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【異次元金融緩和と為替政策🌎】「The Effects of Japanese Foreign Exchange Intervention: GARCH Estimation and Change Point Detection」:先行研究解説 No.15🌟 2023/09/29


Introduction:卒業論文は早めに仕上げたい💛

私もいよいよ卒業論文の執筆に
取りかかる時期がやって参りました👍

何事もアウトプット前提のインプットが
大事であると、noteで毎日発信してきました

これは、どのような内容で
あっても当てはまります👍

論文を一概に読んでも
記憶に残っていなかったり
大切な観点を忘れてしまっていたりしたら
卒業論文の進捗は滞ってしまうと思います

だからこそ、この「note」をフル活用して
卒業論文を1%でも
完成に向けて進めていきたいと思います

私の卒論執筆への軌跡を
どうぞご愛読ください📖

今回の参考文献🔥

今回、読み進めていく論文は
こちらのURLになります👍

『The Effects of Japanese Foreign Exchange Intervention: GARCH Estimation and Change Point Detection』

Eric Hillebrand Gunther Schnabl Discussion
Paper No.6 October 2003

読み終えた先行研究📚

『日本の為替介入の分析』 伊藤隆敏・著
経済研究 Vol.54 No.2 Apr. 2003

『Effects of the Bank of Japan’s intervention on yen/dollar exchange rate volatility』21 November 2004

Toshiaki Watanabe (a), Kimie Harada
(b)

前回のお復習い🔖

The Effects of Japanese Foreign Exchange Intervention: GARCH Estimation and Change Point Detection

Eric Hillebrand Department of Economics, Louisiana State University

Gunther Schnabl Department of Economics and Business Administration, Tuebingen

6. Interpretation of Findings

今回の投稿でも、前回に引き続きこの先行研究を進めていきたいと思います

簡単に前回の内容を要約します
1999年以降、日本の為替介入が円/ドル為替レートにこれほど明確に影響を与えたという研究結果は非常に確実であり、考えられる説明について疑問が生じます
それは、1999年以降、介入量、介入回数、イベントごとの介入額に関して、日本の為替介入戦略に根本的な変化は見られなかったことが起因するのでした

日本の対外純資産ポジションを考慮すると、為替介入の成功は、経常収支(CA)、純資本フロー(KA)、公式外貨準備の変化(ΔRES)の合計がゼロになると仮定すると、単純な市場清算条件で説明可能になります📝

2つの可能な調整チャンネルを考慮した結果、いずれの方法においても元の外国投資ポジションへとバランスシートが戻ります
すなわち、日本の対外資産の構造が変わっただけであり、的外国資産は、民間の外国資産に置き換えられています
これは、為替介入の成功を示唆しているのです

しかしながら、ポートフォリオ・バランス・アプローチは、日本の外国為替介入の成功に対する考えられる理論的根拠を提供しますが、なぜ為替介入の成功が1999年に始まったのかについては説明できていません

De GrauweとGrimaldiの見解によれば、介入政策を成功させるには、サプライズのようなタイミングでの介入ではなく、明確なパターンに従って体系的に行う必要があると示唆しています

この議論に従うと、セクション4で概説したように、日本の金融当局が介入の信頼性を高める非公式の為替レート目標または目標ゾーンの設定に成功しているため、日本の為替介入が成功する可能性があるということを見出すことができるのでした👏

Very recently, during the first half of the year 2003, Japanese monetary authorities were reported to have stabilized the yen between 115 yen to 122 yen to the dollar.

Press reports give evidence that Japanese foreign exchange intervention credibly set (informal) target zones with respect to the exchange rate level and—as a side effect—reduced exchange rate volatility: “Previous intervention has not been so effective in keeping the rate in such a tight range.

As a result volume has dropped and currency traders have complained about a lack of volatility.”

先行研究より

ごく最近の研究では、2003 年上半期に日本の金融当局は、円を1ドル115円から122円の間で安定させるように外国為替平衡操作が実施されていたという報告されました

この報道は、日本の為替介入が為替レート水準に関して(非公式の)目標ゾーンを確実に設定し、その副作用として為替レートのボラティリティを低下させたという証拠を示していると言えます

その結果、量が減少し、為替トレーダーらはボラティリティの欠如に不満を抱いているとのことでした

Although this explanation approach seems quite plausible it raises the question as to the impact of systematic (rule-based) foreign exchange intervention on the money supply.

De Grauwe and Grimaldi (2003) have not incorporated a money market into their model.
We would argue however, that establishing a target zone would require subordinating fundamentals (interest rates and monetary base) to the exchange rate target.

先行研究より

この説明アプローチは、非常にもっともらしいように思えますが、体系的な(ルールに基づいた)外国為替介入がマネーサプライに与える影響について疑問が生じています💦

De Grauwe and Grimaldi(2003)は、彼らのモデルに金融市場を組み込んでいません
しかしながら、目標ゾーンを設定するにはファンダメンタルズ(金利とマネタリーベース)を為替レート目標に従属させる必要があると我々は主張するでしょう

This brings us to Japan’s particular monetary framework after 1999.
As is generally known, Japanese short-term money market interest rates touched the zero bound in early 1999 which is generally perceived as a “liquidity trap”. The Bank of Japan’s official commitment to zero interest rates is in line with any growth (but not decline) of the monetary base.

Indeed we observe that despite the stagnating economy the monetary base grew rapidly after 1999 reaching yearly growth rates of 20% to 30%.
In short, in the liquidity trap, at zero money market interest rates, the money supply is “infinite”.

