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工務店代表の僕が<売れない営業時代>に出会った一冊の本と<経営者としての今>【書籍発売のご報告】

2024年3月15日、本を出した。

僕は、2020年に父から株式会社あいホームの代表を継いで4年弱、コロナ禍ウッドショックなどの逆境を乗り越え、仲間と共に企業成長を続けてきた。この本には、僕たちあいホームのメンバー70人が一枚岩となり、逆境でも戦えるチームへと成長するまでの試行錯誤の軌跡が主に紹介されている。

なぜ紙の本? noteではダメなのか?

そう感じた人もいるかもしれない。

紙の本を著した背景には、代表就任前、僕の売れない営業時代を変えた一冊の本がある。


読書で培った「行動力」が経営スタイルに直結

水野敬也さん著『夢をかなえるゾウ』。僕の愛読書だ。

大学卒業後、家業を継ぐことを視野に入れ、山形県の住宅会社に営業職として就職した。面接の際、「うちの会社、厳しいけど大丈夫?」と聞かれ、「はい」と即答したものの現実は厳しかった。

社会人2年目、どれだけ頑張っても成果が出ない期間が6か月続いた。

将来、会社の経営を担う立場の人間が、このままではいけない。プレッシャーが僕を襲った。本来、楽しいはずの家づくりの仕事を楽しくないと感じるほど精神的に追い込まれていた。

どうにか目標を達成するために、あらゆるビジネス書を読み漁ったが、答えは見つからない。

そんな時に出会ったのが、水野敬也さん著『夢をかなえるゾウ』だった。うだつの上がらないビジネスパーソンが、ゾウの姿をした神様から出される簡単な課題を一日一つずつこなし、人生を好転させていく話だ。

主人公と自分の今の状況が重なり、僕はその本に書かれた通り一日一つの課題をこなした。すると、驚くことに、半年間「成約ゼロ」の僕が、初めて自分の力で成約を頂くことができた。

その本の中で、ハッとさせられた言葉がある。

自分は今、『座っとる』だけや。この意味、分かるか? 確かに自分はこうやってワシの話を聞いとる。でもな、今、自分は何かを学んで、知識を吸収して、成長しとる思てるかもしらんけど、本当はな、成長した気になっとるだけなんや。ええか? 知識を頭に入れるだけでは人間は絶対に変われへん。人間が変われるのは、『立って、何かをしたときだけ』や

引用:水野敬也著『夢をかなえるゾウ』飛鳥新社、P.255

僕は、営業になってからたくさんの本を読んだ。それでもうまくいかなかったのは、行動量が圧倒的に足りなかったからだ。そんな当たり前のことに気付かされた。

その本から、僕は数値目標ではなく行動目標という考え方を学んだ。それは、いち企業の代表となった今でも大切にしている考え方だ。

『夢をかなえるゾウ』は、社会人になりたての僕を支えてくれたお守りで、今も大事に手元に持っている本だ。

いつか、僕も誰かにとってお守りになる本を書きたい。その頃からおぼろげに思い描いていたことが、今月15日にかたちとなった。

最終章の「『劇的な進化』を遂げた打ち手30」には、僕が経営者として実践してきた30のことが紹介されている。

  • 「トライアスロン」で強い健康をつくる

  • 「漫画と音楽」で社長の人柄を伝える

  • 「サウナ部のサ活」でフラットな関係を築く

……など、個人の活動から、社員との関係づくりまで幅広い。

経営者は体が資本。トライアスロンで心身を鍛えている。

これは後から気付いたことだが、30も列挙したのは、『夢をかなえるゾウ』の中で主人公が一つずつ課題をこなしていくイメージに影響されたのかもしれない。

「行動目標」は楽しく働ける組織づくりの鍵

本書の見どころは2つある。1つは、スローガンの策定を中心とした企業ブランディング。もう1つは、社員の行動を促す目標設定だ。前者については、以下のnoteで触れたため、今回は目標設定について言及したい。

前述の通り、僕は営業経験を通じて行動目標の大切さを知った。

目標を達成できないと苦しい。でも、行動目標なら数値目標と異なり、行動さえすれば着実に目標達成へ近付く。達成の喜びを味わえる。

数字は、あくまでも行動をした結果としてついてくるものだ。

僕は、代表就任時に決めたことがある。それは、僕を育ててくれた会社の社員に恩返しをすることだ。誰よりもまず、社員を幸せにしたい。

だから、目標が社員を苦しめるものであってはならない。社員が純粋に家づくりを楽しみ、モチベーション高く仕事に取り組める。そのための環境をつくることは代表である僕の使命だ。

たまに「社員から目標達成へのアクションプランがあがってこない」という声を経営者仲間から聞く。経営者目線を持つ者にとって、数値目標さえあれば、その達成に向けて何をすればいいのか考え行動するのは当たり前だからだ。自分がやってきたことだから、社員にもそれを期待する。

でも、全員が全員そのような思考を持っているわけではない。経営者が数値目標を提示し、結果を問うだけでは必ずしも社員のモチベーションは上がらない。むしろ下がる可能性すらある。

売上アップのためにどう動けばいいか、社員と共に考え行動するのが僕の経営スタイルだ。

この本は、地方の中小企業の経営者向けに書いたものだ。経営者が読み、気に入ってマネジメント層に勧める。そんな用途をイメージした。

一方で、この本は社員が幸せに働く、そのための僕なりの経営論が書かれたもので、本質的には社員のためのものなのだと思う。

僕と同じ地方中小企業の経営者を応援したい

冒頭の「なぜ紙の本?」という問いの答えは、実はもう一つある。それは、紙という媒体が持つ熱量だ。

僕は、初版1万1,000冊を経営者に直接手渡しすることを想定してこの本を書いた。

全国的に労働人口の減少が進むなか、特に地方の中小企業での人手不足は深刻だ。「良い人材が見つからない」「若手が育たない」という声をよく聞く。限られた人員で、混沌の時代を生き抜く精鋭チームをつくらなければならない。

経営者仲間の話を聞くうちに、あいホームと似たような境遇に置かれた地方中小企業の経営者を応援したいと思うようになった。

そうした方々へ情報や思いを届けるのに、「読んでみてください」とWeb記事のURLをメールで送るのと、紙の本を直接手渡しするのとでは、伝わる熱量に大きな差がある。これが紙の本を選んだ理由だ。

また、直接手渡しできない相手にとっても、悩んだとき行き詰まったとき、ふと本棚を見たらそこにあり、背中を押してくれる。僕が書いた本が、そんな存在になっていけばいいと思う。

ぜひ一読してほしい。

編集/三代知香

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