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私の書く話は全てフィクションです。 定期的に「うそばなし」を更新しています。 日々の…

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私の書く話は全てフィクションです。 定期的に「うそばなし」を更新しています。 日々の創造のトレーニングの一環として。

最近の記事

観劇レポ

2/10 11:00 今年4本目 劇団ゴーグルマッソーズ 『オズの魔法使い』 @参宮橋 茨木担当ωに誘われて舞台へ。 舞台の始まりから終わりまで、なんなら案内の段階から終わった後の写真撮影までずっとシームレスな世界観の舞台で、新しい体験でした。 小屋の規模感もマッチしていて、独特の世界観で面白かったです! 午前中から動きだせるんなんて、素晴らしい朝活である。 18:00  5本目 劇団かもめんたる 『ゾンビいまさら』 @あうるすぽっと 導入から、展開まで素晴らしいストーリー

    • 雨うけ祭り

      奇祭まみれ8 「雨うけ祭り」 「しとしと ぴっちゃん しとぴっちゃん」 『子連れ狼』の冒頭の歌詞として有名なこの一節は、縁側の軒から垂れる雫の音であることはご存じだろうか。 静岡県浜松市では、春先の湿り気が増える時期に合わせて「雨うけ祭り」という行事が行われている。「遠州のからっかぜ」が吹きすさぶ冬の厳しい季節を超えて、温暖な気候とともに湿り気を帯びた春の空気が浜名湖に届く時期には、家屋にこもる湿気が人々の悩みの種であった。 ぽたりぽたりととめどなく落ちる雨雫を、地域の

      • 「ヒゲ追い祭」

        奇祭まみれ7 「ヒゲ追い祭り」 「生やす抜け作 見る抜け作 同じ抜け作 生やさな損損」 四国の2大祭りと言えば「阿波おどり」と「ヒゲ追い祭り」の二つである。 阿波おどりの「踊る阿呆に・・・」という有名な謡は、実は「ヒゲ追い祭り」の「生やす抜け作」のほうが起源が古いことは意外に知られていない。「阿波おどり」が徳島市内の市街地を練り歩くのに対して、「ヒゲ追い祭り」は日本最後の清流、四万十川の流れの穏やかな上流で行われる。 祭りの仕方も「阿波おどり」とは大きく異なる。まず「和尚

        • 「蒸発祭」

          奇祭まみれ6 「蒸発祭」 「Disappear Like Fog」:霧のように消えてなくなれ 今では「D.L.F」と略されるこの言葉は、蒸発祭でいつしか唱えられるようになった言葉である。 ウイスキーの産地として有名なスコットランドのハイランドにおいて、ウイスキーは神の息吹が宿るものとして地域の住人達に古くから親しまれてきた。中世よりこの地域で行われていた「蒸発祭」では、ハロウィンの時期に合わせて、カボチャのランタンの口に直接ウイスキーのボトルを含ませ、ランタンの中をウイス

        観劇レポ

          「蛇口かくし」

          奇祭づくし5 「蛇口かくし」 「蛇口を見つけりゃ 獣がいるぞ 蛇口をかくせば 鬼逃げる」 「蛇口かくし」という遊びで、子供たちが歌う一節である。 鹿児島県志布志市に伝わるこの遊びは、鬼となる子供が目隠しをしている間に、「守り子」という役の子どもが、鬼に見つからないように水たまりをたくさん作るという一風変わった遊びである。最後まで水たまりを見つけられないと鬼の負けとなり、鬼役の子どもが負けると、水がなくて苦しむ鬼を演なければならない。叫び声をあげる、苦しむなど一般的なものから

          「蛇口かくし」

          「しとどつくし」

          道具まみれ4 「しとどつくし」 しとどとは潤すこと。つくしとは「澪標(みおつくし)」のつくし、つまり標識のことである。江戸時代に飛脚が道路標識がわりに使っていたものがそれである。素材は当時はまだ高価であった陶器製で、それなりの大きさだ。私も一度抱えようとしたことがあるが、果たしてピクリとも動かせなかった。当時の飛脚はこれを両手に抱えて1里は移動したというから驚きだ。「東海道 しとどつくしと 飛脚なり」という句はあまりにも有名だ。 「しとどつくし」は標識としての機能だけでな

