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リワーク見学の勧め

以前、リワークプログラムとは、という記事を書いた際に、ぜひ見学してほしいと書いた。今回は、リワークの見学について、踏み込んでみたい。

そもそもリワーク見学は可能か?

医療リワークにしろ、そのほかのリワークにしろ、誰かの紹介や伝手がない状態で見学等を受け入れてくれるのか、不安に思うかもしれないが、ほとんどの施設で、利用を考えている本人であろうと、企業の人事担当者だろうと快くうけいれてくれることが多い。それは、受け入れる側にとってみると、利用を考えている人が見学により不安ができれば利用につながるし、いざ利用につながった後も、スムーズに利用が開始できるからであり、さらに企業の人事や産業保健職の見学は、復帰する会社・職場の様子をうかがい知ることでき、会社・職場の理解が得られることは、利用者の円滑な復帰につながるからである。
見学の際には、ホームページに記載の連絡先に、直接連絡して、自分の立場や氏名、見学目的を明確に伝えていただくと、丁寧に対応してもらえる。
企業の担当者や産業保健職なら、自身の職場の従業員が利用しそうなリワークを複数、見学に行くことをお勧めする。選択肢が増えるだけでなく、それぞれのリワークの特色が把握でき、リワークプログラムそのもの理解が深まるからである。

可能なら利用者の様子を見学させてもらおう

ひとことに見学と言っても、受け入れの施設によって、対応方針は異なる。利用者がいない施設内の見学のみの場合もあれば、見学が利用する様子を見学させてもらえる場合もある。もし可能なら、ぜひ利用者が実際にプログラムを受けている様子を見学することをお勧めする。おそらく、はじめてリワークを見る方が、それまで想像していた様子とは異っていると思う。身なりが整わない人や、いかにも精神疾患を患っていそうな顔の人はおそらくほとんどいない。むしろ、一般的な職場で働いている方の様子と遜色ない人がほとんどであり、明るく、にぎやかなことが多い。リワークについて、「作業所」とか「調子の悪い人がいる場所」というイメージを持っている方がいれば、大きく覆される経験ができると思う。

担当者の思いを聴く

見学に合わせて、プログラムの詳細の説明等についても教えていただけることが多い。その際に、疑問に思っていることをしっかり解消したうえで、担当者がプログラムを運用するにあたり、どんなことを大切にしているか、何を目的に支援をしているかを確認しておきたい。リワークの担当者の経験や職種によって、考え方や大切にしているものは異なるが、それぞれの思いを知ることで、利用した後の状況をよりイメージしやすくなるからだ。
リワークは、ただ職場に戻るためだけではなく、その先も長期的な視点で支援をしていることが多い。それを担当者の思いと重ねて合わせて理解することで、利用する本人としては、支援する側としても貴重な時間なると考える。

今回は、リワークの見学についてお伝えした。私は、駆け出しのころ、自分の担当する従業員が利用する施設を中心に、いくつもリワークを見学してきた。すべての施設で温かく迎えいれてもらい、たくさんの学びをいただいた。リワークを運営していくことは決して簡単なことではなく、経済的にも物理的にも、様々な制約があるなかで、利用者それぞれがプログラムがしっかり身につけ、職場復帰したそのあとも、安定した状態が保てるよう、様々な工夫をこらしながら、丁寧にサポートしてくれている状況を知ることできた。まさに百聞は一見に如かず。ぜひ、見学に行って、リワークの現場をしっていただきい。


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<著者について>
野﨑卓朗(Nozaki Takuro)
 
日本産業衛生学会 専門医・指導医
 労働衛生コンサルタント(保健衛生)
 産業医科大学 産業生態科学研究所 産業精神保健学 非常勤助教
 日本産業ストレス学会理事
 日本産業精神保健学会編集委員
 厚生労働省委託事業「働く人のメンタルヘルスポータルサイト『こころの 
 耳』」作業部会委員長
 
 「メンタルヘルス不調になった従業員が当たり前に活躍する会社を作る」



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