"エッセンシャル思考"

エッセンシャル思考とは、より多くの仕事をこなすためのものではなく、やり方を変えるためのものである。
「エッセンシャル思考」

エッセンシャル思考の3つの考え方

エッセンシャル思考でない、「非エッセンシャル思考」の人がしやすい思考は次の3つだ。

  1. やらなくては

  2. どれも大事

  3. 全部できる

心当たりがある人も多いのではないだろうか。
これらは私たちから「選ぶ権利」を捨てさせようとするのだ。
私たちは、自分の手で人生を選択するために、思考回路をリニューアルする必要がある。
ではどのようにリニューアルすれば良いのか。それは次の3つである。

  1. やると決める

  2. 大事なものは滅多にない

  3. なんでもできるが全部はやらない

この3つこそ、エッセンシャル思考の基盤とも言える考え方である。
この考え方が、私たちが本当に大事なことを見極め、最高のパフォーマンスを発揮することを可能にしてくれるのだ。


選択とは、行動である。
与えられるものではなく、自ら掴み取るものなのだ。

エッセンシャル思考の第一歩目は、「選ぶ」ということを選ぶことだ。
選ぶ権利を手放すことは、他人に自分の人生を決めさせるのと同じなのだ。


学習性無力感の話

学習性無力感というものを知っているだろうか。
この本の中では、セリグマンとマイヤーの実験が例として出ている。知らない人はぜひ調べてみてほしい。

この実験では試験対象は犬であるが、これを人間に置き換えた時、2つのパターンに分かれる。
まず1つは、努力することをやめてしまう人。
そしてもう1つは、投げ出すのではなく、逆に働きすぎるのだ。
あらゆる仕事を引き受け、どんな難題も諦めない。何もかもをやろうとする。
これは一見、学習性無力感とは無縁のようだが、それは単なる見せかけである。自分では何ひとつ選べないから、すべてを引き受けているだけなのだ。

選ぶことを忘れた人は、無力感にとらわれる。だんだん自分の意志を失い、他人の選択、あるいは、自身の過去の選択を黙々と実行するだけになってしまう。
「エッセンシャル思考」

個人的には、この部分が1番印象深い。
無力感を覚えることで行動することを選択肢から排除してしまうというのは知っていたが、逆に全てをやろうとする形で選択肢を排除しようとする行動パターンは考えもしなかった。
そしてなによりそれは、自分自身に当てはまることでもあった。
サッカーのゴールキーパーというのは、奥が深いもので、技術的な部分で習得すべきスキルがかなり多くある。特に現代では、ゴールキーパーが攻撃に参加するという要素が加わり、止めるだけでなく、パスを繋ぐといった、フィールドプレーヤーと同じようなスキルも求められるのだからなおさらだ。
僕は完璧主義者だ。全てを完璧にこなしたい。
ゲームで言えば、全てのキャラクターがレベル100であってほしい。敵よりも自分の能力の方が高くあることを望む。
サッカーでも同じだ。誰よりもシュートを止め、誰よりも広い範囲を守れて、誰よりもスピード、パワーがあり、誰よりもパスを繋げる。
だから、たくさんの時間を使っていろんなことを詰め込んだ。あらゆる練習をして、あらゆるトレーニングをした。まさに、全てをやろうとしたのだ。
しかし、これを読んで気付けた。自分が進んでいる道の先は地獄に落ちる崖なのだと。


努力の量が成果に比例するとは限らない。

そういう考え方を学んだ章だった。


トレードオフの話

トレードオフとは、簡単に言えば「何を取って、何を捨てるか」という考え方である。

何かを得るためには、何かを捨てなければいけない。
岡田武史(元サッカー日本代表監督)

また、何かにイエスということは、その他すべてにノーということと同じである。

逆に全部を優先するのは、何も優先しないのと同じである。

「どうすれば両方できるか」ではなく、
「どの問題を引き受けるか」と考える。

「何を諦めなくてはいけないか」ではなく、
「何に全力を注ごうか」と考える。

この思考の違いが、大きな差を生むのだ。


選ぶための「基準」の話

私たちは常に選択を迫られている。
日常生活の中で、つい「どちらでもない」を選んでしまうという経験は、誰もが心あたりがあるのではないだろうか。
この本の中に、こんな言葉があった。

絶対に「イエス」だと言い切れないなら、それはすなわち「ノー」だ。
エッセンシャル思考

私たちはつい惜しいものをキープしたいという感情に駆られる。しかし、いつか「着るかもしれない」と取っておいた服は、それから着ているだろうか。それとも未だにクローゼットに眠っているだろうか。

この本では、90点ルールというものが紹介されている。
これは簡単で、最重要基準をひとつ用意し、その基準に従って選択肢を100点満点で評価する。その中で90点未満は、0点と同じ。不合格だ。
こうすることで60〜70点くらいの中途半端な選択肢に悩まされずに済む。
これはトレードオフを強く意識させるやり方である。厳しい基準を設ければ、必然的に、大多数の選択肢を容赦なく却下することになる。完璧な選択肢が現れることを信じて、かなり良い選択肢を切り捨てるのだ。



まとめ

この、エッセンシャル思考を読んで、僕は自分の固定された思考を1つ壊すことに成功しました。
「努力の量が成果に比例するとは限らない」という言葉。これはまさに、最近の自分を表していたと思います。
僕のnoteを読んでいただいている方はご存知のように、僕は勤勉であり、努力家です。
自分で言うなと言う声が聞こえそうですが、ここは一旦落ち着いて流してください。ドードー。
僕の中にあったのは、「正しい努力は必ず報われる」というもの。しかし、試合に出れていない、結果をどうにかして掴みたい僕はいつしか、「必ず報われる正しい努力をたくさんやれば、それだけ早く、そして圧倒的に報われる」という思考になっていました。
量も質も求める考え方です。しかしそんなことは不可能です。だって、何かを取るということは、何かを捨てるということなのですから。
そうして僕は、質を求め、その上で量を求めました。その結果、量を求めるのに比例して質が下がっていきました。身体的、精神的疲労が積み重なり、怪我をしました。努力して前に進もうとしていたのに、結局、努力するための時間を失うことになってしまいました。
この本を読んで、僕がすぐに変わることはないと思います。今ある思考のクセは簡単には取れません。気付いたら、完璧を求めてしまうと思います。しかし、僕には「気付く」という選択肢が与えられました。
全てをやろうとして破滅に向かう自分に気付き、やり方を変えるという選択ができるようになったのです。
それはまさに、この本が僕に対して与えてくれたもの
僕はこの機会をきっかけに「変化」し、エッセンシャルなやり方によって「成果」を掴み取ります。
ここに書いてあるのは本当に1部に過ぎません。そしてこれらは、今の僕が目についた部分をまとめたにすぎません。このnoteを読んで、少しでも興味があるなら、この本を手に取ることを「選ぶ」ことをおすすめします。

2022.3.17

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