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創作には「創作しない」を考えること

 創作がうまくいかないと感じる場合、足りないのは創る工夫ではなく創らない工夫だ。
 なぜなら、現代に求められるクリエイティブの本質は、「考えないこと」にあるからである。考えないとは、つまり創らないということだ。私達がこの現代に、何かを創ろうとしたりアイデアを出そうとしたりする時は、むしろそれをしないことを考えなければならないのである。
 とかく様々な物事が生産的であらねばならない世の中にとって、生産的でないことは存在しないのと同じだ。あらゆるところから湯水のように出てくる新しいものに埋もれぬよう、創作はなされていかなければならない。そのような時に、創作者に残された無駄な時間はまったくない。変化は激しくスピードも速く数も量も膨大だ。その中で少しでも存在感を示すために、創作は最適解を求められる。

 ならば、そこに余計なことをしている暇がないのは当然だ。だから生産性が求められ、最適解が必要ならば「しない」領域の模索をする。それは何を創るかではなく、いったい何を創らないべきなのか、求められていないのか、より存在感を示すために無駄なものは何かを考えることである。これができるのとできないのとでは、現代におけるクリエイティブの成功率は大きく変わると言っても過言ではない。

 創作は何かを生み出すことであり、その行為はしばしば私達の心を捉えて離さない。多くの人がクリエイティブに魅了され、知らずともそれを行うことから分かるように。しかし、クリエイティブとは何かをするばかりを言うのではない。生み出し続けるということは、生み出さないものもあるということだ。そして、その創造と非創造が噛み合った時に、本当の創作というものが達成される。そのように感じるのである。

 だからぜひ、非創造的な創造を。創ることと同じくらい、あるいはそれ以上に、創らないことを注視することの大切さを知るべきである。

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