マザー・テレサから学んだ他者に捧げる心
ジョージアのトビリシから4本のバスに乗り、4回国境を越えて、3回時計の針を直し、北マケドニアのスコピエへやってきました。
日本人にとって、北マケドニアという国もスコピエという地名も聞き馴染みがないでしょう。僕自身も、まさかこの国に訪れることがあるなんて思ってもいませんでした。
スコピエは首都であり、この国最大の都市です。しかしながら、主にこの国を訪れる観光客の多くは、南西部の景勝地オフリドに向かいます。日本人の知名度は違うもののフィリピンのマニラとセブの関係性に似たものを感じます。
一昨日の夜、初めて着いた時に感じた怪しい街は、明るい時間に訪れてもなお怪しい街でした。
そんな雰囲気にゾワゾワした面白さを感じつつも、あの偉大なる人物の生まれ故郷と知り、また違った感覚を持つようになりました。
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今から60年前、大きな地震によって甚大な被害が出たスコピエの街は、政府主導の震災復興を進めることになりますが、その都市計画を担ったのが、あの丹下健三です。
近代建築の三大巨匠の名前をスラスラ言えるくらいには建築に興味のある自分としては、新宿の東京都庁やお台場のフジテレビを設計した偉大なる人物であることがすぐにわかります。
そんな彼がこの街の都市計画をしたそうです。
カザフスタンの首都アスタナ(旧称ヌルスルタン)の都市設計を黒川紀章が行った、ということを以前カザフスタン大使館の人から伺ったことがあります。
他にも、外国に日本人が設計した都市があったことに驚きを感じつつも、地理や建築好きな自分がその事実を知らなかった無学さに悔しい気持ちもありました。
そんな丹下健三が設計した街は、コンクリートでつくられた豪快さが目立ちます。
ジョージアの地方都市やアルメニアのエレバンで感じたものと似た雰囲気があるため、これが共産主義の遺産なのかと勝手に感じている自分がいます(本当のことは知らない)。
実際、この街に着いた時の最初の印象が、ジョージアのクタイシやゴリに近いものがあり、どこか懐かしさすら感じてしまいました。
建物のひとつひとつが大きく、しかもヨーロッパにあるような建物とそっくりです。
加えて、やたらと目立つ銅像の数々。正直誰なのかわからないし、こんなに必要なのか、と思ってしまいますが、偉人を讃える文化があるのは良いことだと、自分なりに解釈することにします。
ジョージアで散々カオスなところを見てきた自分でも、スコピエのさらに斜め上を行くカオス具合には一種の面白さすら感じてしまいました。
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そんなカオティックワールドのスコピエは、とある偉大な人物の出身地であることが知られています。
それはマザー・テレサ(Mother Teresa)。貧しい地域で病気に苦しむ人々を解決するために、自分の生涯を捧げて援助を行い、ノーベル平和賞を受賞するなど、クリスチャンを中心に世界中でリスペクトされている人物です。
僕は小学生の頃、道徳の授業でこの人について学んだことをうっすら覚えています。人のために自分を尽くすことの尊さを知り、人のために手を差し伸べたいと思ったものです。
インドで活動しているイメージが強かったため、インドの人だと思い込んでいましたが、実は生まれてから18歳まで、スコピエで生活していたそうです。
スコピエの中心・マケドニア広場のすぐ近くには、マザー・テレサ記念館があります。ここでは、マザー・テレサの軌跡をたどることができます。
若い頃のアグネス(本名)のこと、インドに渡ってからのこと、生涯貫いた精神。マザー・テレサが如何にして世界中で尊敬される人物になったか、断片的にですが感じることができます。
また、記念館の中には小さな礼拝堂もあり、神聖な心を実感することができます。
マザー・テレサについて、今までは遠い場所にいる偉大な人、といった印象しか持っていませんでした。
しかし今回、彼女の軌跡をたどり、自分なりに落とし込んでいくことで、人間が生きる目的のようなものを感じていきました。
僕は資本主義や競争社会の中で生まれ育ってきて、まずは自分が勝ち上がる、ということばかりを考えてきました。今でも上昇志向は強くあり、仕事がうまくいかなくて悩んだことは何百回とあります。
そういった志が悪いとは思っていないけれど、何か大事な心が抜け落ちている感覚も持っていました。
そもそも人は一人では生きていけない、人は愛なしでは生きていけない。
僕はクリスチャンではないけれど、キリスト教の教えにある「隣人愛」を
身をもって捧げたマザーテレサの精神には感服しかありません。
まずは目の前にいる人を大切にし、次に貧しい人々や社会的に立場の弱い人に手を差し伸べる。今まで自分が周囲の人たちに支えられて生きてきたように、次は自分が周囲の人たちに自分から助けに行く。
この精神を意識することが大切だと思いました。
どれだけ社会が高度化して、AIに仕事を奪われたとしても、人間の尊厳はなくすべきではないし、そういった部分こそこれからも大切にしていきたいと思います。
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スコピエの怪しい街にゾワゾワしていた僕は、マザー・テレサの精神を肌で感じたことで、思わぬ温かい心を意識するようになりました。
旅とは、それまで縁のなかった人や場所と、縁をつくることだと思っています。
ここでつくった縁をこれからも大事にし、自分なりに生きていきたいと思います。それが自分にとって、旅を通して成長できたことだと思います。
スコピエで学んだことを次に活かしていこうと思います。今日は景勝地オフリドへ向かいます。
旅の様子はこちらにまとめています。
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それでは、また明日お会いしましょう!
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