【北欧旅行記5】あなたたちの英語力では無理よ!?
【北欧旅行記5】
もしあなたが甘え下手なら、北欧へ行ってみるのはどうだろう?
成田空港に着いて一番に探したもの
翌朝、いよいよ出国だ。
飛行機は12:40発。
3人とも出国前に空港でやっておきたいことがあったので、
かなり早めにホテルからの直通バスに乗り込んだ。
成田空港に着くとまず、空港内施設の案内パンフレットに手を伸ばす。
探したのは「クイックマッサージ」
3人とも、ひょろっとしていて筋肉が足りないタイプ。
仕事も趣味もバラバラでも、年齢と体質はよく似ている。
普段から3人とも、鍼灸や整体を定期的に利用していた。
女性の30代前半は厄年前後ということも関係あるのかないのか、
故障しやすさ、疲れやすさを抱えていた。
空港内施設の案内パンフレットでみつけたのは、
現在地のロビーから、かなり離れたところにある
「リフレクソロジー」のお店。
案内パンフレットを見ながら、空港ビルの端の方をめざす。
空港というよりオフィスビルの廊下のような雰囲気の場所に
「リフレクソロジー」の看板を見つけた。
開店と同時に店に入った。
心地よい香りと空間で少し安心した。
普段から鍼灸や整体を利用してはいるものの、
初対面の人から施術を受けるのは怖い。
相性の悪い人だと、余計に悪くなる。
出発前にそのリスクはとりたくないが、少し体を整えたい。
背中や首を相性が良い人にほぐしてもらうとすごく楽になる反面、
相性が悪いときはてきめんに悪くなる。
その考えは3人とも共通していて、
選んだメニューは「足マッサージ」だった。
3人並んで足浴で温まった後、膝から下をほぐしてもらう。
サービスのハーブティーを飲みながら、
お店のお姉さんたちに
これから北欧に行くこと、帰りは2週間後ということなどを話し、
すっきりした気持ちで店を出た。
足がぽかぽかになった。
お姉さん達も、ぽかぽかの笑顔で「行ってらっしゃい」と見送ってくれた。
それぞれの機内生活
離陸予定は12:40。
その時間、離着陸する飛行機が混み合っているらしかった。
しばらく滑走路で待機したまま動かない。
予定より30分ほど遅れての離陸となった。
後からこの30分の遅れが大きく響くことになるとは思っていなかった。
S航空はエコノミー席にもプライベートモニターが設置してあった。
機内も綺麗だ。
1年前に県の派遣事業で行った時に利用したK航空より快適だった。
映画も自分の好きなタイトルを好きなタイミングで
プライベートモニターに映すことができた。
(K航空はプログラムごとに放映時間が決まっていた)
常に、飛行中の場所を示した地図と、
飛行機の真下のリアルタイム映像をみることができた。
真下の映像は、ほとんどずっとシベリアの雪山の様子だったが、
それでも私にとっては真新しくて、頻繁に見てみたり、
映画を見てみたりしていると、眠れなくなった。
「向こうに着いたら夜なんだし、着いてからぐっすり眠れるだろうから、無理に寝なくていいや」と楽観的に考えていた。
一方でシーさんはというと、やっぱり寝ている。
いつから寝ているんだろう。
きっと離陸した時には寝ていたんだろうな。
ユカちゃんは、もともと不眠気味ということで、
寝られないことは想定内だったらしい。
ずっと座っていると体が痛くなるから、とほとんど席にいなかった。
いったいどこに行っていたのだろう?
喉が乾燥してきたので、私は散歩をかねて
客室乗務員のいるところまで歩いた。
「アメをいただけますか?」
というと、
「アメですか。機内にはないのですが、似ているお菓子なら」
とグミのようなチョコレートのような不思議なお菓子をもらった。
飛行機に乗るとアメがもらえる、
飛行機の入り口でかごにいれたアメを持って客室乗務員が立っている、
それは、日本だけなのだろうか。
グミのような不思議なお菓子では、潤わない。
国際線に乗るときは、のどアメは持参しよう。
あなたたちの英語力じゃ無理よ!
