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過去のあれのこと、ほら、あれよあれ。

今まで、ずっと生きていたのに全く思い出せない記憶というのはあるものです。「そんなことあったっけ?」と、本当に忘れてしまっているんです。



「あれ、あったわよね?ほら、あれ」
「あれ?あれってなに?」
「あれよ、あの青っぽいちょっと大きいあれ。」
「あーあれのことか。あったあった。確か、もう売ってないんじゃないか?」
「どっかに中古とかでは売ってるんじゃない?」
「そうだな。」
「なんか、どっかで見た覚えがあるんだけど・・・」
「あー、聡くんの甥っ子が、この前来た時にあれの小さいやつを持ってたよな?集めてるって。」
「あんなの子供が集めるわけないじゃない。今夜のせようと思ってたのよ。」
「今夜乗るって、もう20年も前の話だぞ?大丈夫か?」
「なにいってのよ。この前も使ってたじゃない。第一、聡くんなんて来てないわよ。」
「えー?来たじゃないか。お前、覚えてないのか?」
「あらやだ。あれのことも、聡くんのこともわかんなくなっちゃったのかしら」
「おまえこそ、青いあれあれって、そんなに日産ブルーバードが懐かしいのか?」
「やだ、あれって、車のことじゃないわよー。ほんとに、古いことばっかりよく覚えてんだから」






本当に「あれ」とか「それ」とか、普通に使う頻度が最近、ものすごく高くなってきてるなーと自分でも感じますが、やっぱり感覚的に生きていると増えてくるんでしょうね〜。名前って出てこないですよねー。聡くんは、本当に来てたのかなんて、きっと、そんなに大したことじゃないってことにしておきましょう。もし、器を集めているお子さんがいたとしたら、それは素敵です。




ランドリー・・・

どこか懐かしさを感じる、帰る場所としての「 写真 」「 道具たち 」を扱っております。

 [ ものがたり ] 盆暮れ正月となれば、何かをするためというわけでもなく、とりあえず帰ろうとする。でも「 帰ってきた 」と、心から深くそう感じられる場所へ、ふと帰りたいと思って振り返った時には、いつの間にか、もうその場所はどこにも無いと気づくこともある。そんな時に、何気なく撮っていた一枚の写真がその役割を果たす時があるように、家のどこかでなにか見覚えのあるような道具たちも、心の帰れる場所があるのでは?と思ったのでした。みなさんにとっての「ただいま」を、感じてもらえる体験となれたらと思います。





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