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マガジン

  • けれちゃんの夏休み

    人生最後の夏休み

  • 仕事したくない

    安心して働きたいだけなんだ、私は それだけのことがどうしてままならない

  • 自家中毒

    ご覧、あれがみっともなく生きるということだよ

  • 身勝手な楽園

    五月

最近の記事

PERFECT DAYSよかった

※観てから読んでね! ネタバレ大丈夫なら先に読んでもOK ・裏監督にジャームッシュいる(参照『パターソン』)(実際にはいません) ・でもやっぱヴェンダースだよな。こういう終わり方は圧倒的にヴェンダースだよな ・『ベルリン・天使の詩』のラストをすごく思い出す。泣いちゃった ・人間は孤独でありながら決して孤独でない、人生は寂しいようであたたかい ・役所広司主演 ・主演ってかほぼ全部役所広司 役所広司😭😭😭😭😭・けれどもは役所広司のことが若干人生に食い込んでるレベルで好き ・

    • 12月の日記

       やけに仕事が忙しく、もの思いをする余裕もないまま日々を過ごしている。  忙しいと言っても本当の意味で実務のキャパシティを超えているわけではなくて、だから「忙しい」と語るのも本当は憚られるところだ。日々の中で、精神のバランスを保つのに浪費している時間がものすごく増えた。例えば食事の量が異常になっていたり、早い夕方から酒を入れようとしたり、煙草の本数が如実に増えていたり、金遣いが荒くなってしまっていたり。どれも致命傷だ。死に近づくような状況に、仕事によって、追い込まれている。

      • テイラー・スウィフト「Love Story」の歌詞がすごかった

         ひょんなことから年末のインターネット・カラオケ大会(※)が企画され、それにお招きいただいたので、何を歌おうかなあと考えながら日々を暮らしている。  それで、最近「アヴリル世代であった自分を克服したい」という謎のモチベーションから狂ったようにテイラー・スウィフトを聴いている私は、大会参加者にもこの入り組んだ文脈によるテイラー履修の成果を聴いてもらおうと、若い頃に流行っていた「Love Story」という曲を歌えるところまで持っていこうと画策した。行動選択のすべてが謎に満ちて

        • 漢方薬で鬱が治った

           漢方薬で鬱が治った。なんと甘美な一文だろう。  医学的にはまったく適切でない表現なのだろうが、病者の実感としてこう言うのが最もしっくりくるのだ。  朝、寝起きに水を飲んで、おいしい水が体の先まで染み渡る心地が気持ちよくて、「寝起きのエヴィアンうめ〜」というツイートをした。  寝起きの渇いた体に水が美味しい。この、ごくごく普通の日常を、私はようやく今日、半年ぶりに取り戻したのだった。  寝覚めに飲む水を美味しいと感じていることに感動している自分が、しばらくの間、どれだけ「生

        PERFECT DAYSよかった

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        • けれちゃんの夏休み
          6本
        • 仕事したくない
          5本
        • 自家中毒
          9本
        • 身勝手な楽園
          3本

        記事

          子を持たない

          紆余曲折あって、子を持たないことに決めた。 何年も何年も、この女体の生産性の最たるものである妊娠と出産について考え続けてきた。 生理の苦痛は、やがて子を産むことで昇華される痛みなのだと思ってやり過ごすしかなかった。私は幸いにも生理痛が重い方ではなく、痛みを我慢すれば社会生活を過ごせる程度の肉体を与えられて生きてきたが、それでも、月に一度、苦痛をともないながら股から多量の出血があることは、そこに何かしらの意味を見出さねばやりすごせないことだった。 妊娠可能な女性として生まれた

          子を持たない

          文学全集を読みますか?

           田舎の丘の上に聳え、築五十年を超えるやや鄙びた実家には、函入りの世界文学全集、日本文学全集、ノーベル文学賞をあつめた全集、それに書道全集もあった。書道全集は、定年後に書道の先生をしていた祖父が買い揃えた。文学全集の方は、老いてなおお嬢さんである祖母が。ドストエフスキー。カフカ。魯迅。オースティン。タゴール。ジョイス。森鴎外。島崎藤村。武者小路実篤。川端康成。それぞれの名前は箔で押され、彼らの生命を削って生まれた物語は立派な緋色の箱に収まり、日の当たらない応接間の艶やかな桐の

          文学全集を読みますか?

          夏休みの日記 6週目

          8月4日(水)夏休み35日目 そんなに眩しくない晴れ7:00起床。 9:30の新幹線に乗るべく余裕を持って出かけるも、肝心のチケットを予約してあるSuicaを忘れて取りに戻る羽目に。 「あなたはちょっとうっかりなところがあるよね。以前は意外でしたが、だんだん慣れてきました」と親しい人。 そう、私は本来忘れ物をしがちなぼんやりおっとりした子なんですけど、人前では気合と知性で抜けているところを隠していて、しっかり者に見えるでしょう? ふふ……。一人のときは本来の自分に戻ってしまっ

          夏休みの日記 6週目

          夏休みの日記 5週目

          7月29日(木)夏休み29日目 涼しい風が吹き抜ける9:00起床。肌の調子が悪すぎる。 ・《宇佐美圭司 よみがえる画家》展 11:00〜11:15 お甦りになられたのでしょうか……。 装画に使われた本たちを見て、使われると古びるな、と思った。 ・コーヒーゼリー 11:15〜12:30 ロラン・バルト『恋愛のディスクール』(三好郁郎訳、みすず書房、1980) (あの人の顔と身体のすべてを、わたしは冷静にながめていた。睫毛、足指の爪、細い眉、薄い唇、眼の輝き、特定のほくろ、

