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「地方のまちづくり」と「総合的・探究学習」と「ベンチャー経営」を重ね合わせたら見えてきたこと。

週末は人口3,800人の離島、甑島(こしきしま)でトークイベント

甑島、薩摩川内市、いちき串木野市に多拠点生活サービスのADDress拠点をつくり、アドレスホッパーやリモートワーカーに回遊してもらおうとオンラインイベントを企画してきました。

イベント参加者からの印象的な質問

まちづくりのゴールはなんですか?

偶然にも、高齢化60%の過疎化が進む甑島で地域のために豆腐をつくり、パンをつくり、ホステルやカフェなど島内に19もの運営拠点をつくっている山下賢太さんと、ぼくの答えが一緒でした。

Uターン!

実際に、20代でUターンした山下さんのことばだけに説得力。

ぼくも都農町で痛感してます。ぼくら移住者や関係人口は外部刺激や経済効果として一部貢献できると思うんですが、10年、20年先を考えると定住可能性の高いUターン施策を町としてもっとうっていくべき。

Uターンの阻害要因を克服し必然をつくるには

・仕事を自分でつくれる
・まちを自分で変えれる

ことが不可欠。そのために一番効果的なのが「教育」


まず行動を起こしてから考える、の繰り返しだったこの3年間。
あらためて整理してみると、地方のまちづくりの仕事と、小中学生で必要性が高まる総合的学習(探究学習)の相性はいい。

探究学習を実社会にあてはめたとき、ベンチャー経営って日々探究だなぁと実感。

そして、都農町のような小さな町の経営は、ベンチャー経営に通じるところが多い。

きわめて属人的な感覚ですが、3つの要素はこれまでは縁も交わりもありませんでしたが、それだけに、3つを重ね合わせていくことに1つの可能性を感じています。

1.まちづくりと総合的学習・探究

都農町でまちづくりのお手伝いをするうえで、ものすごく勉強になったのが、町長を筆頭に、少ない人数でものすごく広い範囲のことを、同時並行で考え、アクションまで起こさなければならないこと。

これは分業化・専門化が進む10万人以上の市ではイメージわかなかったこと。一度の打合せで、農業や経済の活性化の話から移住、観光から医療福祉や教育、さらにはスポーツやデジタル・ゼロカーボンとすべてがつながっていくことを実感します(だいたい担当者が同じだったり w)

一方で、中学校の総合学習を各学年、年15時間、独自のプログラムで実施させてもらってるんですが、教育者じゃないぼくが提供できることは、日々自分が実践しているまちづくりの実体験やスキル。

まちづくりは、ものすごく分野が広い一方で、まちづくりプレイヤーがほぼいない町内においては、ぼくらでも相当広い範囲のことを考えたり経験させてもらってます。

これを活かさない手はないなと思い、総合学習のテーマをまちづくりにおき、中学生たちには、総合的な視点とリアルな日常からの発想であたらしい企画や提案を一緒につくっています。

企画をするうえでの前提は「探究

なぜなんだろうと考えを深めていくためには、興味や関心がわくことが前提。その対象が、自分の住むまちだったら、少しはイメージしやすいかな、と思ってます。

まだまだはじめて4年目ですが、総合的学習で興味をもったことを探究し、企画提案したことがリアルに実現する。そんな体験がベースとなって、ある分野を専門的に学びたくなる、そんなプロセスで教科学習のモチベーションもあげてもらえると最高なんですが。

2.探究学習とベンチャー経営

上記の総合的学習のプログラムを考える上で、自分がやりやすいなと思っている理由は、20年近くやってきているベンチャー経営と共通項が多いからな
んです。

わかりやすくいうと、実績も基礎能力もネットワークもあるわけではないので、考えるしかないということ。

ビジネスにおいては、競合がひしめき、みんな考えてるわけなので、どうやって人と違う切り口で考えるか、新しい組み合わせを考えます。

そのプロセスが、探究学習に近いんじゃないかと思っています。

愛読書の『Q思考』で思考の3ステップとして紹介されているのが

なぜ?
もし〜だったら?(仮説)
どうすればうまくできそうか?(How Might We)

このプロセスは、日々のベンチャー経営でも実践しているし、中学生の総合的学習のプログラムを考えるときのベースにもしてます。

余計なお世話の話なんですが、総合的学習探究を、いまいる学校の先生たちで完結するのって大変だろうなぁと思っちゃいます。

もともと、正解を効率よくスピーディーに、間違いのない方法でアプローチすることに主眼をおいた教育がこれまでの主流。そのような環境に身をおいていた人たちが、正解のない課題に対して、幅広い関心から、仮説思考を持って考えを深めていくことを実践、体現できる先生はそんなに多くないんじゃないかなと。

なので、教育の基礎はないにしても、日々、探究を実践しているベンチャー経営者や民間の企画人材をもっと学校に巻き込んで、産学連携であたらしい学びのカタチをつくっていくのは、現実的に可能なんじゃないでしょうか?

3.ベンチャー経営と地方のまちづくり

最後に、ベンチャー経営と地方(特に1万人以下の規模)のまちづくりに共通することですが、最近読んだ本を参考に考えてみました。

最近読んだ本では、もっとも膝を打つことが多かった 笑

そうそう、それそれ、という感じだった理由は、起業家が実践している「5つの原則」

1.手中の鳥の原則
2.許容可能な損失の原則
3.レモネードの原則
4.クレイジーキルトの原則
5.飛行機のパイロットの原則

要は、不確実なことへの対処法としては、分析、計画、予測的手法の「目的主導」ではなく、手持ちの資源を活用してできることから発想しコントロール可能な活動に集中する「手段主導」が現実的であるということ。

たしかに自分に照らし合わせても、利益最大化というよりは、2の原則、損失が許容可能かを考えてるし、3の原則のように予期せぬ事態を避けようとするよりは偶然をテコとして使ったりしている。

4の原則は、知り合った人とは片っ端からつながり、そこでできそうなことで企画をブラッシュアップしたり、5の原則はまさにパイロットなんですが、限られた空間、人員の中でひたすらコントロールしていくとか。

都農町のまちづくりをお手伝いしてきた3年間。新型コロナウイルスの緊急事態宣言からはじまり、ふるさと納税の2年停止、そして町長交代。まさに予測がつかない不確実な事態しか起きていない 笑。

でもそのことは、ベンチャー経営においても一緒。

なので、正直、あまり違和感もなく、大変な感じもしていない。とにかく、いまいるメンバーでやれることととか、損失見込だけだして、その範囲で思いっきりチャレンジするとか、とにかく仲間を増やして相乗効果で乗り切るしかないんで。

4.共通すること


3つの要素に共通することは「正解がない」ということ

なにもまちづくりや探究に限った話ではないのですが、一人のまちづくりプレイヤーとして、町の課題に直面して、自分ができること(手中の鳥)をひたすらやってきた結果、まちづくり探究ベンチャー経営はつながっていたと感じてます。

属人的なことだし、たまたま都農町だから感じたことかもしれないけど、まちづくり、探究、ベンチャー経営という一つひとつの要素の専門性を深めていくだけでは解決できないことはたしか。

この組み合わせがベストかは定かではないけど、これからまちづくりの仕事をしてみたい学生や地方に移住してみたいと思っている人たちに、少しは参考になれば幸いです!

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