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読書記録「夏への扉」

川口市出身の自称読書家 川口竜也です!

今回読んだのは、ロバート・A・ハインライン 福島正美 訳の「夏への扉」早川書房 (2020)です!

ロバート・A・ハインライン「夏への扉」早川書房

・あらすじ
ぼくの飼い猫のピートは冬になるときまって「夏への扉」を探し始める。彼は外へと続くドアのうち1つが、夏へと続いていると信じて疑わなかった。

かくいうぼくもまた、夏への扉を探していた。

1970年 アメリカ。D・B・デイビスの足は冷凍睡眠コールドスリープへと向かっていた。技術屋だった彼は親友と恋人の裏切りにより会社を奪われ、彼がつくった発明品までも、他の会社の手に渡ってしまった。

彼はその復讐のために30年間の冷凍睡眠をしようと考えた。年老いた二人の姿を見て、嘲り笑ってやろうと。

一度こそ馬鹿げていると取りやめようとしたところ、かつての親友と恋人の画策により、彼は2000年へと冷凍睡眠することとなる。相棒であったピートを残して…。

2000年 アメリカ。冷凍睡眠している間に大恐慌が発生し、お金を預けていた保険会社は倒産。無一文になってしまったデイビスは技術屋として仕事につく。

彼の発明品よりも、さらに優れたロボットで溢れている30年後の世界。彼が1970年に構想していた機械もまた、世に売り出されていた。設計図を作らなかったはずだが、その機械は彼が構想していたものと瓜二つだった。

特許権の取得者を見て、デイビスは驚く。なぜなら、そこに記されていたのは「D・B・デイビス」であったからだ。

彼が冷凍睡眠している間に一体何があったのか。果たして彼は、失ったものを取り戻すことができるのだろうか。

以前池袋は東京読書交換会に参加した際に頂いた書籍。頂戴してから大分時間は経ったものの、ようやく読み終えた次第。

この作品が刊行されたのが1956年。日本で言えばまだ白黒テレビや洗濯機が庶民の憧れのものであった時代である。

今の世の中はChatGPTやAIなんて当時からしたらそれこそSFのような世界ではあるものの、未だに家事を代行してくれる手足のついたロボットや、それこそ皿洗いしてくれるロボットはいない(食洗機はあるけれども)。

最近は「SF思考」というものが会社の研修でも行われるらしい。未来の言葉やキャラクターからありたい社会を考え、技術や研究に活かすというものらしい。

その点で言えば、冷凍睡眠はおろか、車は空を飛ばず、ホバーボードすら登場していない。2015年はとうに過ぎたというのに(詳しくはBTTFを)。

だが、それでも世界はより良くなっている。昔には出来なかったことが、技術の進歩によりできるようになったことが、その恩恵は多くなっている。

人間精神が、その環境に順応して徐々に環境に働きかけ、両手で、機械で、かん、、で、科学と技術で、新しい、よりよい世界を築いていくのだ。

同著より抜粋

もちろん、新しいものが生まれるたびに、失うものもある。

昔に戻りたい、子供の頃に戻りたい。そう思う時はやはりあるけれども、SFでもない限り、、、、、、、、時間を巻き戻すことも、それこそ過去に遡ることもできない。

だからこそ、未来を信じて、待つことが大切なのではなかろうか。

AIやChatGPTが仕事を奪うと言われているが、それでも世の中は仕事で溢れているし、全てをロボットに任せる世界が来る頃には、また新しい仕事ができるだろう。少々楽観的かもしれないが。

残念ながら私はAIほど優れた思考力を持っているとは思えないし、これからもChatGPTを超えるスピードを持てるとは思っていない。

だが、こんなことまで人間がやる必要あるの?と思えるようなことを、日雇いバイト時代に嫌というほど経験した。最悪、そこに戻ればいいとも。

話がまとまっていないのですが、大変面白いSF小説でした(笑)。伏線回収が秀逸で、一気に読み終えてしまう作品でした。それではまた次回!

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