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ブラッドベリ1000日チャレンジ

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レイ・ブラッドベリさんが、「クリエイティブになるには、三種の読書を1000日続けよ」と仰っていたということで、短い物語(短編小説)、詩・俳句・短歌・歌詞、論考と三種類のテキストを…
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#角田光代

ああ、ヨットのようだ【ブラッドベリ1000日チャレンジ#0134】

【短編小説】ポケットのなか/角田光代 ◎
10年近くかけて「だいじょうぶ」という信頼感を夫婦で築いたが、ほんのささいな出来事から離婚に至ることに。そんなことでと思う反面、自分の妻との付き合いも20年以上になるなかで、実際に変化したり、ずれのようなものを感じることもあり、妙な納得感があった。小説に書かれていたが、私たちは、得たいの知れないものを抱えているのだ。

【詩・俳句・短歌・歌詞】土/三好達治

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バレンタインは苦い思い出ばかり【ブラッドベリ1000日チャレンジ#0108】

【短編小説】初バレンタイン/角田光代 ○
どうして中原千絵子は、チョコレートを買わないまま、バレンタインを迎えてしまったのか。なぜ田宮滋は、20万円近い指輪を買ったのか。その辺りの行動の理由が分からなかったのので、あまり共感できなかった。また、プレゼントした本も、すごいとしか書かれておらず、このストーリーの説得力アップにつながっていないと感じた。

【詩・俳句・短歌・歌詞】かなしみ/谷川俊太郎 ○

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美しい願いごとのように紙風船を打ち上げる【ブラッドベリ1000日チャレンジ#0107】

【短編小説】さがしもの/角田光代 ◎
読み終えて、自然と涙が出てきて、鼻をかんでしまった。この短編は、祖母と娘の物語なので家族ではあるが、人と人はつながり合い、影響し合いながら、生きているんだなあと、改ためて感じられた。血のつながりとは関係なく。この短編集はどれも本をモチーフとしているが、本があるかどうかも関係ないと思った。

【詩・俳句・短歌・歌詞】紙風船/黒田三郎◎
紙風船をポンポンと打ち上げ

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何も語らずそれでも人生に影響を与えた【ブラッドベリ1000日チャレンジ#0106】

【短編小説】ミツザワ書店/角田光代 ◎
最初は、ちょっと主人公の行動がわざとらくし感じていたが、結果的には、老女の書店店主と主人公の人生が重なり合う素敵な物語であった。万引きしたことも含め、二人に直接的なコシュニケーションはほとんどなかったが、それでも人生に大きな影響を与えたのは、人々が生きている不思議とも言えるのではないか。

【詩・俳句・短歌・歌詞】街/与謝野晶子 ○
この詩は「遠い遠い処へ来

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学校はグライダー人間の訓練所【ブラッドベリ1000日チャレンジ#0105】

【短編小説】引き出しの奥/角田光代 ◎
誰とでも寝てしまう女性が主人公で、どんな話になるのかと思っていたら、伝説の古本を探していくうちに、自分自身や周りの変化から、世界に美しい瞬間を見い出して終わるささやかなハッピーエンドに。そう、きっと美しい一瞬とは、唐突に訪ずれるのだろうし、日常のありふれた光景に隠れているのではないか。

【詩・俳句・短歌・歌詞】歌/中野重治 △
何度も読んだが、この詩自体の

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いつかは分からないが人は必ず死ぬ【ブラッドベリ1000日チャレンジ#0104】

【短編小説】不幸の種/個田光代 ◎
不幸の種に思える本をめぐる十年にわたる物語。ただ、出来事に対する解釈も人それぞれである。幸福も不幸も、やはり本人の心のありようでしかなく、例えば、離婚も不幸と一方的に決めつける必要はなく、本人にとっては幸福を感じるための決断かもしれないと改めて認識した。

【詩・俳句・短歌・歌詞】鄙ぶりの唄/茨木のり子 △
鄙ぶりとは、田舎めいていること。調べて初めて知ったこと

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幸福とは自分の心のありようそのもの【ブラッドベリ1000日チャレンジ#0103

【短編小説】彼と私の本棚/角田光代 ◎
私とハナケンは、互いの本棚を通じて、恋人としてのつき合いを深めていた。読書好きの人からすると、とてもよく分かる状況。でもそれは、恋愛における必要条件ではないから、ハナケンに別な好きな人が現れ、分かれることになる。「私」は、なかなか割り切ることができずにいたが、過去の豊かなつき合いが無駄になるわけではないから、新たな生活に力強く進んでもらいたいと思った。

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本当に大事なものは、君の中にこそある【ブラッドベリ1000日チャレンジ#0102】

【短編小説】手紙/角田光代 ◎
旅の直前に恋人と喧嘩して、おひとり様で旅館に泊まる女性。部屋に置いてあった本の中から、偶然にも手紙を見つける。少し自分の境遇とも似ており、段々と手紙の語り手と自分を重ね合わせるようになる。共感しつつも、相対化することで、現在の自己を超え出ようとしているのだろうか。

【詩・俳句・短歌・歌詞】用意/石垣りん ○
四季の移り変わりと、自身が生きることをオーバーラップさせ

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言葉は時空を超えて存在する【ブラッドベリ1000日チャレンジ#0101】

【短編小説】だれか/角田光代 ◎
タイでマラリアにかかった24歳の女性が、病床でたまたま手に取った本を通じて、ある人物の存在をまざまざと感じる。それは単なる妄想なのか、ある種の必然的な確信なのかは定かではない。まさに「だれか」であり、その人物像より風景の方が、ずっと残り続けているようだ。

【詩・俳句・短歌・歌詞】滅私奉公/吉野弘 △
この詩で訴えたい主旨が、ちょっとよく分からなかった。もしかして

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自分が今ここに存在する奇跡【ブラッドベリ1000日チャレンジ#0100】

【短編小説】旅する本/角田光代 ◎
事実に基づいているのか、フィクションなのかは分からないが読んでいるだけで、ワクワク、ドキドキした。本ではないが、よく会う人、モノもあったりするので、そうした自分の体験も思い出された。角田さんの文章を読むのは、とても久しぶりだったが、読みやすいし、気持ちもよかった。主人公の変化、成長を感じらたのもヨイ印象である。

【詩・俳句・短歌・歌詞】リンゴ/まど・みちお ◎

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