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ドラえもんのリーダーシップから学ぶ学習する組織の作り方

小5の息子とドラえもんの映画談義になりました。
要は、どの作品が好きか、ということです。

なんとなく好きな作品とそうではないものがあると思っていたのですが、お蔭で言語化できました。

私は、「のび太が葛藤する状況になったときに、のび太が本来的に持っている素直さや優しさ、勇気によってその葛藤を乗り越え、学び成長していく姿を見たい」と思っています。

思えば、生まれてはじめて映画館で映画を観たのが「のび太の恐竜」でした。そのときから形成されている「ドラえもんの映画らしさ」が私の中にあるのだと思います。

のび太の恐竜は、いまだに泣けてしまいます。
(…というより、どのドラえもん映画でも子どもより泣いている)
やっぱり、あの別れの場面がはじめて観た時から変わらない号泣ポイントです。

おそらく、幼いころ感じていたのは、ただ別れがかわいそう、せつないという涙だったと思います。

いまだと、「ああ、のびちゃん分かるよ、でも、その勇気を持てるのはのびちゃんだからだよねえ…」と彼の姿に勇気をもらっているように思います。

葛藤や失敗から上手に学べているか

私たちは、大人になる過程で、多くの葛藤に出会い、それを乗り越えながら成長していきます。

その乗り越え方は人それぞれです。
恐らく、葛藤そのものを無かったことにして乗り越えることもあるでしょう。タイムマシンで恐竜のピー助と出会っていない時点に戻る、なんてこともできます。

もちろん、現実世界にはタイムマシンはありません。でも、何かうまく行かなかったときに「いや、もともとそんなにやりたいことではなかった」とフタをしてしまうこともあります。つまり、向きあわなければ、無かったことにできる失敗もあるわけです。

私たちは、葛藤や失敗が好きではありません。そこから学ぶことの大切さは理解していても、失敗から学ぶことをうまく実践できていません。

葛藤や失敗から学ぶ組織に必要なリーダーの姿勢

心理的安全性の研究の第一人者であるエイミー・C・エドモンドソンは、その著書の中で以下のように述べています。

人間というのは、頭では組織の中で起きる多くの失敗が避けがたいものだと理解できるが、心では失敗すれば非難を受けるものだとどうしても思ってしまう。これによって処罰に対する反応が起き、多くの失敗が報告されなかったり誤った判断がされたりするようになる。

『チームが機能するとはどういうことか』エイミー・C・エドモンドソン

失敗はただでさえつらいのに、周囲から非難を受けると思えば、なおさらなかったことにしたくなるのが人情です。

これは責任感の裏返しでもあると私は捉えています。ゆえに、克服するのが難しい。特に組織となると、様々な考えがあるために「べき論」で押し進めたくなります。しかし、これでは葛藤や失敗から学ぶことができません。常に「べき」が正しいからです。

この「べき論」は「主張志向」と呼ばれる考えです。
それに対して「探究志向」という考えがあります。

失敗に対する学習アプローチを開発しようと思うリーダーは、好奇心と、忍耐力と、曖昧さに対する寛容さを反映する探究志向を採り入れる必要がある。すると、失敗について安心して話せる環境ができ、率直さという規範がたしかなものになる

『チームが機能するとはどういうことか』エイミー・C・エドモンドソン

私たち自身、さまざまな失敗や葛藤によって成長してきていることは直観的に分かっています。問題は、意図的に学ぶように「べき論」を我慢できるかどうかにかかっています。

完ぺきではない「ひみつ道具」のおかげで、のび太たちは学んでいる

「ドラえもん」は、野比家の未来を変えるために、のび太をサポートしに未来から来ました。そして、サポートの際に「ひみつ道具」を使うわけですが、たいていは最後に失敗するオチがあります。

そういう意味から考えると、ドラえもんは本来のミッションを果たしているとは言いがたいところがあります。しかし、結果としてその失敗から、のび太君が教訓を得られているように見えなくもありません。(「ドラえも~ん…!」といって泣いているだけだったりしますが、まあ、葛藤しているわけです、泣きながら。)

少しこじつけて解釈すると振返りをサポートしているようにも見えます。問題そのものをきれいに「べき論」だけで解決するのではなく、ある種の教訓を発見させています。そして、自分もその失敗に付きあっています(いや、単純にドジなだけだったりしますが)。

特に映画においては、ピンチの際に先頭に立ちつつも、道具ですべてを解決するのではなく、自分の葛藤も開示しつつ、みんなに語りかけながら、突破口を見出していきます。

そして、最後はのび太君の決断を見守り、そんなのび太君のあり方を尊重し、承認しています。


ドラえもんの映画談義から、あれこれ考えてみました。

組織の成長には、葛藤や失敗が必要です。完璧な解決策を示すリーダーは頼りになります。しかし、この世に完璧はありません。仮にあるように見えても、未来永劫続くわけではありません。いつしか、その完璧が囚われになり、失敗を覆い隠すようなことも起きます。

失敗も成功も含め、その経験からいかに学ぶことができるか。
その探求を続けるリーダーシップをお客さまや仲間と実践していきたいと思います。

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