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もの書きのkazumaです。古書店『一馬書房』店主。在宅ライター。主に短編小説をnoteに発表していきます。
    • 短編小説集

      • 4本

      kazumaの短編小説集です。

「私たちはさよならと言った」

 一九九九年の夏、雪村澪は学舎を繋ぐ渡り廊下の上で宙に浮いていた。首元に赤いリボンの付いた、半袖の白いサマーブラウスと学校指定のチェック柄のフレアスカートの裾を…

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18時間前

「バナナフィッシュのいない夏」

 ある男が浜辺の階段に腰掛けている姿を望は何度も見かけた。その男はいつも朝早くにやってきて、ちょうどきっかり七時になる前にいなくなる。海の底に引きずり込まれる貝…

6か月前

「ハイライトと十字架」

 壁掛け時計の針が秒を盗む。午後十一時五十八分。オフィスビル八階。真白杳は事務用チェアの背もたれに体を預け、天井のタイル目地を眼で追っていた。壊れた蛇腹のブライ…

10か月前

『赤い風船、笑うピエロ』

 遊園地の一角で、赤い風船がひとつ、子どもの指先を離れ上空へと向かって昇っていった。 「おかあさん、あれ!」  デニムのつなぎを着た少年は、いまにも泣き出しそうな…

1年前