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#01 はじめてのインハウスデザイナー

みなさん、はじめまして。

株式会社LegalOn Technologiesでコーポレートブランディングを担当している前川と申します。

この記事は、長年受託制作をやってきたおじさんデザイナーが、インハウスデザイナーに転向して感じたことをまとめたものです(こういうところに文章を書くのはmixi日記以来!)。

キャリアに悩んでいるデザイナーの方やデザイナーを目指している方に「デザイナー珍道中」として読んでいただけると嬉しいです。


はじめに

僕はこれまで、制作会社でグラフィックデザインと、たまにウェブデザインをやってきました。途中、5年ほどフリーランスでやっていた時期を挟みつつ、気が付けばデザイナーと名の付く仕事に20年以上携わってきたのだと思うと、なんとも感慨深くなります。

さて、そんな僕ですが、昨年2022年7月に10年以上勤めたグラフィックデザイン事務所から株式会社LegalOn Technologies(当時は株式会社LegalForce)に転職しました。

デザイナー歴20年以上というそこそこのベテランですが、この歳ではじめて事業会社のインハウスデザイナーになるということで、もうワクワクドキドキでした!

……と、ここから僕の奮闘劇を勢いよく書き始めたいところですが、その前に、なぜいい歳したおじさんデザイナーが突然インハウスデザイナーとして働いてみようと思ったのか?ということを少しお話しさせていただければと思います。

経験を糧に

近年の担当案件で最も影響があったと感じているのは、前職で10年近くアートディレクションとデザインを担当させていただいた複合施設のフリーマガジンでした。A4判型フルカラー24ページ、年4号の季刊誌で、毎号クライアントや一緒に制作チームを組んでいた編集プロダクションの仲間たちと様々な意見を交わし作り上げていくフローがエキサイティングで(やばっ!締切間に合わない!!みたいなのも含めて)、自分にとって良い経験になりました。

基本的にスクラップ&ビルドである受託制作の世界で、こんなに長くひとつの媒体(ブランド)の醸成に携われたことはとてもラッキーだったと思います。

しかし、残念ながらそのフリーマガジンは2020年に休刊になってしまいました。当然寂しい気持ちはありましたが、改めてその10年間を振り返ってみると、そうやって長く同じ媒体を育てていく仕事も大切なことなんだなと改めて感じ、自分のやって来たことに対して少し誇らしい気持ちになりました。

そして、それに気が付いた時、今までは「新しいものをバシバシ作っていきたい!」というクリエイティブ欲求が満たされる受託制作の道しか頭になかったのですが、「これまでの経験を糧にインハウスで自社のデザインを育てていくのも面白いのではないか?」と次第に考えるようになりました。

デザイナーとしてこれからどう進むべきか

とはいうものの、今まで20年間、小規模のデザイン会社やフリーランスで受託制作しかやって来ておらず、事業会社の「事」の字も知らない。それに、そこそこいい歳なので、果たして転職出来るのか?という不安ももちろんありました。そもそも転職なんて面倒くさいし、会社の居心地も良く、本当は辞めたくなかった……というのが正直なところです。

しかしながら、もう会社員人生(経験上、「この歳でフリーランスはしんどいな……」と考えているのが大前提)も折り返し。デザイナーとしてどう進んでいくかを考えた時に、残り20年同じことをし続けるのもなあ、という気持ちもありました。それよりも、今までと違う立場で、グラフィックだけに捉われず、中の人としてデザイン全般に向き合ってみたい思い、転職を決意しました。

ちょうどその頃、そんな僕の状況を知ってか知らずか前職の社長が書いていた「産むデザインと育てるデザイン。」という記事もインハウスデザイナーへの挑戦の後押しになりました。

そんなこんなで、年齢的にも体力的にもなかなかハードだった転職活動(この話をすると長くなるので割愛します。笑)をなんとか突破した僕がお世話になることになったのが、リーガルテックのSaaS企業である株式会社LegalForce、現LegalOn Technologiesです。

はじめてのコーポレートブランディング専任のデザイナー

僕が入社する前、社内には開発組織に所属し製品のUI/UXをデザインするプロダクトデザイナーと、マーケティング組織に所属し製品のことを知ってもらうためのデザインをするグラフィックデザイナーとウェブデザイナーしか在籍していませんでした。

そんな中で会社規模が大きくなり、ちゃんと会社としてのブランディングをやっていく必要が生じました。しかし、みなさんそれぞれ本業があるので、なかなか本腰を入れて取り組めないという問題がありました。そこで、コーポレートブランディング専任のアートディレクター(クリエイティブを視覚的な面で統括するデザイナーの監督者的な人/シニアデザイナー層)を採用しよう!ということになったようです。

ブランドを中長期的に捉え、長くデザインを育てていくコーポレートブランディング……まさに、そういったことを転職軸にしていた僕にとってはうってつけの仕事ではありませんか!
ということで、ご縁があって採用された僕が配属されたのが、今まで広報部として存在していた部署にコーポレートブランディングを推進していく機能を追加した「広報・ブランド部」でした。

しかし、当時はコーポレートブランディングのデザイン担当はアートディレクターとしての僕一人だけ。その他は全員広報職の方ばかり。まずは会社よりも所属する部署に慣れるために、右も左も分からないまま広報の方々に混じって毎朝広報定例に出席したり、使い慣れないPowerPointで資料のデザインを整えたりする日々でした。

アートディレクターというよりもデザイナーとしての仕事が多く、資料作りやコーポレートサイトに掲載するニュース記事のサムネイル制作などがメインです。今まで制作の現場でクリエイティブチームを率いてそれなりにガシガシやってきたつもりだったので、「こういうのがインハウスデザイナーなのかな??」と当初のワクワクドキドキとは裏腹に若干の肩透かし感を抱いたというのが正直なところです。とはいえ、デザインの本質は何もAdobeのソフトを使って作業するだけではなく、デザイン的思考でもって課題解決していくことだとは理解していたので、そこまでストレスを感じることもありませんでした。そんなこんなで、周囲の方々にも「さくっとサムネイルや整った資料を作ってくれる便利なおじさん」としてそこそこ重宝されながら、気がつけば、あっという間に1ヶ月が経っていました。

会社にも少しずつ慣れてきたところで、そろそろコーポレートブランディングの方向性とか考え始めようかな〜と思っていた矢先のことです。

「…前川さん、ちょっと良いですか?」

とあるミーティングの後に上司に呼び止められ、そのままその会議室で話が始まりました。

「さっき、経営会議で決まったんですけど、結論から言うと、社名が変わります!

突然のことでした。

つづく……?

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