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就労支援日記⑱~支援の「見える化」に挑んでいます~

就労支援の現場では、利用者さんの障害種別や疾患を考慮して支援を展開することが、基本中の基本である。
それでも個別具体的に支援をしていくと、障害種別や疾患よりももっと重要と思える要素がクローズアップされてくる。
それは、その方がいま現在置かれている状況にほかならない。

当たり前すぎる話に聞こえたかもしれないけれど、もう少し辛抱して読んでほしい。
例えばパニック障害という診断を受けている方でも、その方がこれまでパートやアルバイトをしたことがない方なのか、つい最近まで働いていた方なのか、これまで何度か転職を経験してきた方なのか…、というキャリア的要素が、実際の支援ではとても重要となってくる。

これまでの支援の経験からすると、障害や疾患の種別性はあくまでも支援の大枠をかたちづくる、枠組みみたいなものである。
最初はここからスタートするにしても、次第に労働契約や社会保険の理解、作業可能な時間の見積もりなど、支援のより具体的な肉付けを行っていくときには、その方のキャリア的要素を背景に対話を重ねていかないと、なんの実行性も機能しないのである。

もともと風の丘は、年齢やキャリアなど多様な背景を持たれている方々がご利用されているので、個別的な支援が原則となっているのだが、最近、個別的に展開してきた支援を整理して、わかりやすくしたほうがいいのかなと思いはじめた(支援の「見える化」というのだろうか)。

こんなことをかんがえ始めたきっかけは、とある利用者さんから、“風の丘の支援は、中に入ると(利用すると)わかりやすいんだけど、外側からだとわかりにくい”と言われたことがあったから。
じゃあ、外側からでもご理解いただけるように、支援上特に大切とかんがえることがらを前もって提示して、ご自分の置かれている状況に合わせた支援を、ご自分でマッチングできるように工夫してみよう、とういうことになった。

そこで、いろいろとすったもんだしたあげく、支援プログラムをコース別にわけて、なるべくわかりやすく当事業所で実践されている就労支援の実際を、ご理解いただけるようにまとめることにした。


就労支援センター風の丘 就労支援各コースのご紹介
★―コース名
●―主な対象者
 ・-支援のポイント(一部)

★中途退職者コース
●うつ病やパニック障害など、心身の不調により職場を退職した方
・失業保険の手続き
・これまでの「働き方」の振り返り
・これからの「生き方」の選択(「~がしたい」という気持ちから出発する)

★「初めての就職」コース
●パート、アルバイトの経験がなく、またはこれまで派遣社員としての経験しかない方
・正社員、派遣、パート、契約社員などの違いを知る
・社会保険(雇用、労災を含む)のしくみを理解する
・社会に対する肯定的感覚(人の役に立つことへの肯定的感覚)の醸成

★転職経験者コース
●これまでに幾度か転職を経験してきた方
・「生き方」の見つめ直し(人生の棚卸し)
・仕事以外の領域を豊かにする方法をみつける
・情報(求人情報を含む)の読み方/関わり方

★休職者コース
●現在、職場を休職している方
・これまでの「働き方」の再確認
・復帰に向けての職場との連絡/調整
・復職か転職かの選択(肯定的に自分を見つめるということ)

★ブランク明けコース
●以前仕事をしていたが、心身の療養などのため比較的長く休養期間をとっている方
・これからの「生き方」の構想
・「人とともにいられる感覚」の取り戻し
・ブランク前と現在の客観的な体力評価

最後に、これからより本格的に展開していく予定のコースをご紹介いたします。

★仕事と介護の両立支援コース
●ご両親の介護など、仕事と介護の両立が課題となっている方、または今後課題となりうる可能性がある方
・介護休業制度を知る(使い方を学ぶ)
・介護保険のしくみを理解する
・介護者の相談窓口、当事者グループを知る(介護者の現状を知る)

コース別支援は発展段階の構想ですので、これからより洗練化させていく予定です。
もう少し精査した後、ホームページに掲載いたします。
みなさまのご意見、ご要望など賜れば、幸いです。


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