マガジンのカバー画像

鐔鑑賞日記

81
運営しているクリエイター

#鑑賞日記

古金工 アイヌ鐔?①

古金工 アイヌ鐔?①

「371g」とやたらと分厚くやたらと重い銀の覆輪がかけられた実戦に使うには向いていなさそうな山銅鐔。
家紋のような銀の紋様が取り付けられている。
アイヌ鐔によく見られる特徴に似ている気がする。
北海道のお店で購入したのでその可能性も高いかもしれません。

横85.9×縦84×耳9.9(切羽台厚7.9㎜)、371g

覆輪の接続部。

覆輪の接続部が茎孔の真下にくる鐔は多いが、この鐔は少し右方にずれ

もっとみる
平安城鐔① 鹿紅葉図

平安城鐔① 鹿紅葉図

非常に洒落ていて実に日本らしさを感じる鐔。
鉄地に紅葉と鹿が象嵌で描かれており、櫃孔を銅(鍍金)で埋めている。
横72.9mm×縦75.6mm×厚み4.2mm。時代は室町~桃山頃だろうか。

打ち返し耳の素銅短刀鐔

打ち返し耳の素銅短刀鐔

鋤出し彫により打ち返し耳を表現したと思われる素銅短刀鐔。
横53.1×縦56.7×耳厚5.0mm、切羽台厚3.0㎜

時代が良く分からないがそこまで古い物ではないように感じられ、江戸初中期頃だろうか。打ち返し耳とその溝部だけ黒っぽい時代の色が色濃く残っているのはどこか詫びがある。
茎孔周りを叩いている箇所が多く見られることから拵によく付けられていたのだろうか。

耳には1箇所繋ぎのような部分が見ら

もっとみる
古金工鐔(花弁虫散図)①

古金工鐔(花弁虫散図)①

最近少し刀装具の鑑賞記録を残せていなかったので久々に。
古金工極めの花弁虫散図鐔である。
縦76㎜、横73㎜、耳厚5㎜、切羽台厚3㎜。
材質は鑑定書では四分一とある。

縦に魚々子が入り古色が感じられる。
「花弁虫散図」という名称が付いているが、虫は蝶と蜂と思われる。
一方で描かれた草花は多い。

草花は知見がなく、どのような物が描かれているか分からないものが多い。

更に鐔全体を駆け抜けるように

もっとみる
成木鐔⑯ 刀匠鐔(鎌透)

成木鐔⑯ 刀匠鐔(鎌透)

今回紹介するのは昭和54年(己未)に作られた古刀匠鐔を写した鎌透かしの板鐔。成木氏は昭和53年から自家製鋼による鐔作りを開始している。
箱は無いが銘の形はこの時期のものと一致しているし、まず成木氏が製作した鐔で間違いないと感じる。
縦104㎜、横103㎜、厚み2㎜(耳、切羽台共)と大型。

こちらは常に見る成木鐔とは鍛が明らかに異質で、一言で言えば泥を乾燥させたような肌をしている。
爪ではじくとカ

もっとみる
古正阿弥鐔①

古正阿弥鐔①

少し前に購入してみた古正阿弥鐔。
室町時代頃の作と見られており、この時代は応仁鐔や平安城象嵌鐔など装飾性に富んだ鐔が製作されている、と見られている。

尚、室町時代から江戸後期まで埋忠派と並び長く繁栄した正阿弥派。
室町~桃山の物は古正阿弥と呼ばれている。
江戸期以降は全国各地に移り住み、京正阿弥、伊予正阿弥、阿波正阿弥、会津正阿弥、秋田正阿弥、庄内正阿弥、などなど派生。

葵の葉もしくは河骨葉か

もっとみる
古金工 家紋小物袋鐔①

古金工 家紋小物袋鐔①

室町時代ごろと思われる比較的小振りな山銅地の鐔。
小物の入れ物と家紋が高彫されたような意匠をしている。
大きさは横59.4×縦59.9×切羽台厚3.3、耳厚3.7mm。

櫃穴は山形と角形をしており、古い形状の櫃孔である事が分かる。

京金工 尾長鳥鐔① デザインについて

京金工 尾長鳥鐔① デザインについて

昨日手に入れた総鍍金の鐔に描かれた鳥が尾長鳥なのか、鳳凰なのかについて考えてみる。

因みにこの鐔は日刀保の鑑定書では「京金工」極めとなっている。
京金工は後藤や埋忠など主流派に属さない京都の金工の作を総称してそう呼んでいると思われるが、いわば「良く分からない」というのが鑑定の結果であるようにも個人的には感じられる。
刀装具も後藤や埋忠、美濃など主要流派の研究は進んでいるが、京金工や古金工など、こ

もっとみる