先行研究より

ここで、1999年以降の日本特有の金融政策の枠組みが登場します
一般に知られているように、日本の短期金融市場金利は1999年初めにゼロ限界に達し、これは「流動性の罠」であると認識されています📝

日本銀行のゼロ金利への公ななコミットメントは、マネタリーベースの増加(減少ではない)と一致しています

しかしながら実際のところ、経済の停滞にも関わらず、1999年以降マネタリーベースは急速に増加し、年間成長率20%から30%に達したことが観察されています

つまり、「流動性の罠」に直面した経済では、短期金融市場金利がゼロの場合、マネーサプライは「無限」になるのです

Under these circumstances the borderline between sterilized and unsterilized foreign exchange intervention gets blurred.

Disputes between the Bank of Japan and the Ministry of Finance about the pros and cons of sterilization indicate that even in the liquidity trap the sterilization operations of the Bank of Japan have continued (Bank of Japan 2002: 273).

But even if the monetary effects of foreign exchange intervention are neutralized, sterilization would be irrelevant if it coincided with a simultaneous increase of the monetary base.

In September 2001, the Nikkei Bank of Japan watcher reported that the yen amount released by foreign exchange intervention might not have been absorbed by open market operations in to supply liquidity to the troublesome markets after September 11.35 This could be hint that sterilization is not pursued completely and automatically as in the United States or the Euro Area.

先行研究より

こうした状況下では、不胎化された介入と不胎化されていない介入の境界線があいまいになります

不胎化の是非をめぐる日本銀行と財務省との間の論争は、流動性の罠においても日本銀行の不胎化業務が継続していることを示しています(Bank of Japan 2002: 273)

しかし、たとえ為替介入の金融効果が無力化されたとしても、それが同時にマネタリーベースの増加と一致するのであれば、不胎化は無意味になるでしょう

2001年9月、日経銀行ウォッチャーは、外国為替介入によって放出された円額は、9月11日以降、問題を抱えた市場に流動性を供給するための公開市場操作によって吸収されなかった可能性があると報じました

これは、"不胎化が完全に実施されていないこと"を示唆している可能性があると解釈せざるを得ません
また、米国やユーロ圏と同様にこれは自動的に行われているとされています

Thus our estimations might provide evidence that Japanese monetary authorities move slightly towards an exchange rate policy similar to that observed by McKinnon and Schnabl (2003a) for other soft or hard pegs in East Asia, which subordinate interest rate targets to exchange rate targets.

At least the official foreign reserves of the “free floater” Japan and the “hard peg” China tend to behave more and more similarly.

先行研究より

したがって、我々の推計は、日本の金融当局が、金利目標を為替レート目標に従属させる東アジアの他のソフトペッグまたはハードペッグに関してMcKinnon and Schnabl (2003a)が観察したものと同様の為替政策に若干移行しているという証拠を提供する可能性があります

少なくとも、「フリーフローター」日本と「ハードペッグ」中国の公式外貨準備高は、ますます似たような動きをする傾向にあると言えるでしょう

All in all, our finding of successful Japanese foreign exchange intervention after 1999 would therefore be in line with the general wisdom on foreign exchange intervention as put forward by Jurgensen (1983) and Dominguez (1998): Foreign exchange intervention can only be successful if it remains unsterilized or coincides with respective changes in the money supply—a tentative conclusion which needs further research.

先行研究より

したがって、全体的な総括として、1999年以降の日本の為替介入が成功したという我々の発見はJurgensen(1983) and Dominguez (1998)によって提唱された為替介入に関する一般通念と一致するでしょう

そして、為替介入は、次の場合にのみ成功すると言えます
不胎化されないままであるか、あるいは介入後、マネーサプライのそれぞれの変化と一致するか、これらの暫定的な結論には更なる研究が必要であることに間違いはないでしょう

本日の解説は、ここまでとします
このような歴史や先行研究をしっかり理解した上で、卒業論文執筆に取り組んでいきたいです

今回、私が卒業論文執筆において取り上げる
24年ぶりの「円安是正」介入は本当にレアな経済政策
ということを再認識できたような気がします💖

私の研究テーマについて🔖

私は「為替介入の実証分析」をテーマに
卒業論文を執筆しようと考えています📝

日本経済を考えたときに、為替レートによって
貿易取引や経常収支が変化したり
株や証券、債権といった金融資産の収益率が
変化したりと日本経済と為替レートとは
切っても切れない縁があるのです💝
(円💴だけに・・・)

経済ショックによって
為替レートが変化すると
その影響は私たちの生活に大きく影響します

だからこそ、為替レートの安定性を
担保するような為替介入はマクロ経済政策に
おいても非常に重要な意義を持っていると
推測しています

決して学部生が楽して執筆できる
簡単なテーマを選択しているわけでは無いと信じています

ただ、この卒業論文をやり切ることが
私の学生生活の集大成となることは事実なので
最後までコツコツと取り組んで参ります🔥

本日の解説は、以上とします📝

今後も経済学理論集ならびに
社会課題に対する経済学的視点による説明など
有意義な内容を発信できるように
努めてまいりますので
今後とも宜しくお願いします🥺

マガジンのご紹介🔔

こちらのマガジンにて
卒業論文執筆への軌跡
エッセンシャル経済学理論集、ならびに
【国際経済学🌏】の基礎理論をまとめています

今後、さらにコンテンツを拡充できるように努めて参りますので何卒よろしくお願い申し上げます📚

最後までご愛読いただき誠に有難うございました!

あくまで、私の見解や思ったことを
まとめさせていただいてますが
その点に関しまして、ご了承ください🙏

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考え方の引き出しが増えた!
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大変嬉しく思いますし、投稿作成の冥利に尽きます!!
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今後とも何卒よろしくお願いいたします!

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