誰もが「弱者」になりえるこの世界で
人が私を紹介するときに、真っ先に出てくる肩書きが「東大生」だ。
日本社会でくらす人間を「弱者」と「強者」に分類したら、東大生は間違いなく「強者」の方に分類されるだろう。
「東大生」は、将来人を動かす立場につくことが期待される。それだけに、社会的責任も、社会的地位も高い。
私は、東大生であることただそれだけをひけらかすのは嫌いだが、
それでも、その自分の肩書きによって他人から一目置かれること、他の人よりも尊敬されることに、(ある種の悲しさと同時に)喜びのようなものを感じていた。