野﨑卓朗|職場復帰支援コンサルタント

合同会社活躍研究所 代表 メンタルヘルス不調になっても、その人の活躍を誰も信じる社会を…

野﨑卓朗|職場復帰支援コンサルタント

合同会社活躍研究所 代表 メンタルヘルス不調になっても、その人の活躍を誰も信じる社会を創るために、活躍支援型メンタルヘルス対策を広げる活動をしています。 問い合わせはこちら→https://kyri.co.jp/

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固定された記事

「メンタルヘルス不調になった従業員が当たり前に活躍する会社を作る」

野﨑卓朗(Nozaki Takuro) 日本産業衛生学会 専門医・指導医 労働衛生コンサルタント(保健衛生) 産業医科大学 産業生態科学研究所 産業精神保健学 非常勤助教 日本…

休めないは本当か

メンタルヘルス不調に陥ってしまった人と話をする中で、すでに日常生活に支障をきたし、仕事においても本来の職務を全うできていない状態の方に対して、休業を勧めても、「…

いつでも休める職場を作る意味

仕事は休めないというプレッシャーメンタルヘルス不調者対応をしている中で、「仕事を休めない」とか、「急に休まれると困る」という話を聴くことが多い。一方で、ストレス…

現在地を知ることが大きな一歩

メンタルヘルス不調者への対応や、コーチングのクライアントで悩みを抱えている方の話を聞く中で、意識して確認しているのが、その本人の「現在地」である。 多くの場合、…

同じ事実、異なる反応ー何がストレスを生むのかー

メンタルヘルス不調はなぜおきるのかメンタルヘルス不調は複合的な要因によって生じるが、大きな心理的なストレスはその主な要因の一つだということは異論がないと思う。原…

メンタルヘルス不調者が新しい一歩を踏み出すために

私は、メンタルヘルス不調になって休業した従業員が、体調を改善させ、職場に戻って活躍するために、仕組みづくりやそのための考え方についてお伝えをしている。メンタルヘ…

受講報告 エンパワーキッズ1dayセミナー

私が認定コーチをさせていただている能力開発会社の株式会社AWARENESSが、立ち上げた子育て支援プログラム「AWARENESSエンパワーキッズ」の1DAYセミナーに参加してきた。表…

メンタルヘルス不調者対応の現場からー体調が悪い部下に事実を伝えることの価値

先日、「最近いつも顔色が良くない部下がおり、ミスも多いし成果物もあがってこない。病院を受診したり、産業医に相談するよう提案しているが、本人は大丈夫の一点張りで、…

社内復帰支援施設を設置することの効果

私が産業医として勤務する企業で、6年ほど前から社内復帰支援施設を開設し運用を続けている。この施設は、以前から障害者福祉サービスを使った職場復帰支援事業を展開して…

メンタルヘルス不調者の活躍を信じるためにーまずは、自分自身との向かい方を変えてみる

活躍支援型メンタルヘルス対策では、「メンタルヘルス不調になった人が120%の状態で戻ってくる」ことを信じる姿勢で臨むことが大切だと過去の記事で述べた。しかし、頭では…

リワークを有効活用するために

メンタルヘルス不調者の120%の活躍につなげる活躍支援型メンタルヘルス対策において、リワーク等の利用は非常に重要な要素だと考えている。一方で、「リワークを利用して…

メンタルヘルス不調者は120%の状態で戻ってくる!

以前書いた記事で、私はメンタルヘルス不調になった人は120%の状態で戻ってくると信じているという話をした。前回の記事でははっきりと触れなかったが、私はメンタルヘルス…

メンタルヘルス不調者対応における連携について

メンタルヘルス不調者への対応においては、上司や人事だけで対応せず、産業医等の専門職との連携が重要だ。メンタルヘルス不調者対応における連携の重要性について触れたい…

メンタルヘルス不調者の職場復帰先-「原則、元職復帰」について考える

メンタルヘルス不調者の職場復帰で、職場の重要な判断事項として、復帰する職場を決めることがある。その際、重要なのは、「原則、元職復帰」という考え方だ。今回は、この…

メンタルヘルス不調者対応の現場からー休業している部下とどう接するか

以前、メンタルヘルス不調から復帰した部下に対して適切な関わりができるよう、休業中の窓口を上司が担うべきだという話をした。今回は実際に上司が窓口として、休業してい…

読書記録「今日、誰のために生きる?(ひすいこうたろう×SHOGEN)」

ペンキ画家のSHOGENさんが、ある日「ティンガティンガ」というペンキ画に惹かれサラリーマンをやめ、単身でアフリカのブンジェ村を住むことになる。そのブンジェ村では、ペ…

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「メンタルヘルス不調になった従業員が当たり前に活躍する会社を作る」

