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「やまいも祟り」

奇祭まみれ1
「やまいも祟り」

山芋の産地として有名な山梨県石和市の伝説として有名である。甲府盆地に囲まれ、山芋栽培に適していた石和では、飛鳥時代から一年を通して山芋が採れたという。「自然薯」の由来は「いち、ねん、じゅう」採れるという言葉から由来するという。そんな中、安政3年のに起きた干ばつの影響により、山芋が不作となる年があった。その年の山芋は全体的に水分量が少なく、でんぷん質の中に含まれる空洞が多くなるそうだ。石和では輪切りにして火で炒める「平焼き」が主な食べ方であったが、その際に火から伝わる熱気で山芋が細かく震えだすことがある。安政3年の山芋は特にその動きが活発であり、地元の人々はこれを山芋の怒り、「やまいも祟り」として恐れるようになった。怒りを沈めるために、人々は「山芋神社」を建てて、そこに毎年もっとも出来のよい山芋を奉納するようになったという。それ以来、地元地域では干ばつに襲われることもなく、いまだに山芋の産地として有名な存在となるまでに至った、という話である。

ちなみに、干ばつの翌年から行われている「山芋祭り」では、地域一番の大なべを用意し、鍋いっぱいの山芋の「平焼き」を披露している。山芋が音を立てながら震えているさまを、山芋の神が笑っているとして、氏子全員で一緒に大笑いする「いもよろこび」と呼ばれる行事は毎年圧巻である。

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