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夢を追うには期限があるのか〜テレビドラマ『コントが始まる』を観て

毎週土曜日22:00〜日本テレビで放送している、『コントが始まる』。
https://www.ntv.co.jp/conpaji/

このドラマは、”売れる”お笑い芸人を目指している、高校からの同級生トリオ『マクベス』(春斗(菅田将暉) ・瞬太(神木隆之介)・潤平(仲野太賀))と、そんな『マクベス』を応援する姉妹(理穂子(有村架純)・つむぎ(古川琴音))の”生き方”にフォーカスを当てた青春群像劇です。

現在、20代半ばで、先日会社を辞め”これからどう生きていこうか”悩んでいる自分にとって、彼らの言動ひとつ一つが胸に突き刺さりました。
今回のnoteは、このドラマを見ていて感じた事(#08時点)、心に残ったセリフなどを書き留めていこうと思います。

①夢を追いかけることの尊さと残酷さ
マクベスは、「お笑い芸人として売れたい」、という明確な目標があって、共に暮らし、それぞれアルバイトをしながら週に1回はファミレスでネタ合わせを行い、オーディションを受けたり地方のデパートに出向いて営業活動をしたり、たまに単独ライブを開いています。

そもそも、マクベスは春斗と潤平の2人で始まったのでした。
高校卒業後、2人でお笑い芸人として売れるために、進学も就活もせずネタを作っては、テレビ番組のオーディションを受けたり、小さな会場でライブを行います。

お客さんは全然いないし、オーディションの審査員からは酷評でも、”夢に向かって全力で走っている”キラキラした2人の姿に胸を打たれ、瞬太は仲間に加わったのです。

こうした彼らの”売れてないけど、キラキラしていて眩しい”姿は高校時代の先生や行きつけの居酒屋の店主など、かつて夢を追いかけていた大人たちの胸を打ち、みんなが彼らを応援していました。

しかし、当然ですが家族は別で、叶いそうにない夢を追いかけるのではなく、地に足をつけて歩きなさい、と彼らの夢に対して否定的なスタンスでした。そんな両親を説得するため、「10年で売れなかったら、辞める」と約束をします。
そしてその10年目を迎えるタイミングがドラマの始まりであり、彼らの人生の分岐点でもあるのです。


ドラマの中で、お客さんがいなくても、オーディションで酷評されても、3人で乗り越え、ラーメンを食べて悔しさを消化し、またネタ合わせの日常に戻っていく彼らの様子は、輝かしくて”尊い”ものだと映ります。

けれども、彼らの28歳という【年齢】が残酷な事実で、家族はもちろん、周りの大人からもそろそろ夢を見る時間は終わりなのではないか、と諭されるようになります。
本人たちも、先輩のお笑い芸人が解散したり、彼女との未来を考えたり、同級生の出世を目の当たりにした時、”解散”が現実的なものになっていくのです。

特に、夢を諦めるべきなのか、高校時代の真壁先生に相談した時の言葉が、印象的でした。

「そりゃあ、もう諦めたほうがいい。
これまでの10年と、これからの10年はしんどい度合いが違う」


当然、激励をもらえると思っていた矢先、現実的な言葉をぶつけられ、戸惑う彼ら。
18歳からの28歳は、学生時代の”延長期間”として、あり余る体力と希望を持って、全力で売れるお笑い芸人を目指していれば、道は開ける可能性はあった。
しかし、28歳から38歳は、もう”夢見る子供”ではいられない。
希望ではなく、夢に”執着”するようになり、辛いだけの未来が待っている可能性が高い。
社会の一員として定職を持ち、結婚して、子供を産む、といった”一般的な”レールに乗れる最後の期間だ、と。

この言葉は残酷でしたが、どこかで納得している自分もいて。
夢を追いかけている人はキラキラしていて、かっこいい。
しかし、実現しないまま時だけが経つと、夢はいつか自分を苦しめる呪縛のようにまとわりつき、前へ進めなくなる可能性があるのです。

②さんざん傷つけられた”社会”に戻る怖さ
マクベスを応援する数少ないファンの1人、理穂子は、彼らがネタ合わせで利用するファミレスの定員で、最初はスタッフとお客さんの関係でした。


しかし、彼らの様子を見ていくうちに気になり始めた彼女は、ネットの芸能事務所を隅から隅まで探し、一週間かけて彼らの存在を見つけ出したのです。

もともと、彼女は大手食品メーカーで働いていて、おそらく真面目で優秀なOLだったと思われます。

しかし、真面目でしっかりしている性格が故、自分とは関係ないトラブルに巻き込まれ、最終的にはトラブルの最前線で対応する役割を押し付けられてしまいます。

辛い日々でしたが、”自分が辞めたら、次に誰がその位置に立たせられるか”がわかるからこそ、逃げれなかったのです。

そんな責任感が強い

彼女はトラブルの処理が終わるとすぐに会社を辞め、
自宅に引きこもります。

”自分”を殺した会社が憎く、社会が怖かった。

こうした姉の境地を救ったのは妹のつぐみでした。
彼女の献身的な支えによって外に出られるようになり、ファミレスのアルバイトに応募してみようと決意できるまで復活していきます。


