見出し画像

【図解】「株式公開買付け」とは何か

先日は2日間に渡って、企業目線で見た「株」について書いた。

そして5日、「アメリカのウィーワークがソフトバンクグループの株式公開買付け(TOB)計画を撤回したことを巡り、提訴した」というニュースが報道された。

企業の買収等のニュースを読んでいると、この「株式公開買付け(TOB)」という言葉はよく目にするが、どういう意味なのだろうか。

「TOB(株式公開買付け)」とは?

TOBは株式の売買方法のひとつである。

先日書いた記事「【前編】企業から見た「株」のあれこれ」では、株式の売買を求める人は、証券会社を仲介し、証券取引所に並んでいる銘柄を選んで取引をする、という基本的な株式売買の方法を説明した。

アートボード 1

しかし、TOBはこのように証券取引所を経由せず、株式などの証券取引を行う「市場外取引」の一種である。

そしてTOBの目的は、株式の売却益を獲得することではなく、主に企業買収や子会社化を目的とする。TOBは"Take over Bid"の略であり、"Take over"は買収、"Bid"は入札、つまり「入札による企業の買収」という意味である。

図で表すと、このようになる。

アートボード 1

B社の経営権を握りたいA社がいるとする。A社は独自に株価を設定し、売却をオファーする。もしTOBに成功したら、B社株の保有率によって様々な権利を持つことができる。

TOBは通常の株式と比べ、株価の変動関係なく一定価格で大量の株式を集めやすいというメリットがある。しかし、市場価格よりも高値で提示しなくては株主は売却しないだろう。

またTOBを行う企業が経営権を獲得しようとする場合、他の投資家が知らないうちに買収してしまい、それが続くと寡占、独占市場になりかねない。

TOB後の株式保有率が3分の1(株主総会の特別決議を単独で否決する権限を持つ)を越す場合、買い取り株数や価格、期間などの条件を公表しなくてはならない。仮に提示した買い取り株数よりも少なかった場合、すべて取り消され、TOBはなかったことになる。

ここで1つ疑問を抱く。TOBをすると公表しようとも、資金が大量にある会社がどんどん会社を買収してしまう可能性があるのではないのだろうか…

TOBには2種類ある。

1つ目は被買収企業の合意を得た場合に行われる「友好的TOB」である。多くの企業はこちらの下でTOBを行う。

アートボード 2

もう1つは「敵対的TOB」と呼ばれ、友好的TOBとは反対に、被買収企業の合意を得ずにTOBを行う

しかし、この場合、被買収企業は買収を阻止するために様々な買収防衛策を練る。

「ポイズンピル」という防衛策は、新株予約権を既存の株主に発行し、買収企業の保有率を低下させる。

アートボード 3

「ホワイトナイト」という防衛策は、買収を持ちかけられた場合、友好的な他の企業に自ら買収・合併され、支配下におかれることで、買収を防ぐ。

アートボード 4

「パックマン・ディフェンス」という防衛策は、被買収企業が買収企業に対してTOBを仕掛ける対抗措置をする。つまり真っ向勝負、というわけだ。

アートボード 5

しかし、防衛する被買収企業にもリスクが伴う。例えば「ポイズンピル」の場合、株主への利益供給が出来る体制でなくてはならない。「ホワイトナイト」の場合、友好企業が支配下となり、経営の縛りが出てくる。「パックマン・ディフェンス」では、TOBに成功しても、余裕のある資産が残っていないと元も子もない。

まとめ

①TOBは証券取引所を経由せず、株式市場外で取引を行う
②TOBの目的は、株式の売却益を獲得することではなく、企業の買収である
③両者合意の下で行われる場合(友好的TOB)と合意の下で行われない場合(敵対的TOB)がある

また、冒頭で提示したソフトバンクとウィーワークの件は、両者合意していたが、ソフトバンク側がTOBを実施しない、という方針に変更した、ということだった。

ウィーワークに提訴されたソフトバンク側は「契約条件に基づき、TOBを完了する義務はない」と抗議している。撤回した理由として、新型コロナウイルスの影響により、米株式市場の株価暴落が背景としてある。

ウィーワークの自社株を大量保有していた、ウィーワークの共同創設者のニューマンにとって、今回のTOBが破棄されると、ウィーワークの株の売却先はいなくなり、大量の資産を失うことになる。このTOBが成功していれば、ニューマン氏は最大9億7000万ドル手に入っていたそうだ…

#ビジネス #教育 #就活 #政治 #経済 #テクノロジー #IT #ニュース #ニュースで語る #トレンドニュース #時事 #新型コロナウイルス #いま私にできること #大学生 #株

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?