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選択される学校(10)〜不登校と学校〜

定期テストで理解度をはかられ、評価されること

中学校の定期テストにはいろいろな役割があることは、前回お話ししましたが、よくご存知の通りです。

その中でも理解度をはかり、評価をつけることについて、今日は考えてみたいと思うのです。

最近、学期末になり、懇談をしている学校もあります。
その懇談で言われたと、耳を疑うことをお聞きしました。

「わからないところを全部は学校で対応できないので、個別指導の塾で対応してもらってください」

と学校の先生に言われたというのです。

不登校の子どもで、学校に行きたいという思いがすごく強くて、やっと何とか学校に行き始めたところなのです。

中学校の先生が、いろんな話をしながらフォローをしてくだされば、と思っていたのですが、本人は「やはり私は学校に行ってはいけないのだろうか・・・。」と肩を落としていました。

学校の先生がどんなことでも対応しないといけない、などとは思っていません。学校の先生のご負担があまりにも大きいことは、百も承知しております。

それでもです。

やっとの思いで学校に来ている生徒に、勉強ができないから塾に行け、はあまりにも配慮がないのではないかと思うのです。もちろん、全国の先生がみんなこんなことを言っているなどと思ってはいません。

この先生には、正直にもう少し配慮してあげてほしい、と思ってしまうのです。そのくらい、この子どもなりに懸命に努力をして、学校にいこうとしているのです。その気持ちを汲んでいただきたかったと思うのです。

このことからわかることは、定期テストで学習の理解度ははかるけれども、理解が足りていない生徒への対応を行う余裕が先生にはない、ということです。

対応をしてもらえない上に、学期末に評価がついてくるのです。子ども達にしてみたら、とても不安でしかしょうがないと思うのです。なんとかしたい、なら、勝手に塾でも何でもいけ!ということなのでしょうか。

自分で努力することを求められていると言われればそうかもしれませんが、それなら、教えっぱなしでフォローなし、落ちこぼれは対応しないと思われても仕方がありません。

そこで次の問題の評価です。

絶対評価か相対評価かあるいは両方加味したものか、という議論があると思います。現在は多くの地域で原則として中学校は絶対評価になっているはずです。

ところが学校によっても偏りがあるのです。

東京都教育委員会が2021年3月25日に公開した「都内公立中学校第3学年及び義務教育学校第9学年(令和2年12月31日現在)の評定状況の調査結果について」の

東京都中学校等別評定割合(個表)

から引用します。

これをみていただけると、各中学校が、各教科の5段階評価で5をつけたのは何%くらいあるのかということが一目瞭然わかります。学校名が伏せられていますが、同じ国語であっても、学年全体に対して5をつけたのは最高で33.7%、最低が3.2%と学校によってこれだけ違います。

学校間の学力格差があることは知られています。だとしても、絶対評価であるなら、本人がどれだけ努力をしているのか、ということであれば、これほどの評価の差がつくとも思えないのです。

それでは、絶対評価の基準はどのようなものでしょう。一体何を基準に評価をつけているのでしょう。

難しいのは、この評価基準です。

教科の評価である「評定」というのは、テストの点だけで決まるわけではありません。定期テストの点数、授業の態度、積極性、提出物、小テストなどで総合的に評価されることになります。

それ自体は問題はありません。学習活動を行っている以上、必要なことばかりだと思います。

しかし、問題は一人ひとりの先生に判断が委ねられている部分が、かなり大きく、その評価のプロセスは全くの不透明なのです。ここが明確にはならないし、できないことが、不登校の子ども達には大きな問題になるのです。

第5回にお話しした通り、周りにどう見られているかということが、ものすごく気になるのが不登校の子ども達の大きな特徴です。

選択される学校(5)
https://note.com/keisuke_tani/n/nb035d963e5d2

先生が一体、どういう目で自分を見ているのか、それはあたたかい眼差しなのか、評価をつけるための客観的な視線なのかは大きな違いなのです。

評価をする、評定をつけるのは先生のお仕事ですから、やらないといけないのです。ですが、どう見られているかということが、他の子ども以上に不安になりやすい子ども達にとっては、しっかりとした人間関係を作っておいて欲しいと思うのです。

中学校は、この評価をつける大人が最低でも教科の数の9人いるというだけでも、子どもにとっては不安なのです。

そこからくる、「中学校独特の不安感が漂う雰囲気」と言われても仕方がないところなのです。

ここに突然起こる前回までにお話しした、「街のコミュニケーション」、「思春期特有の不安感」などが重なると、子どもによっては、学校に行きたいけれども行けない、ということが起こってくると、私は思っているのです。

しかも、この評価が高校受験に必要な「内申点」と関わるのです。これがさらに追い討ちをかけるのですが、そのことは、またお話ししたいと思います。




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