”今回ひどい目にあったから、次は優しくて温かい職場になるでしょう”
なんて、誰も断言できません。
外から見るとどんなに良く映っていたとしても、実際の様子は入ってみなければわからない。


アルバイトとして働く理穂子はテキパキと動けていて、店長の目に”優秀な人材”と映ったため、彼女に対して正社員にならないか声をかけます。

アルバイトを続けるか、アルバイト先で正社員として働くか、新しい会社に入社するか、結論を出せずに悩んでいる理穂子が今の自分の状況と重なり、共感できました。

自分は現在、4月末に会社を退職した後は定職についていません。
一度社会人を経験すると、会社が自分の生活にとってどれだけ大きな存在になるか、その職場での生活が辛いと、精神的にどれだけの影響を及ぼすのか、身をもって知りました。
今度は選択を間違えたくない、、、


こうして迷っている理穂子に対して、ファミレスの正社員にならないか打診した店長は、こう話していました。

「ここで働くべきじゃないって考えるだけで、進むべき道が限定される。

どっちに進んでいいかわからない手が一番危険。

じっとしていると、ロクなことにならない」

この言葉にものすごく胸を打たれたし、自分も救われた気がします。
何か一つを選択した時点で人はもう一歩進めているし、それが幸と出るか不幸と出るかは、始めてみなければわからない。
でも、最初は失敗だと思ったとしても、続けてみれば案外うまく行くかもしれない。

最終的に理穂子は、自分の意思で再び会社に戻ろうと決心します。

マクベスの春斗から、「あんなに傷つけられた社会に戻るんですか?」
と問われると
「そろそろ傷が癒えたから、動き出さなきゃ」
と何かを決心したような、清々しい口調で答えました。

③報われなければ、その努力は無駄になるのか
よくある、”努力は報われるのか”問題。
どんなに努力しても、報われないこともあるかもしれない。

理穂子の妹であるつむぎは、高校時代に野球部のマネージャーを務めていました。引退してからは燃え尽き症候群となってしまい、自分の中で新しい目標を見出せないまま、ダラダラと20代を過ごしていました。

売れないけれど、懲りずに10年間目標を目指しているマクベスに対して、
”何か努力して、結果が出なかったら怖い。
どうして自分たちにベット(賭けること)できるのか”と疑問を抱いていました。

これだ、と思う目標を見つけて頑張ってみたいけど、その目標をどう決めればいいかわからないし、
もし時間や体力すべてを注いだ目標が叶わなかったら、自分の体力が無駄になってしまうかもしれない。
貴重な20代を無駄なことに使いたくない。
と、自分もつぐみと似たような考えを抱いていたので、彼女の気持ちにものすごく共感できました。(共感しまくりのドラマです、、)

その努力について、春斗と理穂子の会話が印象に残っています。
春斗:「努力って報われると思います?」
理穂子:「頑張ってきた人の努力は報われてほしいけど、努力は必ず報われるとは、限らないかも。」
春斗:「この類の質問って、努力が報われた人と報われなかった人で答え方が違うんですよね」
理穂子:「でも、努力は後から報われるかもしれない」

そう言うと、理穂子は自分の話を始めます。

高校時代に華道部部長だった彼女は、全国大会で1位を目指していました。
1位になるつもりで、無我夢中で取り組んだけれども、結果は3位。
”努力は報われなかった”と悔しさを引きずっていたが、先日ファミレスのアルバイトで花の名前を聞かれた時、完璧に答えられた自分に驚いた。
その瞬間、努力はこういった形で報われるのだと納得したらしいのです。

叶えたい目標は達成できないかもしれないが、自分の思わぬ形で努力は報われるかもしれない。
無駄だったなんて思わず、自分のやってきた行動や努力を肯定してあげよう。

”辞めることがすべてネガティブなこととは限りませんから”

この彼女のセリフで、自分の中で何か踏ん切りのようなものがついた気がします。
今、自分がやってみたいことは、もしかしたら自分には向いてないかもしれない。
けれどまずは行動してみることが何より大切で、たとえ努力は報われれなかったとしても、経験として自分に蓄積されるはず。
そう信じて、20代というかけがえのない大切な時間を一生懸命過ごしていきたいです。


以上が、ドラマ『コントが始まる』で自分的に心に残った場面やセリフでした。
とにかく、今の自分と重なる部分が多すぎて、涙無しでは見られません。
この5人の選択がとても気になりますし、自分も5人のように”生きる”ことにアツくなっていきたいです。

今回、長々と書いてしまいましたが、こんな感じで映画や本やドラマの感想をnoteで発信していけたらと思っております!

最後までお付合いいただき、ありがとうございました✨

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