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夜明けの薄暮の空

未明発の飛行機に乗るために、僕はトビリシの市街地からおよそ20km離れたショタ・ルスタヴェリ・トビリシ国際空港に向かった。

既にジョージアは冬に突入しており、寒空の下、凍えながら向かうことになった。

僕はこれから始まる新たな旅を前に、アドレナリンが湧き上がり昂揚した気持ちを持っていた。

イミグレーションを通って飛行機に搭乗する時、広々とした滑走路に吹きさらす冷たい風を感じつつ、これから太陽が登り始める薄暮の空に自然の雄大さを感じた。

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僕は今、ジョージアに拠点を置きつつ、旅行でフランスのパリに訪れています。

昨日、ジョージアの首都・トビリシを出発し、トルコのイスタンブールを経由して、フランスのパリに降り立ちました。

人生2度目となるパリは、7年前に訪れた時よりも少しだけ親しみやすく見え、自分の7年間の成長を感じました。

これから、1週間少々のパリでの滞在、そして次にフランス東部のストラスブールに数日間。最後はドイツ西部のフランクフルトに数日間滞在してジョージアへ戻る予定です。

合計2週間以上の旅を前に、今までしてきた旅ともまた違うワクワク感を感じています。

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出発は昨日の早朝でした。うっすら明るくなっていた薄暮の空の下、トビリシを出発しました。

飛行機の中からは綺麗な日の出が見れました。普段から早起きが好きな僕は、朝の静かな時間にとても神秘的なものを感じます。

みんなが寝静まった中、すでに一日を始められていたり、今日という一日を少しでも長く過ごせていたりする状況が優越感となって僕の気持ちに湧き上がります。

時間を大切にしたい気持ちや、この時間を少しでも楽しく過ごしていたい気持ちを感じ、結果として良い一日を迎えることができると思っています。

だから早朝という時間、特に日の出前という時間は僕にとってのゴールデンアワーなのです。

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夕方の日の入りは、太陽が西の空に沈んでいく様子から「斜陽」や「落日」という言葉を用いて、ネガティブな例えとして使われることがあります。芥川龍之介の『斜陽』も貴族階級の人が堕ちていく物語です。

対して日の出は、「夜明け」という言葉を用い、太陽が東の空から南に向かって登ることから「これから上に上がっていく」というポジティブな例えとして使われることがあります。

そのような文学的な意味も含めて、僕はこの「日の出」(とその時間)がとても好きです。

毎日同じ24時間を過ごしていく中でも、このような自分が好きだと感じられる時間帯、そして時間にしかない自然現象があるのはとても良い事だと思っています。

冬は日の出が遅いけれど、だからこそ朝の時間を大切にしたいという気持ちが強く湧いてきます。

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僕はパリで、多くの美術作品を見たいと思っています。

芸術の都で見るその素晴らしい作品の数々は、きっと僕に深い洞察を与えてくれると思っています。

日本にいた頃から都内の美術館にはしばしば訪れていましたが、パリでは至る所に有名作品があり、その分クオリティも高いものです。だから、そういった作品を見ていくことで世の中の崇高な部分を肌で感じ、自分の勉強にしていきたいです。

そういった作品の中でも僕が一番楽しみにしているのは、マルモッタン・モネ美術館に展示されているクロード・モネの「印象・日の出」です。

18世紀後半に起こった若手画家たちによるムーブメント「印象派」の名前の由来になったとも言われる、印象派を代表する作品は、海の向こうの薄暮の空に浮かび上がるオレンジの太陽を描いています。

モネが強く信じた自然のあるべき描き方を実践した作品は、当時は強い批判を受けたものの、今や広く大衆からの評価を受けています。

そんな作品をこの目で見たいと思っています。

モネは「睡蓮」を始めとした連作(同じ自然空間を時間を変えて、何枚も描くこと)が有名で、日本にも多くの作品が展示されています。しかし、この作品はモネの初期のものであることから、連作とはなっておらず、かつモネの作品の中ではまだ荒削りなものです。

しかし、それこそその名に相応しく、モネの「日の出」期に描かれている貴重なものだと思っています。

この旅の中で、この作品を見ることをひとつ自分の中のミッションとしています。

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日の出、そして「印象・日の出」。

僕の中でひとつ点と点が結びついた感覚があります。これから自分で仕事を始めていく、というフェーズに立ち、僕の中でひとつのテーマが生まれたような気がします。

僕と関わる人達が上に行けるように、僕自身が仕事を通して上に行けるように。

僕は常に成長を感じていたいし、未来が明るいと思っていたい性格です。だからこそ、上に行ける=成長できるものはとても価値が高いと感じています。

そんな期待が「日の出」という一事象に含まれている気がします。

このパリの旅で僕はまた新たに、生きる意味を見いだせそうな気がします。


僕のことは以下の記事で紹介しています。

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バナー写真の撮影場所は、空の上。

それではまた明日お会いしましょう。

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