【読書記録】『マンガでなるほど!男の子に「すごい」「えらい」はやめなさい。』
姪が生まれてから、子どもが関わる事件を見ては、それまで以上に胸を痛めていました。
その後、息子を出産。育児をする中で、ニュースを見ながらふと思いました。
「息子が加害者になったらどうしよう…。」
子どもが被害者になるのはもちろん、加害者にだってなってほしくない。出産してはじめて、子どもが加害者にもなりえることに危機感を覚えました。
竹内エリカさんの『マンガでなるほど!男の子に「すごい」「えらい」はやめなさい。』では、若者による暴行事件や性犯罪などの原因の一つに、幼少期の育てられ方が影響していると言及されています。
とても興味深い内容で、育児をする上で参考になりましたのでご紹介させてください。
内容紹介・感想
男の子に「すごい」「えらい」は要注意
竹内さん曰く、性犯罪をする男性には、①自己肯定感の低さ、②共感力の欠如、③ゆがんだ優越感の3つの特徴があります。これには、小さい頃からのお母さんの関わりが大きく影響しているそうです。
まず、親が「口出し」「手出し」しすぎること。子どもは、自分の感情を大切にしてもらえなかったと感じ、他人の感情を大切にできなくなります。(=共感力の欠如)
また、勉強やスポーツなど、点のつくものだけに「すごい」「えらい」とほめること。勉強やスポーツができないと自分には価値がないと感じ(=自己肯定感の低さ)、「人よりも上であること」を求めてしまいます。(=ゆがんだ優越感)
では、どのようにほめればよいのでしょうか?
「(あなたは)すごい・えらい」は、主語は子どもになります。これを“YOUメッセージ”といいます。
この伝え方では、子どもは人からの評価を気にしたり、他人の意見に振り回されたりするようになるそう。
ほめるときのポイントは、そのままを伝えて子どもの行動を認めること。
“アクノレッジ(承認)”といって、「速かったね」「片づけたね」「自分からできたね」など、評価せずに行動を実況中継するだけで、子どもは十分に認められたと感じるそうです。
子どもの頑張りをほめたいときに効果的なのが“Iメッセージ”。「お母さんは部屋が片付いてうれしい」とお母さんを主語にした言い方です。
Iメッセージでお母さんの気持ちを伝えることで、子どもの共感力が育つのです。
私もつい「すごい」「えらい」を使ってしまいます。便利な言葉ですよね。
実況中継は、言葉の発達に有効だと聞いたことがあり、赤ちゃんの頃から実践していたのですが(散歩中に「赤い花が咲いてるね」「風が冷たいね」など独り言のように実況していました)ほめるときにも役に立つとは!
漠然と「すごい」「えらい」を使うより、子どもをちゃんと見て行動を認める、そしてほめるときはお母さんの感情を伝える、この方法を意識していきたいです。
子どもの気質は5タイプ
子育てのゴールは“自立”。子どもが「自分で決める」「自分で考える」「自分で乗り越える」力をつけるためには、親が子どもの“気質”をとらえて適切にアドバイスをすることが大切だと竹内さんは語ります。
本書では、子どもの気質を5つに分け、気質別の育て方を提唱しています。
我が子は何タイプ?
息子は「しっかりタイプ」「わんぱくタイプ」に当てはまりました。
お母さんにも気質があるということで自己分析したのですが、私は「ひかえめタイプ」かな。親子で同じタイプなら子育てで手がかかると感じることは少ないそうですが、うちはまったく違うタイプ…。
本書では、“男の子あるある”ともいえる男の子の行動例や成長過程で出てくる問題について、気質別の対処法を交えながら解説されています。
子どもの気質を把握することで、「○○タイプのうちの子もこういう行動するなぁ」と共感したり、「○○タイプには、こういう対応をすればいいのね」と気づきを得たり…。実生活と照らし合わせながら読み進めることができました。
子どもの健全な成長のために
冒頭で触れた若者の犯罪。その中には、複雑な生い立ちや、過干渉で厳しすぎるしつけで育ったことが原因の一つだと思わせるものもあります。
子どもの健全な成長のために家庭でできること。それは子どもを尊重し自分も他者も大切にできる心(自己肯定感)を育てること、そして子どもの自立を見守ることだと本書を読んで感じました。
本書では、子どもと父親との関わり方や、ひとり親の家庭についても触れられています。
子どもと母親との関係だけではなく、広い視点で親子の関わり方について言及されているので、子育てをしているさまざまな立場の方に読んでいただきたいです。
書誌情報
『マンガでなるほど!男の子に「すごい」「えらい」はやめなさい。』
著者:竹内エリカ
出版社:主婦の友社
発売年: 2017年
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