私たちの乗った飛行機は、
現地時間で16:30頃(日本時間だと夜中の0:30)
デンマークのコペンハーゲン空港に着陸した。
予定より1時間ほど遅れている。
コペンハーゲン空港で、国内線に乗り換える。
同じデンマークの第2の都市、オーフスに行くのだ。
オーフス行きの出発時刻は17:05。
入国審査は、あっさり通過した。
しかし、そのあとに手荷物検査の長い列ができている。
その列はなかなか進まない。
乗り継ぎ時間は迫ってくる。
ほぼ初めての海外旅行。
「私たち乗り換えがあるんだから早くしてよ」なんて言えるわけもなく、
おとなしく長い列が進むのを待った。
大きな外国人に囲まれて、私たちって小さいんだなと思った。
乗り換えに遅れるかもと思いつつも、
「同じ航空会社だし、スーツケースも預けたままだし、乗り換え連絡が入っていて、なんとかなるんじゃないか」とどこかで甘く考えていた。
ようやく国内線のターミナルに着いたのは、
ちょうどオーフス行きの出発時刻17:05だった。
「今、飛び立ったところだって」
私たちが国内線のターミナルについてすぐに、
そう話しかけてきてくれたのは日本人男性だった。
30代半ばくらいのスーツを着たビジネスマン。
私たちと同じ飛行機だったらしい。
取引先がオーフスにあるらしく、
これまでに何度も同じ乗り継ぎでオーフスに行っているそうだ。
それでも、乗り継ぎに間に合わなかったのは、今回が初めてなのだという。そして、オーフスに行く日本人に出会ったのも初めてだと言われた。
ああ、この人がいてくれてよかった。
これで、オーフスまでこの人についていけばいい。
と、思ったが甘かった。
私たち3人とそのビジネスマンは一緒にカウンターに行き、
次の飛行機を手配しようとした。
その男性は、ビジネス上の英語には困っていないらしいが、
カウンターでは少し通じない部分もあって手間取っていた。
簡単な単語でのやりとりを聞いて、
ああ、そういう風に言えばいいのね、
とそのままのフレーズを真似してカウンターの人に伝えた。
私たちが理解したのは
・次は4時間後の21:10まで便がないこと
・21:10の便は満席ということ
・キャンセル待ちはできること
・何人キャンセル待ちで乗れるかわからないこと
・その次の22:50の便なら予約が取れるということ
だった。
ビジネスマンの男性は、すぐに決断した。
21:10の便にキャンセル待ちをかけて、22:50の便を予約した。
さらに、
「4時間時間があるから、コペンハーゲンの街にでかけてくる」
と去って行ってしまった。
取り残された私たち3人。
さて、どうするか。
カウンターのお姉さんは
「どこかに電話しようか?」と聞いてきた。
私たちはその日から、フォルケホイスコーレの寮にお世話になることになっていた。
日本人教員のユタカさんに、私たちのフライト予定は伝えていて、
学校で到着を待ってくれている。
カウンターのお姉さんに、ユタカさんの携帯番号を渡した。
ユタカさんにつながった電話の受話器を渡され、
コペンハーゲンで乗り換えに遅れたのだと事情を説明する。
「じゃあ、荷物を出してもらって、列車で来る方が早い。4時間も乗れるかどうかわからない次の飛行機を待ってる間にオーフスに着く。」
と言われ、
「じゃあそうします」と電話を切った。
カウンターのお姉さんに、
「電車でオーフスまで行く。私たちの荷物が欲しい。」と伝えると
眉間にしわを寄せ、一言。
「Difficult!(難しい)」
続けて、地図を出してきた。
「今、私たちはここにいる」
「あなたたちが行きたいのはここ」
「電車のルートはこう」
「とても遠い」
「次の飛行機を待つのが良い」
とまるで子供に一つ一つ言い聞かせるように説明してくれた。
「とても難しい?」と聞くと
気の毒そうな表情をしたお姉さんが
「今のあなたたちの英語力では難しい」
と言ってきた。
フォルケホイスコーレは、オーフスの空港からさらに車で1時間以上かかる。英語力は確かにかなり問題があったと思うが、そうでなくても乗り継ぎなどが難しいのかもしれないと思った。
カウンターのお姉さんは、荷物を出す手配をしてくれそうもない。
もう一度、電話を渡してくる。
再び、ユタカさんにつないでもらい
「飛行機を待つことにした」と伝える。
すると、
「到着が24時を過ぎるようなら、学校に入れなくなるから
今日はどこかで宿を取った方がいい」と言われる。
キャンセル待ちをしている21:10の便に乗れたら、間に合う。
22:50の便では絶対に間に合わない。
21:10の便に乗れないようなら、
コペンハーゲンかオーフスで宿をさがそう。
ユタカさんには、21:10の便に乗れないことがわかったら、また連絡すると伝え、電話を切った。
書いてみたこと、発信してみたこと、 それが少しでもどこかで誰かの「なにか」になるならばありがたい限りです。