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【絵本】『100万回生きたねこ』~自分の人生を生きる~

あらすじ


100万年も しなない ねこが いました。
 100万回も しんで,100万回も 生きたのです。
 りっぱな とらねこでした。
 100万人の 人が, そのねこを かわいがり, 100万人の 人が, そのねこが しんだとき なきました。
 ねこは, 1回も なきませんでした。

読むたびにちがう気持ちになる、りっぱなとらねこの、ふしぎな物語。

出版社からの内容紹介 講談社HPより

感想

10代の頃に出会った『100万回生きたねこ』

はじめて読んだとき、物語の深さに感動しました。
今は、この絵本の内容に自分を重ねながら読んでいます。

実は私、離婚経験があります。20代前半で結婚し、2年ほどで離婚しました。
(20代は大学卒業、就職、結婚、離婚、再就職、再婚…と急ぎ足で駆け抜けました)

前の結婚生活では、慣れない土地で暮らし、思うように仕事が続けられず、子どもにも恵まれず、相手とはすれ違いばかり増えていき…。
本当に自分の人生を生きているといえるのか、と憤りを感じる日々でした。
自分で選択したとはいえ、その状況の中でやりたいことや充実感を見いだせずにいました。

これからの人生を考え、2年間の結婚生活に終止符を打ちました。

その後、再就職をし、新しい生活をする中で今の夫に出会いました。
やがて彼と人生を共にし、子どもという愛おしい存在ができ…。
愛し愛されることの喜びを感じるようになりました。

この経験が『100万回生きたねこ』に重なる気がするのです。

私の中で、この絵本のテーマは、

「本当の愛を知るまで何度でも生まれ変わる」
「自分の人生を生きる」

だと思っています。

生まれ変わりを繰り返すなかで、ねこは生きがいや充足感を心のどこかで求めていたのかもしれません。

100万回目に生まれ変わったとき、ねこは誰のものでもない自分を好きになりました。

ある日出会った白いねこ。
このときねこは、はじめて受け身ではなく自分から相手に近づきます。

そうしてできた、自分よりも大切で愛おしい存在。愛し愛されることで感じた喜びや悲しみ。
100万回目にして、ねこははじめて「自分の人生を生きた」と言えるのではないでしょうか?

私たちは絵本のように何度も生き返ることはできません。
過ぎたことはやり直しできませんが、再出発することはいくらでもできます。

一度しかない人生、失敗があっても後悔がないよう大切に生きていきたいです。

***

ここからは息子の話。
この絵本を読み聞かせをしたとき、最後のページをめくる前に
「ねこはまた生き返ると思う?」
と息子に尋ねました。

すると
「んー、生き返らないと思う」
と返事が。

物語の真意は分からなかったかもしれませんが、これがクライマックスなんだということを息子なりに感じ取ったのかな。

私が歳を取りいろんな経験を経て、絵本の内容を深く感じるようになったように、息子にも、成長過程のなかで変化する絵本の感じ方を楽しんでほしいと思います。

書誌情報

『100万回生きたねこ』
作・絵:佐野 洋子
出版社:講談社
発行年:1977年

***

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