野﨑卓朗(Nozaki Takuro) 日本産業衛生学会 専門医・指導医 労働衛生コンサルタント(保健衛生) 産業医科大学 産業生態科学研究所 産業精神保健学 非常勤助教 日本産業ストレス学会理事 日本産業精神保健学会編集委員 厚生労働省委託事業「働く人のメンタルヘルスポータルサイト『こころの耳』」作業部会委員長 私が産業医になった理由 ―早くに父を亡くし、困っている人を助けたいと思った 男3人兄弟の3男として千葉県に生まれる。2歳で父が急死。高校時代に母親が体調を崩し

休めないは本当か

メンタルヘルス不調に陥ってしまった人と話をする中で、すでに日常生活に支障をきたし、仕事においても本来の職務を全うできていない状態の方に対して、休業を勧めても、「休めない」と断固として休むという選択ができない人がいる。また、休業するほどではなくても、業務負荷が高く、心身への影響を自覚している状態の方の中にも、短期的な休業や、負荷の軽減を相談することを提案しても、それを受け入れない方もいる。 今回は、体調が悪化してもブレーキをかけることができない人への対応について考えたい。 心

いつでも休める職場を作る意味

仕事は休めないというプレッシャーメンタルヘルス不調者対応をしている中で、「仕事を休めない」とか、「急に休まれると困る」という話を聴くことが多い。一方で、ストレスチェックの集団分析で、健康リスクが低い職場や、継続的に高いパフォーマンスを発揮している職場で話を聴くと、あまりこういう話はでてこない。 企業等に勤務されている方の多くは、毎日仕事をすることが当たり前になっていると思うが、病気やケガ、プライベートの事情でどうしても仕事を休まなければならないことがある。そして、ほとんど場合

現在地を知ることが大きな一歩

メンタルヘルス不調者への対応や、コーチングのクライアントで悩みを抱えている方の話を聞く中で、意識して確認しているのが、その本人の「現在地」である。 多くの場合、うまくいかない、苦しい状態をかえたい、抜け出したいと思っていても、そもそも今の自分がどんな状態なのか、そのスタート地点である「現在地」が曖昧だったりする。なぜ自分が悩んでいるのか、自分がそうとらえるのは自分のどんな信念に基づいてあるのか、そもそも自分はどんな人間なのか…。他人の意見や反応、反射的な感情に目がいき、本当の

同じ事実、異なる反応ー何がストレスを生むのかー

メンタルヘルス不調はなぜおきるのかメンタルヘルス不調は複合的な要因によって生じるが、大きな心理的なストレスはその主な要因の一つだということは異論がないと思う。原因となる事実があり、それに対してストレス反応がおき、それがメンタルヘルス不調につながるという考え方だ。日本におけるストレスチェックも、「ストレス要因」がありそれに伴う「ストレス反応」が大きくなることでメンタルヘルス不調につながるというNIOSHのストレスモデルが元になっている。 同じ事実でも異なる反応が起きるしかし、

メンタルヘルス不調者が新しい一歩を踏み出すために

私は、メンタルヘルス不調になって休業した従業員が、体調を改善させ、職場に戻って活躍するために、仕組みづくりやそのための考え方についてお伝えをしている。メンタルヘルス不調になっても、適切な療養と治療、そして職場復帰に向けた準備ができれば、それまで以上に活躍できると信じているし、事実として、私が関わった多くの方がそれを実現している。 その中でも今回は、メンタルヘルス不調になった方が、活躍するために新しい一歩を踏み出すきっかけがどんなものかお伝えしたい。 等身大の自分これは、必ず

受講報告 エンパワーキッズ1dayセミナー

私が認定コーチをさせていただている能力開発会社の株式会社AWARENESSが、立ち上げた子育て支援プログラム「AWARENESSエンパワーキッズ」の1DAYセミナーに参加してきた。表向きは子育てに関するものであるが、人材育成に直結する部分も多くあり、そこを中心に紹介したい。 子育て(部下育成)になぜ悩むのか子育てや部下育成で悩んでいる親や上司は多く、「悩みはなにか?」と聞かれれば、あれもこれもとたくさん出てくるが、「なぜ、悩むのか?」と問われ、思わず答えに窮した。悩みは、親

メンタルヘルス不調者対応の現場からー体調が悪い部下に事実を伝えることの価値

先日、「最近いつも顔色が良くない部下がおり、ミスも多いし成果物もあがってこない。病院を受診したり、産業医に相談するよう提案しているが、本人は大丈夫の一点張りで、困ってるんです。」という相談をいただいた。このような相談はメンタルヘルス不調者の現場では、比較的よくある。メンタルヘルス不調者の初期対応については下記の記事でも触れた。 上記の記事では、具体的な成果物の状況や、勤怠状況などの客観的な情報などの事実を元に話をし、上司の意見や評価は、その事実とは分けて話をすることをお勧め