          夏休みの日記 5週目

          夏休みの日記 4週目

          7月22日(木)夏休み22日目 快晴7:00起床。 昼夜逆転是正大成功。昨日1日を犠牲にした甲斐を見出せる。自尊心も上々。 企画のことを考えながらだらだら二度寝したら褒められる夢を見たが、内容はすべて忘れた。8時から活動開始。 ・英語 9:00〜11:30, 13:00〜14:00 20日間一切手をつけなかった英語にようやく着手。 まずは試しにリーディングの問題を解いてみるも、20分で解き終えたい大問に40分かかっちゃった。文中の単語が1割くらいわからなくて、受験期に覚えた

          夏休みの日記 4週目

          夏休みの日記 3週目

          7月15日(木)夏休み15日目 厚い曇り10:00起床。 夜型になりつつあって気がかりだが、夏休みだしまあいいや。 大人になってから自分の怠惰を許しがち。 ・朝昼食 11:00〜13:00 ブロッコリーを食べて、パンの切れ端にバターをのせて食べて、IKEAで家族が買ってくれたベジボールを7つ食べる。 夏休み2週目のおわり、日記を書き続けるかどうか悩んだが、書かなければ自分が前日の午後に何をしていたかすらさっぱり思い出せないことにこの記事を書いていて気づき、絶句。綴っていてよ

          夏休みの日記 3週目

          夏休みの日記 2週目

          7月8日(木)夏休み8日目 曇り、時々霧雨8:30起床。ちょっとずつ是正できている。 だらだらと朝を過ごしていたら、不意に早稲田松竹でヴィスコンティをやっていることを思い出す。 10:30時点でチケットがあと50枚しかないとのことで、大いに焦りながら支度と移動。焦りすぎてサンダルが壊れた。 ・国語 11:30〜12:45 望ましい席のチケットを無事確保し、近くのスタバに移動。 久しぶりに飲むコーヒーは刺激が強くて舌が拒否してしまう。トールサイズも飲みきれない。 映画が始まる

          夏休みの日記 2週目

          夏休みの日記 1週目

          7月1日(木)夏休み1日目 雨のち曇りのち雨11:35起床。 昨日はパンドラの箱を開いて体力を消耗したから目覚めの悪さは仕方ない。 朝の国語の時間は夜の自由時間に移動することにして、だらだら身支度。 ・英語 14:00~16:00 クローゼットをひっくりかえして大昔に買ったTOEFLの教材一式を確保。 今回の英語学習の目的は使える英語を準備しておくことなので、模試でだいたい80くらいスコアできるようになればよしとする。 今日は教材を満遍なくさらって今後の勉強方針を決める日に

          夏休みの日記 1週目

          仕事したくない(終)

           ついに最終回を迎える「仕事したくない」シリーズ。本来は人一倍気丈で空気も読めず根性だけはあるはずのけれどもさんが会社から理不尽な仕打ちを受け続けて次第に憔悴していく姿が本当にかわいそうでしたね。オーナー会社の古い中小企業はだいたいこんな感じなので、できれば就労は避けたほうが吉です。気をつけてね。  前回の「せずにすむとありがたいのですが」ではもう抵抗する力すら残っていなかったけれども。最終回、はたして救済はあるのか? 前回までのあらすじ ・外面のいい老舗ブラック企業に勤め

          仕事したくない(終)

          せずにすむとありがたいのですが

           COVID-19を受けて(と言うにはあまりに理不尽な方針転換で)会社の労働環境が壊滅的なものとなり、この半年でもともと40名ほどしかいなかった社員のうち14名が自主退職した。社員の35%がこんなにも一気に退職したのだから、普通なら社長が経営責任を問われて退くべきところなのだが、勤め先はオーナー企業の悪いところを煮詰めて固めて腐らせたみたいな企業なので、そういうことにもならない。  退職者のうち87%が私と同部署で働く者で、うち課長クラスが3人辞めた。有能な人から順に辞めた。

          せずにすむとありがたいのですが

          黒豆

           先日、初めてのロボット掃除機を買って、黒豆という名前をつけた。  自分が楽をするためにお金を使うのが苦手である。ロボット掃除機なんかその最たるものであって、贅沢品に分類していた。ずっと憧れていたが、身の丈に合わないという唯一かつ強固すぎる拒絶反応が購入を阻んでいた。「私なんかが楽をしてはいけない」という強烈な自己卑下の強迫観念。  食べ物も、賞味期限が切れかけてからでないと安心して手を着けられない。賞味期限が切れて「贅沢品」から「よくないもの」になってからじゃないと、自分

          crane.

           妹のように可愛く思っているひとが26歳の誕生日を迎えるのだという。孤独に苦しんでいる私の姿をみて、切ない声で「私もあなたの家族になりたい」と言って、この果てしない痛みをみずから引き受けてくれようとした彼女を天恵のように思う。大事な人を大事にしたい。彼女の歳の頃によく通っていた店に予約をとって祝いの席を設けた。着席すると、夕闇の窓の外で大きなオリーブの樹が茂っている。  細かな雨が降ったり止んだりするのが少し心細い、秋の入り口の金曜日の19:30。少し肌寒い、夜はすっかり暗