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LegalOn Technologies コーポレートロゴ制作秘話 後編

2022年12月1日、株式会社LegalForceは「法とテクノロジーの力で、安心して前進できる社会を創る。」を社会に提供する価値・パーパスとして定め、社名を株式会社LegalOn Technologiesに変更し、新たに始動しました。
これに伴い、社内のグラフィックデザイナーが集まり、会社のロゴを新たに作成しました。
前編では、ロゴが決定するまでの流れや、その過程の中で各々のメンバーが何を考えてアイディアを発散させたのかを教えてもらいました。この後編では、決定したロゴのこだわりについて語ります。

前編はこちらから

ロゴのコンセプト

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昔からあるものと新しいものの掛け合わせ、を表現する

まえかわ:実は、文字に関してはこのフォントにしたいという思いが、それこそ入社前から僕の中にあったんですよ。

すずき:Helvetica Nowってフォントですよね。どうして使いたいなと思ったんですか?

まえかわ:まず世間一般の感覚として、ローマン体よりもサンセリフ体の方がテクノロジー感がある気がしません?ただ、例えば今の LegalForce の製品ロゴに使ってる Helsinki みたいなジオメトリック系のサンセリフ体だと、まぁベタだよねって感じになりがちで。他の SaaS 企業ともちょっと差をつけたく、いろいろ候補を検討したんですが、結局見た目的に王道の Helvetica が一番しっくり来たんですよ。それに Helvetica っていうのは昔からあるが故に、ベタすぎて避けられてそうなので、これは穴場なんじゃないか?って思って。しかも Now っていうのは3年ぐらい前に出たばかりのやつで新しいんですよ。あんまり使っている企業がなかったんで、先に使っちゃえ精神みたいなものもあって。

サンセリフ体の種類

まえかわ:Helvetica Now は、Helvetica 特有の小文字の a の処理とか、i の点が四角いやつとかも丸に変更できたりだとか、いい具合にジオメトリック感があって、テクノロジー感がそこに込められるな、と。昔からあるリアリスト系の Helvetica をベースに、今風のジオメトリック感が加わって、新旧のいいとこ取りみたいなフォントだなと思ってて。会社のパーパスも「法とテクノロジー」っていう、昔からあるものと新しいものの掛け合わせなので、うまくロジックがはまるなと。

Helvetica Nowの方がジオメトリック感がある印象

まえかわ:Helvetica Now は、Display、Text、Micro の3シリーズがあって。Display っていうのは大きなサイズで使うもので、Text っていうのは本文くらいのサイズに使うもの。Micro っていうのは本当に小さいサイズで使う時のフォントなんですけど。何が違うかというと、文字を小さくした時、穴や角が潰れてしまうじゃないですか。Micro はそれが潰れないように、例えば C の開き具合だったり内角が開き気味になるように設計されてるんですよね。でも Display だと大きく使うから、しっかり閉じている。
その3種類のどれを使おうかなと考えたときに、うちの会社の特性上、長文になることが多いじゃないですか。Display の方が、ザ・Helvetica みたいな感じがして好きだったんだけど、Text くらいの方が長文を組んだ時にちょうどいいなと思って Text にしました。

Helvetica Now シリーズの違い

すずき:なんとなく使いたいなーって思っていたのをフォントの候補に混ぜつつ、最終的にそれが選ばれたんですね。まえかわさんの考えが、ボードメンバーの直観にうまくハマったんですかねぇ。
そういえば色も2つの掛け合わせですよね。黒は「法」を含む人の意志、グレー(シルバー)は「テクノロジー」を表している、と。

ロゴで利用している2色

まえかわ:制作そのものはロゴの良い形状を探るところから入ったので、意味づけに関しては後付けのものも結構あるんですけどね。このロゴに決まった時に、全ての要素について改めて意味を考えたんですよ。「法とテクノロジー」っていう会社のパーパスと、きちんと絡めたストーリーを提供できた方が、社内に浸透しやすいと思ったんで。こじつけでもいいんで、なんかこうパーパスとロゴの形・意味の繋がりみたいなものは、結構頑張ってこねくり回して考えました。

誰でも作図できる形にしたかった

すずき:ロゴの形は、どういう意味を持たせたんですか?

まえかわ:この案にはもともと、六角形ってわかるようにしようと思って作ったんですよ。六角形っていう形の枠からはみ出さないとすると、六角形に何かを付け加えるのではなく、中をどう分割するか?どういうモジュールで構成するか?って考えになって。分割すると正三角形が生まれるなという流れで、自然にできた感じです。
そのとき、正三角形の割り方にどこまで複雑性を持たせるかの匙加減が大事だと思ったんですよ。割り方があんまり少ないと単純な形に見えちゃうし、割りすぎちゃうと視認性が良くないし。画面上とか紙に出力したりとか、いろんなサイズで検討したかな。

kj:このロゴが持つ適度な複雑性みたいなのは多分、うちの会社にハマりそうだなと言うのはあって。どうしてもシンボルは、シンプルになればなるほど、何の意味を持つか分かりづらくなるみたいなところがあるじゃないですか。色が2色っていうのと、三角形は三角形でも切りかけがあって、意外とラインが入っている図形なんで。シンプルに見えるけど情報量が意外とあるみたいな。