社内復帰支援施設を設置することの効果

私が産業医として勤務する企業で、6年ほど前から社内復帰支援施設を開設し運用を続けている。この施設は、以前から障害者福祉サービスを使った職場復帰支援事業を展開している事業者に、従業員専用の施設の運用を委託する形で設置したものだが、今回は、この施設を設置した効果について紹介したい。 社内復帰支援施設を開設する以前から、自分が職場復帰支援に関わる従業員にリワーク等の利用を勧めたり、周辺のリワーク等の見学をさせてもらっていた。その中で、リワーク等を利用することが、復帰後の安定就労に

メンタルヘルス不調者の活躍を信じるためにーまずは、自分自身との向かい方を変えてみる

活躍支援型メンタルヘルス対策では、「メンタルヘルス不調になった人が120%の状態で戻ってくる」ことを信じる姿勢で臨むことが大切だと過去の記事で述べた。しかし、頭ではわかっていても、これを実践するのは、簡単なことではない。そこで今回は私がこの考え方に至った背景とその実践のためにやっていることを紹介したい。 コーチングマインドがコミュニケーションを変える私は産業医として働く傍ら、職域におけるメンタルヘルス対策について興味があり研究をしてきたが、当初からメンタルヘルス不調者が活躍

リワークを有効活用するために

メンタルヘルス不調者の120%の活躍につなげる活躍支援型メンタルヘルス対策において、リワーク等の利用は非常に重要な要素だと考えている。一方で、「リワークを利用しても、うまくいかないこともある」という話もよく聴く。これについて、私はリワークの活用の仕方の問題だと考える。今回は、リワークの有効活用についてお伝えしたい。 リワークにも限界がある日本においては、うつ病リワーク協会が中心になってその精度向上や普及を行っており、具体的なエビデンスも積みあがってきており、利用することによ

メンタルヘルス不調者は120%の状態で戻ってくる!

以前書いた記事で、私はメンタルヘルス不調になった人は120%の状態で戻ってくると信じているという話をした。前回の記事でははっきりと触れなかったが、私はメンタルヘルス不調に関わるすべての人に私と同じように、メンタルヘルス不調になった人の120%の活躍を信じてほしいと考えている。今回はその理由について触れたい。 誰か一人でもあきらめなかったら・・・メンタルヘルス不調者は、再発が多く、療養期間が長期にわたることも少なくない。本人も周りも「今度こそは」と思って挑戦しても上手くいかず

メンタルヘルス不調者対応における連携について

メンタルヘルス不調者への対応においては、上司や人事だけで対応せず、産業医等の専門職との連携が重要だ。メンタルヘルス不調者対応における連携の重要性について触れたい。 メンタルヘルス不調への対策は難しい。病気の診断には専門知識を要する上、仕事の内容や職場の人間関係の問題が関係してくるし、本人の認識や考え方の影響を受けからである。さらに、本人の生命や生活に関わるものであり、本人だけでなく、家族や会社にも大きな問題になるうるものでもある。 そこで、メンタルヘルス不調で重要になってく

メンタルヘルス不調者の職場復帰先-「原則、元職復帰」について考える

メンタルヘルス不調者の職場復帰で、職場の重要な判断事項として、復帰する職場を決めることがある。その際、重要なのは、「原則、元職復帰」という考え方だ。今回は、この考え方について触れたい。 一般論は、元気なったら元の戻るまず、一般論として、病気や怪我をして休んだとして、元通り回復すればまた元の職場で働いてもらう。特に異動させる理由がないからだ。しかし、病気や怪我によって、元の能力まで回復せず、元の職場で求められる仕事ができなければ、職務内容を変更させたり、異動させたりする。 メ

メンタルヘルス不調者対応の現場からー休業している部下とどう接するか

以前、メンタルヘルス不調から復帰した部下に対して適切な関わりができるよう、休業中の窓口を上司が担うべきだという話をした。今回は実際に上司が窓口として、休業している部下とどう接するかについて触れたい。 ひとりで抱え込まないメンタルヘルス不調者への対応は、決して簡単ではない。診断は変わることがよくあるし、再発も多く、療養期間も長い。対応を間違えれば、相手を傷つけてしまうこともあるし、場合によって訴訟にまで発展することもある。だからこそ、部下がメンタルヘルス不調で休業している上司

読書記録「今日、誰のために生きる?(ひすいこうたろう×SHOGEN)」

ペンキ画家のSHOGENさんが、ある日「ティンガティンガ」というペンキ画に惹かれサラリーマンをやめ、単身でアフリカのブンジェ村を住むことになる。そのブンジェ村では、ペンキ画とともに、「幸せとは何か」「人はどうしたら幸せになれるのか」を教わる。この本の前半では、その経験を作家のひすいこうたろうさんが紹介し、後半にはそれをさらに深く理解するために解説がはいっている。表紙の絵も素敵だが、語り口も柔らかくとても読みやすい一冊。 「効率よくいきたいなら、生まれてすぐ死ねばいい。お前の