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成長するなら、仕事量は「8割」がいい理由

新卒1年目のころ、ぼくの直属の上司だった副社長から「仕事の量は8割にするんだよ」と教えてもらいました。

「かしこまりました!」と口では言ったのですが、ぶっちゃけ当時はあんまり意味をわかってなかったです。

「腹八分目」の仕事バージョンみたいな感じで「ほどほどがちょうどいいよ」くらいの意味かと思っていました。


真意を理解してなかったので、副社長からのアドバイスを無視して、その後もタスクを詰め込みまくる日々。(副社長すみません)

「圧倒的な成長をするには、とにかく量をやるしかないんだ!俺はそのためにベンチャーに入社したんだ!」と、鼻息を荒くしていました。


ただ、当時から1年以上がたってようやく「いまの自分なら、こういうふうに解釈できるかもな」と思うことが増えました。

たぶん当時の副社長の真意を、まだ100%理解できたわけではないのですが「ぼくはこうやって"仕事8割"をとらえるといいのかも」の整理として、書きます。


仕事はあとから絶対に増える

最初にもう結論の7割くらいを言ってしまうと「仕事量が8割」というのは「その時点で確定している仕事量が8割」なだけであって、絶対に仕事はあとから増えるんです。

たとえば毎朝、だいたいの人は仕事を始めるまえに「きょうのタスクはこれとこれだな」みたいな感じで、予定をたてますよね。

頭のなかだけでやる人もいるでしょうし、タスク管理ツールや手帳などを使っている人もいると思います。


やり方は人それぞれでいいのですが、そうやってその日の仕事をはじめても、絶対に、もう絶対に、仕事は急に増えるんです

たとえば2日前に上司へ提出した資料のフィードバックが返ってきて、それの修正が必要になったり、新しい打ち合わせの日程調整をしたりと、もう「集中力」と「時間」と「工数」の仕事リソーストリオが、突如として奪われていきます。


ちなみにぼくの場合、いま個人事業主としてひとりで活動しているので、営業や制作、経理などすべての役割を担っています。

だからたとえば「きょうはこの記事を書こう!」と思って執筆している最中に、メッセンジャーで新しいお仕事のご相談をいただくこともあるんです。

ご相談いただい人に詳細をヒアリングしたり、要件に近い執筆実績を探して共有していたりしたら、平気で1時間くらい経ってしまうこともあります。

結局、朝の時点で8割だったはずの仕事量は、夜に振り返ってみるとちゃんと10割くらいになっているんですよね。


仕事は想定よりかかるもの

あとほかの「仕事量を8割にする理由」に関して、これは経験則にもとづくぼく個人の法則なのですが、その仕事にかかる時間は、95%以上の確率で見積もりより増えます

たとえば「この仕事は1時間くらいで終わるかなあ」と思ったものは、だいたい1時間半くらいかかるんです。2時間のこともあります。

その根本的な要因は、単純に「ぼくの時間の見積もりがあまい」からです。

ではどうして見積もりがあまくなってしまうのかなと考えたら、たぶん3つくらいあるなと思いました。

1.すべてがパーフェクトにすすむと仮定しているから

1つめが「すべてがパーフェクトにすすむと仮定しているから」です。

たぶん、1時間で終わると思っていたものが、ぜんぶがパーフェクトに進んだらちゃんと1時間で終わります。当たり前ですけど。

でも絶対に、ものごとがぜんぶ完璧にすすむことなんてありえません

途中で新しい調べものをする必要が出てきたり、じつは根拠にしていたらデータの算出方法がまちがっていて、計算しなおす必要がでてきたりと、想定外のことが起こることを想定しておく必要があるんです。

2.ずっとパーフェクトなコンディションだと仮定しているから

2つめが「すべてがずっとパーフェクトなコンディションだと仮定しているから」です。

多くの場合、そのタスクにかかる見積もり時間を考えるときは「コンディションがいいとき」だと思います。

朝のまだ体力も集中力もあり余っているときだったり、打ち合わせ直後で「よし!この新しい施策を絶対に成功させよう!」と思っているときだったりするはず。

ぼくの場合、その「このままのいい感じの調子」がずっと続くと仮定して、見積もりをたてていたのだなと気づきました。

でもそんなこと、絶対にありえないんですよね。

人はかならず眠くなるし、お腹は減るし、集中力も切れます。

そうなると、1時間で終わると思っていたタスクは、1時間半かかっちゃんです。

3.他人からの期待に応えたいから

3つめの理由は「他人からの期待に応えたいから」です。

たとえば、上司から「急で申し訳ないんだけど、この仕事いつくらいまでにいけそう?」と聞かれたら「今日中にいけます!」って応えたくなってしまいます。

「期待」は原動力になるので、それ自体はすばらしいのですが、それが過剰になると、どこかで無理が生じます。

「今日中にいけます!」と言って、その日の夜に「すみません!やっぱり明日でも大丈夫ですか?」となるくらいだったら、最初から「明日の12時までにできます!」と伝えておいたほうが、上司もそれに合わせた心づもりや準備ができるぶん、上司のためにもなるなと気づきました。


仕事を詰め込みまくっても、あんまり成長につながらない

ここまでは「仕事量を8割にしても、けっきょく10割になる理由」について書いてきました。

ただ1年前のぼくは「100%」どころか「120%」くらいがちょうどいいと思っていたんです。

キャパオーバーに対応しようとして、ガシガシ働く原動力になったり、仕事が早くなったりすれば、もっと成長しやすくなりそうだなと思っていました。

でも最近は「120%にしても、仕事あんまり早くならないし、働く時間が増えるわけでもないし、そんなにいいことないかもな」と思うことが増えています。

(もう少し厳密に言うと、120%にしたことによるメリットとデメリットを比べたときに、デメリットのほうが大きいなと思うことが増えています)

