妄想童話 「黄金の木」
村人A「まだ、咲かねぇな」
村人B「んだべね。」
昔々、あるところに黄金(こがね)の花を咲かせるという木がありました。当時、花がお金として使われていたため、お金持ちになりたいという一心で、黄金(おうごん)に輝く珍しい花を手に入れようと、毎日毎日、村中の人が見に来ていました。
村人C「一体、いつになったら咲くんだべ?」
村人D「もう、ここまで来るのに一苦労だってのによー」
村人B「んだべね。」
そうなんです。村のある場所から、ここまで来るのには三里もの道のりを山を越えて来なければなりません。
村人A「これじゃ、咲いたとしても持ってけえる前にしおれるな?」
村人C「おらは、もういいや。お前に任せたよ」
村人B「んだべね。」
村人A「おう。」
こうして桜の春、日照りの厳しい夏、枯れ葉舞い散る秋、雪の冬。四季折々な歳月が繰り返し過ぎて行く中でも、一向に黄金の花を咲かせることはありませんでした。しかも、不思議なことに枯れることもなく、花を咲かせることもなく、そのままの状態で10年が経とうとしています。
村人A「・・・永いことお前さんと一緒におると、もう古い親友のように思えてしもうたよ。ここまで来る道中、今日は元気にしておるじゃろうかと、お前さんのことが、いつも心配でのう。」
村では、花はすぐに萎れてしまって扱いづらいという点から、花から茎へ、茎から石、そして銅へと、硬くて壊れにくくて、簡単に真似されない美しくないものへと変わってしまっていました。
村人A「花にはお金の価値がないからって、多くの仲間は、もうこの場所すら忘れてしまったが、私にとってはあんなすぐに消えてしまう"おあし"よりもここは大切な場所じゃよ。ありがとう。なによりもいい散歩じゃ。みんなピンピンしとる医者要らずなわしに驚いておるが、それもこれもお前のお陰さんじゃよ。」
咲くことのない黄金の花の木の青き美しさは、おじいさんの目にはどんなものよりも美しく映っていたのでした。
このレリーフ。つくば市の公園にあるのですが、よくよく見ると右下には「西田」とありました。もしかしたら統合される前にあった(?)西田中小学校の生徒さんたちが制作したものかもしれませんね。ここ一帯も、ずーーーっと昔は、もしかしたらもっと自然に溢れていた農村だったのかもしれません。こうして誰かの記憶や歴史が、形として残るのは素晴らく大切なことだなと思います。
このお話の片隅には、私の大好きなネーネーズの「黄金の花」を思い浮かべてました。いい歌ですーっ
ランドリー・・・
http://www.dagarossi.com/news_event/index.html
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