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メンタルヘルス不調者の活躍を信じるためにーまずは、自分自身との向かい方を変えてみる

活躍支援型メンタルヘルス対策では、「メンタルヘルス不調になった人が120%の状態で戻ってくる」ことを信じる姿勢で臨むことが大切だと過去の記事で述べた。しかし、頭ではわかっていても、これを実践するのは、簡単なことではない。そこで今回は私がこの考え方に至った背景とその実践のためにやっていることを紹介したい。

コーチングマインドがコミュニケーションを変える

私は産業医として働く傍ら、職域におけるメンタルヘルス対策について興味があり研究をしてきたが、当初からメンタルヘルス不調者が活躍できるとは考えていなかった。しかし、コーチングを学び始めたことが転機になった。

コーチングとは、対話を重ねることを通じて、クライアントが目標達成に必要な技術や知識や考えのh根校をサポートし、行動を支援するプロセスである。

株式会社AWARENES コーチングスクール

私がコーチングを学んだのは、能力開発に関する教育を提供する株式会社AWAANESSという会社のコーチングスクールだが、コーチングにおいては、スキル以上に、コーチとしての在り方である「コーチングマインド」が重要だと教わった。いくつかあるコーチングマインドの一つに「人は無限の可能性を持っている」というものがあった。このマインドはクライアントが本気で決めれば、どんなこともできるし、何にでもなれると信じて関わることを意味する。早速、メンタルヘルス不調者に対しても、このコーチングマインドで関わって見るとどうだろうか、相手投げかける言葉が変わり、取る対応が全く違うことに気がついた。そして、このマインドで関わっていくことは自分にとっても、相手にとっても、そして他の関係者にとっても、本当に望む方向に見出すことにつながると気づいたのだ。

人にコーチングする前に、まず自分から

また、AWAANESSのコーチングスクールでは、クライアントにコーチングする前に、まず自分自身にコーチングができるようになることが求められる。つまり、自分自身に対してコーチングマインドで接し、コーチングスキルを使って本当に望む方向に自分を導いていくのだ。実際、自分自身への向き合い方が変われるということは、自分自身に投げかける言葉を変えることであり、それが日々関わる相手への言葉になるし、自分自身に対する自分の在り方が、他人と関わる時の在り方になっていることに気づく。私は、メンタルヘルス不調者の活躍を信じるには、まず自分自身の無限の可能性を信じことから始まるのだと、実態を通じて感じている。

まずは自分自身の可能性を信じることから

私達が日々対応するのは生身に人間であり、言葉や表現だけのうわべだけで相手を誘導したりすれば、どうしてもそれが相手に伝わってしまい、本人との信頼関係を構築したり、本心を語ることを難しくなる。まずは、本気で相手に対し興味・関心を示し、傾聴し、受容することがコーチングのみならず、カウンセリングやそのほかのコミュニケーションでも必要不可欠だ。そのために、まず、誰かのためにだけでなく、自分自身と向き合う時に、その姿勢でいることが、自分以外の誰かとのコミュニケーションにも表れていく。メンタルヘルス不調で苦しんでいる人とのコミュニケーションは、そうでない人と比べると、より難しくなる。だからこそ、メンタルヘルス不調者に関わる方には、ぜひ、まずは自分自身に対して、その可能性を信じて向き合うことを意識していただくことをお勧めしたい。


合同会社活躍研究所では、企業向けに活躍型メンタルヘルス対策の導入支援を行っております。ご興味をお持ちの方は、お気軽にお問い合わせください。 
<著者について>
野﨑卓朗(Nozaki Takuro)
 
日本産業衛生学会 専門医・指導医
 労働衛生コンサルタント(保健衛生)
 産業医科大学 産業生態科学研究所 産業精神保健学 非常勤助教
 日本産業ストレス学会理事
 日本産業精神保健学会編集委員
 厚生労働省委託事業「働く人のメンタルヘルスポータルサイト『こころの 
 耳』」作業部会委員長
 
 「メンタルヘルス不調になった従業員が当たり前に活躍する会社を作る」

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