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よりみち読書録

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#暇と退屈の倫理学

暇と退屈の倫理学と勉強の哲学

別にたくさんの哲学書を読んでいるわけではないので勝手なことをいうのは恐縮なのだが、上記の二冊、つまり暇と退屈の倫理学と勉強の哲学の論にはかなり類似した構造があるように感じた。

まだ全部読んではないのだが、暇と退屈の倫理学は、人は勉強していくことによって自らの環世界を広めることができるが、それをし過ぎてしまうことによって可能性が過大になり、興味が分散してしまって退屈してしまう、ということであっただ

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環世界間移動能力とソフトウェア

「暇と退屈の倫理学」は面白いので読んでいると書きたいことがたくさん出てきてしまう。

ユクスキュルの環世界論は有名なことと思う。簡単に言えば各々の生物は異なる世界の知覚の仕方をするので、そこに現れる世界というのも根本的に各々に異なっている、ということである。

そしてこの本では動物も人間もそれぞれの環世界の中にいることには違いないが、そのありかたはかなり異なっているという主張がされていた。人間は数

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情報「空間」の可能性について

「暇と退屈の倫理学」を読んでいて、定住革命というものから退屈の起源を説明する議論があった。これは、もともと遊動的、つまり様々な土地を移動しながら狩猟採集をして生活していたところから、気候、環境の変化などの理由から定住を強いられ、その結果新しい場所へ移動し、そこに慣れることを繰り返すという日常的な刺激が失われ、人々は退屈するようになった、ということである。農業などの生産システムの革命は定住革命の結果

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