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#孤独

女もなく粗末な食事と安い酒で雑な夜を過ごす他ないという悲しみ

女もなく粗末な食事と安い酒で雑な夜を過ごす他ないという悲しみ

 酷く疲れたが誰もいない部屋で他者の労りなどあるはずもなく金がないから残業であっても自炊しなければならない。

 やる気がない。身体が重い。これはまずい。
 もういいや開けちゃおうと買ってきた安ウィスキーをタンブラーに注ぐ。喉から胃にかけて熱が入り活が湧き上がる。あぁ身体に悪い。しかし飲まねばやってられん。

 フライパンをコンロに置き具材を投入。レシピはない。適当に炒めた肉と野菜はもはや餌。フラ

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箱を開けるのが物語であると聞いたので箱を開けない話を考えてみたんだが箱を開けない事が箱を開けるという効果を発揮してしまっており結果的に言葉通りの作品になってしまった作品のうちの一つ

 部屋でくつろいでいると収納から突如異音が響いた。
 時間は深夜二時。丑三である。独り身に降りかかるホラー現象などたいていろくでもないと相場が決まっている。このまま無視して眠りたいが、それもまた死亡フラグが立つ可能性大。ひとまず現場を確認せねばならぬだろうと思い立ち引き戸を開けると見慣れぬ箱が一つ。どうやら天井裏から落ちてきたようで、薄いベニヤ板が物悲しく散らかっている。まるで俺のようだ。いつもク

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