「仕事量を120%にしても、そんなにいいことがない」理由も、だいたい3つくらいあると思いました。

1.ずっとパーフェクトなコンディションでいることは無理だから

これはさっきの「見積もりがあまくなる」理由とおなじです。

仕事がつまってくると、その一瞬はめっちゃ興奮します。

「おー!やってやるぜ!」って。

でも繰り返しになりますが、やる気って桜くらいはかなく散っていくんですよね。

だから仕事量を120%にしてやる気を高めても、けっきょくあんまりその後の原動力にはなりません。(※ぼくの場合)

2.やる気が上がってもスキルが上がるわけではないから

さっき「仕事がつまってきたときに一瞬だけやる気が高まる」と書きましたが、あとほかにも、やる気の高まる瞬間があります。

「締切の直前」です。

締切の間際になると、めっちゃ集中力が高まります。

でも「集中力が高まること」と「アウトプットの質が上がること」は、別問題なんですよね。

なぜならば、集中しても別にスキルが高まるわけではないから。

集中してスキルが高まるなら、たとえば野球選手は試合で全員ホームランを打てるし、フォワードのサッカー選手は、全員ハットトリックを決められると思います。

感覚的に「集中力が高まる」とは「100%のスキルを発揮できる時間が長くなる」と表現するほうが近いです。

だから「その仕事にかかる時間が短くなる」という意味で多少の恩恵はあるのですが、ほぼ誤差な気がしています。

「3時間かかるもの」が「2時間50分」とか「2時間45分」とかになることはあるかもしれないですが、それが「1時間」とか「30分」とかになることはありません。

しかもたとえばその2時間50分も「2時間50分で終わった」のではなくて「2時間50分で終わらせた」感覚のほうが近いんですよね。

つまり、その2時間50分のタイミングで締切がきてしまったから、仕方なく提出せざるをえなかったということ。

そうなるともう「これって仕事が早くなったというより、単に仕事が雑になってしまっているだけでは?」という気持ちもありました。

3.もうそれなりに働いていたから

最後3つめの理由は「もうそれなりに働いていたから」です。

身もふたもありません。

「仕事量を120%にしたら、いっぱい働くようになって、いっぱい成長できそうだな」と思っていたのですが、よくよく考えるとぼくはそれなりに働いていました。

いまは独立してフリーランスになったので、労務関係のルールもない、、、というよりぼくがルールです。

日によっては朝の7時や8時から働いたり、夜もだいたい24時や25時くらいまでなにかしらやってます。

週末に稼働していることも、珍しくありません。

だから「やばい!仕事量が120%だ!」となっても、もうそんなに増やせる労働時間がないんですよね。

もちろん多少は増えると思いますが、120%にしたときのデメリットと比べると、あんまりうまみがないなあと思いました。


「やる気」の使い道

といったような考え方の変化が生まれてくるなかで、最近は「仕事量は8割くらいがいいのかな」と思い始めています。

たいていのことを「やる気」で解決しようとしていたのですが、やる気ってそこまで万能なものはないのだなと気づきました。

もちろん、やる気は大切です。

でもやる気を「そのまま」ダイレクトに使おうとすると、意外ともろいんだなと思いした。

なにかがきっかけで「おー!やるぞー!」というやる気が生まれたときは、それを「行動」や「仕組み」に変換すると、いいのかもしれないです。

たとえばぼくの場合、2022年に入ってからだと、2月の前半がいちばん仕事量が多くて、たぶん170%稼働くらいしてました。

そのときに「おー!これはもう気合いで乗り切るしかねえ!」と思いかけていたのですが、せっかく「スケジュール管理」に問題意識をむけられたのに、それを「やる気でどうにかする」だけで終わらせるのは、もったいないと思い直しました。

そこで「どうすればうまくタスク管理ができるのか」を考えることに、そのやる気を変換して整理し、今回のnoteの執筆にもいたっています。

たとえば具体的に変えたことでいうと「いま俺は直感的に、この仕事はあしたまでに終わらせられると思った。しかし何があるかわからないから、念の為にあさってに送りますと伝えておこう」といったことに気をつけながら、スケジュールを組むようになりました。

そうすると実際、急にその日の午後から体調が悪くなって、稼働が難しくなったり、急に別件の打ち合わせに出ることになったりして「期日をあしたまでにしておいてよかった。。。」となることがけっこうあるんです。

「やる気」は一瞬ですが「仕組み」はずっと効果がつづきます。というか、つづければつづけるほど、効果が大きくなっていくんです。


そもそもなんで120%にしたかったんだっけ?

というかそもそも「俺ってなんで仕事量を120%にしたかったんだっけ?」と考えたとき、ひとことでいうと「成長したいから」だったなと思いました。

「成長したくて120%の仕事量にしてたのに、それで締切のギリギリになってしまったり、一つひとつのお仕事に丁寧に取り組むことができなかったりして信頼を損ねるのは、本末転倒じゃん」と気づきました。

それだったら、ひとまず仕事量は8割くらいにしておいて、一つひとつに仕事に全力で向き合い、高いクオリティのアウトプットをしたほうが、お客さんとの「信頼関係」や「新しいお仕事の機会」につながります。

「それが何よりの成長じゃん!」と思うようになりました。

1年以上たってようやく、当時の副社長の言葉の意味を、すこしだけ理解できたかもしれません。

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