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「目方人形」

道具まみれ3
「目方人形」

古くは山形県の庄内地域に根付いている人形文化の一つである。子供の成長に先んじるように、少しだけ目方が大きい、つまり体重が重たい人形を作って子供の成長を願う風習である。「目方の作り方を教えてほしいんだけど」と、娘が母に話しかけるさまは、今で言うところの「お母さん、おばあちゃんになるんだよ」と同義である。
意外や意外、現代ではボクサーたちの間に「目方人形」が定着している。試合前の減量に励むボクサーが、目標とする体重の「目方人形」をそばにおいてトレーニングに励んでいるのである。勝者がベルトを高々と掲げるシーンがよくTVに映るが、中には何本ものベルトを同時に掲げている選手がいる。あれは、トレーニングを見守り励ましてくれた「目方人形」に対して「これは君たちの分だよ」という感謝の意味で高々と掲げているのである。

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