡でつまらないとして「台所俳句」と批判されることもありました。しかし彼女は「私はちっとも気にしなかった。私たち普通の女性の職場ともいえるのは家庭であるし、仕事の中心は台所である。そこからの取材がなぜいけない

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