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不登校からの卒業(16)
動くには動けるが・・・
ご家族がお子さんの状態や思いについて、ある程度の理解ができ、子どもが不登校からくる様々な不安感が薄れてくれば、子どもはエネルギーを取り戻し、動き出すことができるようになってくるのです。
動き出したみたら、勉強だの、進路だの、新たな不安が襲いかかってくるのですが、それでも、動けずに自宅にいる時と違って、学校に通っている子ども達に追いつかないといけないという、焦りと不安から動くのです。
というよりも、動けてしまうのです。
こうなると、子どももご家族も、「普通でいられること」「動けていること」に満足し、そのことに忙しくて、不登校だったことを十分に考えることなく、先のことに向けての努力をしていくことになるのです。
ここに、大きな落とし穴があるのです。
もう一つの問題があります。
よく、不登校の子どもがいつ動き出すかということについて、「エネルギーが足りてないから、エネルギーが溜まったら動き出すよ」という言い方をされることがあります。
これは、まさにその通りだと思うのですが、エネルギーが貯まるまでに、どうしていたかということも、本当は大切なことなのです。
行き渋っている間は、学校に行くか行かないかで必死なので、何も考えていられないことは仕方がないのです。
また、完全に不登校になってすぐの時も、ただ、しんどい、辛いだけです。
それくらい辛いのです。
ところが、少し時間が経ち、落ち着いてきた時に、自分はなぜ不登校になったのか、何が問題だったのか、どうしたらよかったのか、と考えるともなく、考え始めるのです。
それと同時に、これから先どうなるのか、自分はどうなってしまうのかと不安も大きくなっていくのです。
こうして、子ども自身が、激しく悩み、なんでこうなったのか、これからどうなってしまうのか、と大きな不安を抱え、身動き取れなくなっている時期なのです。
不登校からの卒業(9)
混乱期
お子さんの悩んでいる姿を見て、ご家族も「学校に行かなくていい」と思いながらも、「やはり学校に行かないといけないのではないか」「このままではいけない」「なぜ、こんなことになったのだろう」と、いろんな思いが心の中に湧き出てきます。
この時期くらいから、自分は本当はどうしたかったのか、なぜ学校に行くのがあれほどまでにしんどかったのか、と考えるようになることはとても大切なのです。
同じことを、ご家族も考えるようになりますから、混乱期は本当に大変なのですが、この時期はとても大切な時期なのです。
ご本人もご家族も、答えが見つかるか、見つからないかは、どちらでもいいのです。
知ろうとすること、わかろうとすることが大切なのです。
もちろん、わからないことばかりかもしれません。
わからなくていいので、不登校であった理由を考えることが必要なのです。
この時に、ご家族が学校に行かないことを受け入れ、認められるようになることが、お子さんよりも少し早いことがあるのです。
そうすると、ご家族が「不登校を登校を受け入れている」ことを感じて、子どもが安心できるようになっていきます。
そうなると、考えることのないまま、少し動けるようになったからと、子どもが動き始めてしまうことがあるのです。
落ち着いてはきているし、考えようと思ってもわからないから、とにかく動いてみようということになり、動き出すことがあるのです。
これは、悪いことではないのですが、動きながらでもいいので、自分がなぜ学校に行けなかったのか、何が原因で動けないでいたのか、自分なりに考えてみることは、どうしても必要なのです。
そのことで、自分なりに不登校のきっかけになることや、自分の苦手なこと、嫌だったことを見つめることができるようになるのです。
これが、とても大切だと、私は思っているのです。
それを知っておくだけでも、「自分を知る」ことができ、精神的に成長すると思うからなのです。
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