          「しとどつくし」

          「乳顔占い」

          奇祭まみれ4 「乳顔占い」(ちちがおうらない) 「ざっばー-ん」 男たちが海の幸めがけて岩場から勢いよく飛び込むときの音は、はるか2里も先まで響いた。 大分県臼杵市では、男子が15を超えると「関岩」と呼ばれる高さ6mの奇岩から飛び降りて漁を行う。アジやサバなどの地元の特産品から、アワビやウニなどの魚介類まで幅広く取れるというが、この地域では「がごめ」という肉厚の昆布も有名である。この「関岩」の周辺は引き潮が集まる地形となっており、栄養豊富な海域として特に「がごめ」の特異生

          「乳顔占い」

          「子ぬくみ祭」

          奇祭まみれ3 「子ぬくみ祭」 「子ぬくみ祭」とは山陰地方で広く行われている祭りとして知られている。 「坊やよゐこだよくよく眠れ 子ぬくみもろて父母ねむれ」 山陰地方は島根県浜田市に古くから伝わる「島根のねんね」と呼ばれる子守歌である。毎年のように雪深くなるこの地域では、冬の間に十分な暖を取れるかどうかがまさに死活問題であった。 子供の基礎体温は大人に比べて1度程度高いことは広く知られている。現在のような暖房設備のない時代に、その地域では生後一年以内の赤ん坊を地域の寄り合い

          「子ぬくみ祭」

          「きんきん祭り」

          奇祭まみれ2 「きんきん祭り」 いたこの降霊を見たことがあるだろうか。遠くまでよく通る、非常に音域の高い声で降霊を行っている。いたこの高齢化が進む中でもその高調子は健在であり、それだけでも一見の価値がある。「きんきん祭り」とは、そんないたこの聖地、岩手県の恐山周辺で毎年の秋に行われている祭りである。 「声の出ないいたこは十分な霊が降ろせない」とはよく知られた話である。そんないたこの声の神聖を守る目的とともに、地元の「恐神社」で秋の行事として「きんきん祭り」が定着していった

          「きんきん祭り」

          「目方人形」

          道具まみれ3 「目方人形」 古くは山形県の庄内地域に根付いている人形文化の一つである。子供の成長に先んじるように、少しだけ目方が大きい、つまり体重が重たい人形を作って子供の成長を願う風習である。「目方の作り方を教えてほしいんだけど」と、娘が母に話しかけるさまは、今で言うところの「お母さん、おばあちゃんになるんだよ」と同義である。 意外や意外、現代ではボクサーたちの間に「目方人形」が定着している。試合前の減量に励むボクサーが、目標とする体重の「目方人形」をそばにおいてトレーニ

          「目方人形」

          「ゆび笠」

          道具まみれ2 「ゆび笠」 時代劇などのワンシーンで、大きな藁の笠で顔をすっぽりと隠している浪人の姿を見たことがあるだろうか。通称「浪人笠」と呼ばれるその笠は、転じて、子供の生育に合わせて指にかぶせる「ゆび笠」として変化した。 知覚が大きく発達を遂げる5歳までの子どもに、親指から順に小指まで、成長に合わせて指にかぶせるよう藁で組まれた笠である。浪人笠と同様に正面に切れ込みがしてある。日本人は知覚の鋭い幼少期から、「ゆび笠」の隙間を通じて人間の「生」を学び取る。果ては、そこから

          「ゆび笠」

          「萌え珠」

          道具まみれ1 「萌え珠(もえだま)」 萌え珠は、メイドの聖地、秋葉原においてかつて存在したといわれている、約1.5㎝大の透明なビー玉のようなものである。2012年まで存在していた「日本メイド協会」において、新しくメイドとして働くすべてのキャストに配られていたそうだ。 「萌え珠」は、メイドがキャストとして給仕する際に必ず身につけなければないという決まりであった。「萌え珠」には、メイドとしての「萌えの精神」が宿るといわれており、なにか困ったことがあれば「メイドならまず萌え珠に

          「萌え珠」

          「やまいも祟り」

          奇祭まみれ1 「やまいも祟り」 山芋の産地として有名な山梨県石和市の伝説として有名である。甲府盆地に囲まれ、山芋栽培に適していた石和では、飛鳥時代から一年を通して山芋が採れたという。「自然薯」の由来は「いち、ねん、じゅう」採れるという言葉から由来するという。そんな中、安政3年のに起きた干ばつの影響により、山芋が不作となる年があった。その年の山芋は全体的に水分量が少なく、でんぷん質の中に含まれる空洞が多くなるそうだ。石和では輪切りにして火で炒める「平焼き」が主な食べ方であった

          「やまいも祟り」