まえかわ:あとは、この図形に出てくる数値をなんとなくで決めたくはないと思っていたんですよ。このくらいの隙間かなって、なんとなく目検討で作った後に、これだったら1/3にしようかと、綺麗な数値になるよう整えた感じですね。1/4にすると狭いし、1/2だと広い。かといって中途半端な数字にするとややこしい。

作図しやすいロゴを目指した

まえかわ:これだと正三角形が何個か集まって、この隙間がこの高さの1/3だと、定規とコンパスを使えば作図しようと思えばできる。そういう、作りがわかるれば誰でも書けるような形の方が、LegalOn Technologies っぽいなって。自由曲線よりは、こう言う思考で設計して作図できる形にした方がテック感があって、うちっぽいかなと思った。

kj:あと、このロゴって展開とかができそうな、広げられそうな感じがありますよね。アートディレクターじゃなくても、いろんな人がある程度このロゴを使ってこういうことができそうとかの想像が広がるみたいな。

すずき:確かにこの三角形のモチーフは使い勝手良さそうだよね。新しいWeb会議の背景とかに使ってるやつとか。いずれ、ロゴそのものを見なくても、この三角形がたくさん使われていると、あっうちの会社だって思えるようになるかも。

新しいWeb会議の背景画像

会社のメンバーにロゴへの愛着を持ってもらうために

すずき:ロゴを作る上で大変だったこと、ここはもっと良くできたなということはありますか?

otk:ロゴ作る立場として、この社名の長さは、かなり扱いづらくなかったですか?長いのでどうしたってシンプルにならないし。となるとフォントはシンプルにせざるを得ないから、シンボルで個性をつけるようになっちゃう。
あと、今になって思うんだけど、改めて候補に残ったロゴの10案を一覧して見ると、文字だけのロゴの候補を、もうちょっと増やしてもよかったかもしれないなぁって。10案のうち、文字だけのものが1案で他はシンボルあり。しかもその文字だけのものが候補の最後の方に載ってると、デザイナーたちはシンボルありのものを推してますっていう風に表現しているように見えるから。ちょっとそこが心残り。最終的な結果には満足なんだけど。

はらさと:出場順って大事ですよね。

まえかわ:それは思う。均等には割りふれてなかったなぁと。とはいえ、otkさんがいう通り、個性を出そうとしたときにシンボル付きのロゴになったのは、LegalOn Technologies って社名に決まった段階で必然だったのかもしれないですね。こういう長い名前でロゴをデザインする上でのセオリーだったのかも。

kj:作ってみて思ったけど、Technologies っていう字面が。。

まえかわ:名前も長いし、Cap & Low(単語の先頭のみ大文字)なので凸凹してて本当に難しかった。

otk:難しいですよねぇ………

ヤギヌマ:これはいいのか悪いのか分からないですど、途中経過をリアルタイムでもっと公開して良かったのかなとか思いました。

すずき:誰に対しての公開?

ヤギヌマ:会社全体ですかね。ロゴの案が固まっていないときに、いろんな人からAがいいBがいいっていろんな声が飛んでくるのは、あまり良いとは思わないんですけど。話し合いのドキュメントを公開していたとはいえ、途中経過をもっとデザイナーから積極的に見せていくことで、ロゴに対する全社メンバーの納得感が出たり、愛着が湧きやすくなるのかもな、と。もちろんこれは、これからのロゴの運用次第だと思うんですけど。

すずき:会社のロゴと製品のロゴとが、今回の変更で違うものになったので、もしかすると会社のロゴを目にする機会が本当に少ないメンバーもいるかもしれない。このロゴに愛着を持ってもらうためにも、ロゴを普段から目にする機会を、私たちでしっかり作らないといけないね。

ヤギヌマ:あとは、デザイナーじゃない人がデザインの仕事について想像する時に、ロゴを作るってわかりやすいんですよね。私たちが仕事の中で何を考えているのかを知ってもらうチャンスだったかなぁって。作ってる時は思わなかったんですけど、振り返ってみると勿体無かったなって思いました。

すずき:確かに。私たちの仕事は、もちろんこのブログもその一環だけど、社内メンバーに対してもしっかり発信していきましょう。

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インタビューは、まだまだ話が盛り上がりました。完成形には関わったデザイナーみんなが満足しつつも、振り返ってみると進め方には反省・改善点がありました。とはいえ、インハウスデザイナーならではの会社の雰囲気への理解や、日々向き合っている自分達の仕事への思い。新しいメンバーの会社に対する新鮮な目などがうまく混じった結果、出来上がったロゴだと思います。
パワーアップした LegalOn Technologies と、ロゴと、デザインを、今後ともよろしくお願いします!

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