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「介護booksセレクト」⑪『医者を選べば認知症は良くなる!』  河野和彦

 いつも読んでくださっている方は、ありがとうございます。
 おかげで、こうして書き続けることができています。

 初めて読んでくださっている方は、見つけていただき、ありがとうございます。
 私は、臨床心理士/ 公認心理師越智誠(おちまこと)と申します。


「介護books セレクト」

 当初は、いろいろな環境や、様々な状況にいらっしゃる方々に向けて、「介護books」として、毎回、書籍を複数冊、紹介させていただいていました。

 その後、自分の能力や情報力の不足を感じ、毎回、複数冊の書籍の紹介ができないと思い、いったんは終了しました。

 

  それでも、広く紹介したいと思える本を読んだりすることもあり、今後は、一冊でも紹介したい本がある時は、お伝えしようと思い、このシリーズを「介護booksセレクト」として、復活し、継続することにしました。


「医者を選べば認知症は良くなる!」河野和彦

 

 恥ずかしながら、つい最近まで、今回、取り上げた書籍の著者でもある河野和彦医師を知りませんでした。

認知症と大人の発達障害」という、現場に関わっていれば、近年によく耳にするテーマについて詳しい医師ということで、失礼ながら、長年、認知症に関わってきた河野医師のことを初めて知りました。

 そこで、その著書も読んでみようと思いました。

 正直なところ、このタイトルを見て、気持ちが身構えてしまいました。

 私は医師ではないのですが、認知症は治らないのは、さすがに常識としては知っています。

 そして、確かに「良くなる」は「治る」ではなく、この書籍の中でも「認知症は治る」とは書かれていません。

 最初は、だまされたような気持ちになりました。

丁寧な診察と治療方針

 ただ、読んでいくと、それまで医療に関して感じていた疑問を、かなり共有できることに気がつきました。

 ひどい医者を見分ける方法として、こういう書き方をしています。

「患者や介護者の言うことを聞かない」

 確かに、認知症は日常生活の中での症状や、困りごとに対処してほしいのに、さらに、情報として日常のことも知っておいた方がいいと思えるのに、それらを軽視するような医療関係者については、私も、これまでも不信感を持ってきました。

 それに、河野医師は、認知症に対して「コウノメソッド」を提唱しているのですが、このメソッドをホームページで公開し(書籍出版当時)、それに、そのメソッドを使用する際に、お金を請求するわけでもなく、自分の名前をつけているのは責任の所在をはっきりさせるため、と書いているので、これらが本当であれば、信頼性はかなり高まります。

 さらに、この「コウノメソッド」のテーマについては、こう書いています。

①中核症状よりも周辺症状を優先して治療する。
②介護者の体力と心の保護を優先して治療する。

 この原則が本当に守られれば、とても素晴らしいし、支援者としても、ありがたいことだと思いました。

 それに、薬の処方に関しても、高齢者の体力などや、認知症でも症状によって、または時期によって、量や種類を考える必要がある。と主張をしていて、それは、この書籍を読む限り、丁寧な診察と治療に感じられました。

 認知症には、安心感が大事なので、この方針で診察と治療と、状況によって細やかに薬の処方を変えてくれるのであれば、それは、少なくとも認知症の症状が悪化することは、かなり少なくなるかもしれない、と思えました。

わからない点

 認知症の権威とは、認知症の中のある一つの病気をよく研究している人のことで、認知症の全体について知り尽くしている人ではありません。(中略)
 大学病院の教授などの権威者は、認知症の中の一つの病気について深く研究してきた人です。特定の病気についてならば詳しいでしょうが、認知症の全体について詳しいわけではないのです。
 しかし、認知症を治療するには、その全体を知らないと、とんでもない間違いを犯してしまうことになります。 

 現場のプロである河野医師を、私がこれまで知ることができなかったのは、自分の勉強不足もあるとは思うのですが、河野医師が、こうした信念に基づいて発言をしていたとすれば、いわゆる医療界のメインストリームから反発を食らうでしょうから、広く伝わりにくくなっている可能性はあります。

 さらに、医師でもなければ、栄養学のプロでもない私には、この書籍の中で、認知症に有効とされていることに対して、本当かどうかを確認することができません。

フェルラ酸含有食品の威力で胃瘻をせずに天寿を全う 

グルタチオン点滴 

 これまでの医療関係者からは、この食品や点滴については聞いたことがないため、すぐに信じることはできませんでした。(ただ、それは私の不勉強の可能性も低くないとは思いますが)。

コウノメソッド

 それでも、全体の印象としては、もしも、ご家族が認知症になり、病院にかかったとしても、より症状が重くなったり、医師が味方になってくれず、余計に孤立感が高まった場合。そんな苦しい時に、こうした関わり方を医師がしてくれれば、どれだけ助かるだろう、というものでした。

 ただ、フェルラ酸含有食品や、グルタチオン点滴などに関しては、私の能力では、その価値が絶対に正しいという保証もできません。

 
 それでも、認知症になっても、少しでもその認知症になったご家族が快適であるように、もしくは苦しみが少ないように、といったことを思われている家族介護者であり、今、病院に通っているけれど、何か違うかもしれないと感じられている方。医師が味方になってくれないと思っている人。もしくは、どんな病院に行ったらいいのか、わからない人。

 そんな方々がいらっしゃったとしたら、その選択肢の一つとして、できたら、この書籍を読んでから、この「コウノメソッド」を実践している医師は全国にいらっしゃるようですので、問い合わせしていただいても、いいのかもしれません。

 ただ、申し訳ないのですが、私も自分自身で「コウノメソッド」が絶対に正しいのかどうかの保証ができませんので、合わない場合はやめていただくことを、おすすめします。

 今回は、ただ素直に、おすすめできずにすみませんが、今の認知症医療を考えるときに、決して無視できないと考え紹介することにしました。

 あいまいな書き方になり、申し訳ないのですが、それでも一読の価値は十分にあると思います。(この言い方も偉そうになり、すみませんが)。

 今回は、以上です。




(他にもいろいろと介護のことを書いています↓。よろしかったら、読んでもらえたら、うれしいです)。



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