読書記録「今日、誰のために生きる?(ひすいこうたろう×SHOGEN)」

ペンキ画家のSHOGENさんが、ある日「ティンガティンガ」というペンキ画に惹かれサラリーマンをやめ、単身でアフリカのブンジェ村を住むことになる。そのブンジェ村では、ペンキ画とともに、「幸せとは何か」「人はどうしたら幸せになれるのか」を教わる。この本の前半では、その経験を作家のひすいこうたろうさんが紹介し、後半にはそれをさらに深く理解するために解説がはいっている。表紙の絵も素敵だが、語り口も柔らかくとても読みやすい一冊。

「効率よくいきたいなら、生まれてすぐ死ねばいい。お前の幸せはいったいどこにいったんだ?」
「この世の中からお金というものがなくなったとしたら、あなたは生きていける人間ですか?」
「人と話すときは、その人を抱きしめるようにして話すんだよ」
「それであなたの魂は喜んでいる?」
「そこに喜びはあるの?」

ライフラインのほとんどを自然に頼るその村で、村の人たちに温かく迎え入れてもらいながら、今の日本では、あまり聞くことがない角度から、鋭い質問や言葉を投げかけられる。
村の人たちとの関わりを通じて、幸せとは、生きることとは・・・めまぐるしく変化する日々の生活の中で、忘れたり、おいてきてしまっていた大切なことに気づいていくストーリー。

そして、後半には、「幸せの翻訳家」であるひすいこうたろうさんが、解説編として、SHOGENさんの経験を生活に落とし込むために、幸せがずっと続く6つの秘訣を紹介してくれている。その中で、特に私が印象的だったのは、

「この世界で一番ゆるしがたいものは、ダメな自分」
「『ゆるせない、嫌な相手』を許すのではなく、『嫌な相手を許せない自分』を『人間らしいね』『かわいいね』ってゆるす」

という部分。先日ご紹介した『心の病気はどうなおす?』でも、患者が自分の状態を認める、受け入れるという旨の件が幾度もでてきていたが、改めて心穏やかに、幸せに生きるには、自分自身を受け入れることなんだと考える。幸せは、誰かがくれたり、してくれるものでもないし、どこに手に入れたりするものじゃなんだなと改めて感じた。
より多くの方に読んでもらいたいと感じる一冊


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<著者について>
野﨑卓朗(Nozaki Takuro)
 
日本産業衛生学会 専門医・指導医
 労働衛生コンサルタント(保健衛生)
 産業医科大学 産業生態科学研究所 産業精神保健学 非常勤助教
 日本産業ストレス学会理事
 日本産業精神保健学会編集委員
 厚生労働省委託事業「働く人のメンタルヘルスポータルサイト『こころの 
 耳』」作業部会委員長
 
 「メンタルヘルス不調になった従業員が当たり前に活躍する会社を作る」



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