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#02 自分たちで作る自分たちのロゴ

みなさん、こんにちは。

株式会社LegalOn Technologiesでコーポレートブランディングを担当している前川と申します。

前回は、40歳を過ぎてなんとか転職戦線を乗り越え、晴れてインハウスデザイナーになったけど細かい仕事ばかりで「??」となっていたところまででした。今回はそんな中で起きた大事件から始まります。


自分たちの自分たちによる自分たちのためのデザイン

「さっき、経営会議で決まったんですけど、結論から言うと、社名が変わります!

突然のことでした。

社名が変わるということはロゴを作り直さないといけない…ということはすぐに理解できました。

実は、転職時の内定承諾の決め手になったのは、面接時に「必要であれば、会社ロゴも変更しても構わない」と言われたことです。普通はなかなかそんなチャンスはないし、すごくやりがいがありそう!と思って入社を決意しました。

ですが、入社して社内のデザイナーのみんなに話を聞いたりしているうちに、現状に至った経緯にすごく納得できたのと、そもそも1年ちょっと前にリニューアルしたばかりだったので、今は闇雲に変更せずに、この資産を大事に育てていきつつ、どのようなアプローチをしていこうかと考えていた矢先のことだったので、このタイミングでロゴを変えるのか…と、正直頭を抱えました。

とはいえ、社名変更は決定事項です。そうなったからには一刻も早く新社名のロゴを作らなければならなりません。かといって、今後末長く使っていくものなので簡単に手を抜くわけにはいきません。当然気合を入れざるを得ませんが、今回は今までの自分のキャリアの中で決定的に違う点があります。

それは「作ったロゴが、自分たちのロゴになる!!」ということです。

今までは受託制作だったので、作ったものはお客様(クライアント)のものですし、そもそもの前提として「お客様からの依頼でお客様のもの」を作ってきました。

しかし、今回は違います。今までも決して自分のものではないからといって手を抜いていたわけではありませんが、「自分たちのものを自分たちで作る」という行為がとても新鮮で、これがインハウスデザイナーとして自社のものをデザインするということなのかと、緊張とともにどこか不思議な感覚になったのを覚えています。

一世一代の大仕事

ということで、コーポレートブランディング担当のアートディレクターとして、この新社名ロゴ制作プロジェクトを完遂しなければいけなくなったのですが、残念ながら、当時はコーポレートブランディング担当のデザイナーは僕一人しかいませんでした。

今までの受託制作の場合だと、人手が足りなければ、ロゴの一つくらいであれば一人でやってしまっていました。今回も一人でやろうと思えばできてしまう内容かもしれません。ですが、これから長く使っていくみんなのロゴを新参者の僕一人が勝手に作ってはいけないと思い、当時のマーケティング部所属のグラフィックデザイナーのみなさんにも手伝ってもらうことにしました。

弊社のようなスタートアップは特に事業推進のスピードが尋常ではなく、やるべきことが決まったら、1日でも早く対応していくことが事業成長のカギになってきます。(もちろん、現実的な範囲で……)
まずはメンバーを招集し、意図や制作フローを説明したのですが、そのミーティングで初めてスケジュール感や制作フローをまとめていては時間がもったいないです。多少強引なことは分かっていましたが、ある程度僕の方で方向性のたたき台を作った上でミーティングに臨みました。

全社的に使用しているドキュメントツール「Notion」でスケジュールや議事録などを管理。

こういった制作の段取りみたいなものは、これまでの受託制作での制作進行経験が活かされたのだと思います。特に問題もなく、初回のミーティングは無事終わり、すんなりと進め方の合意を得られたので、あとは粛々と作業を進めていくのみでした。

制作時のエピソードは別途デザインチームでnote記事にしていますので、是非ご覧ください。

今までと違ったこと

今回、このnoteを書こうと思ったきっかけが、受託側から事業側のインハウスデザイナーに転職して感じたことをまとめてみようと思ったからだったので、ここで今回のロゴ制作時に今までと違ったことを二つほど挙げてみようと思います。

一つ目は、やりとりする人の種類(人数ではなく、関わる属性・部署)が多いということです。
受託制作であれば、

  1. デザイナーの上司 or 部下

  2. 自社の営業担当

  3. 先方のご担当

くらいですが、インハウスの場合、

  1. デザイナーの上司 or 部下 or メンバー

  2. 所属部署の上司 or 部下 or メンバー

  3. 商標登録の関係で法務部門の知財担当

  4. 名刺やネックストラップなどの社内ステーショナリー制作の関係で人事部門の総務担当

  5. その他、プロジェクトに関係する従業員全員

というように、クリエイティブ属性でない部署の人たちとも逐一進捗を共有し、全体で足並みを揃えつつも迅速に進める必要がありました。今までのように目の前の制作だけに注力しているだけではダメで、あらゆる面で「事業」を当事者として意識して進めなければなりません。当たり前といえばそうかもしれませんが、ただ「デザインが上手いだけではいけない」というのが新しい発見でした。

そういう面においては、やはり、インハウスは「デザインだけに特化してデザインスキルをめちゃくちゃ高めたい!!」という人には不向きかもしれませんが、少しでもデザインを通して世の中を良くしていきたいという志があるのであれば、デザインスキルに事業観点を加えて総合的にスキルアップしていける魅力的な環境だと感じました。

二つ目は、制作や依頼ごとに対して費用が発生しないことです。これも当たり前と言ってしまえば身も蓋もないですが、受託制作であれば当然制作費が発生するので、先方の予算次第で作業内容が変わってきます。ところが、インハウスであれば依頼側も制作側も同じ会社の予算で動いているので、純粋な社員の作業に対しての工賃のやりとりが発生せず、費用の多寡で揉めることはありません。

なので、依頼者は自分の部署のやりたいことを際限なくタダで頼んでくるので超大変〜と思いきや、幸いなことに意外とみなさんのコスト感覚がしっかりされていて、視座の高い事業目線で「コスト(工数)」を意識しながら部署間での受発注が行われていることに驚きました。

「我々は全員、会社の予算の中で動いていて、その中でいかに利益を最大化するか?」を一人ひとりが考え、行動しているのです。これはめちゃくちゃ重要なことです。こういった考えは末端の受託制作では味わえなかった体験だったので、自分のマインドが一段階レベルアップした気がしました。

次なる試練

完成したロゴマーク

そんなこんなで、なんとかロゴが完成したわけですが、今度はそのロゴをちゃんと運用していかなければなりません。運用ルールやガイドラインを策定したり、ありとあらゆる掲示物に対して社名ロゴの差し替えたりといった作業もありますが、コーポレートブランディング担当として忘れてはいけない次なる試練があります。

それは、社名変更に際しての「コーポレートサイトどうする問題」です。

僕は今でこそグラフィック専門ですが、実はウェブデザイナーからデザイナーキャリアを始めています。そのため、多少はできるつもりではいますが、こればっかりは自分が手を動かしてデザインするのは時間的に無理があると思ったので、リブランディング観点ではもちろん僕が責任を持ってディレクションをしますが、実制作については、割り切って完全に人に頼ることにしました。

ところが、社内にもウェブデザイナーはいますが自部署の作業で手がいっぱいで、これを無理にお願いすると「事業」に影響しそうだし、工数として現実的ではありません。ということで、検討の結果、外部の制作会社に依頼することになったのですが、ここであることに気が付きました。

僕がクライアント側ではないか!!

つづく……

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