容原静

カムパネルラ代表

容原静

カムパネルラ代表

最近の記事

世紀末の世代に想いをよせる太田省吾の世界

太田省吾の世界観とは何か何も知らないがその脚本の舞台が京都の学生劇団によって上演されていた。観に行く。 舞台美術、映像が世界を創る。20世紀末の独自の空気。文庫本の目次と引用。世界に色があるなら灰色にもならない白色。間に繰り広げられる生命や本能や哲学に関する話。日常の何気ないシーンを切り取った、されどあの時代特有のドラマがかった場面進行。肉体の速度が緩やかに進む世界。無邪気に愉しむには分離、場面の切り取りが不適切な映像。今までの鑑賞方法では座席を占める意義に不自由さを覚えるよ

    • 何処か古典的で神話の装いを持ち合わせた古びれた異常に大きな鉄が頭のなかに有るかのように想起する。「この肉体は違う」という本格的な危機感が忌避感を呼ぶ。「この肉体は違う」とは自身の肉体とそれに纏わる様々な出来事を含む。私は現状に嫌気が差したとき、希望が空から降ってくる事を想起して、このままでは達成することは無い世迷言を思い浮かべる。それはまるで上述した鉄のような装いをしているのではないかと私は考えた。その鉄は異常だ。存在感を威圧的に示す割に何を私にもたらすかというと異質な高揚感

      • 頼りない行き先表示

        例えば身体の中に何の行き先表示もなくなってしまったときに人は死への誘惑を形にするのではなかろうか。死の匂いは耐え難いほど甘い。死に絶えたところでいったい何者が悲しむのであろうか。ふとしたときに繋ぐ糸が切れました。そうして生命は一つ名乗り難い場所へ床を移す。遠くからその光景を目にした。哀しみはない。 特別な緊張は解けました。然し人は本を読み、夜食を胃に流し込む。汗臭いからと汚れた服を洗濯機に収める。死んだ人を想い念仏を唱える。何か矢印を新設した案内表示に従わなければならないかの

        • ユートピアの入り口

          雨上がりの駐車場。大和の夜は天国と地獄の境目を予感させる。しゃぶしゃぶを食い終わり知人の車へ向かう男はiPhone8を構える。その風景が男にとって最後のユートピアへの入り口だった。会計を終えた知人が近づいてくる。知人は車の鍵を開ける。共に車へ乗り込む。二人は無言で夜の帰路につく。スピーカーから流行りの音楽が流れる。男は目を瞑る。知人は運転する。町から村へと変わる。電灯の数がガクリと減る。「この辺りで」知人は囁く。「昔若者が死んだそうだ」。それは母親の友人の娘だった。彼女は橋で

        世紀末の世代に想いをよせる太田省吾の世界

          「溶ける魚」はわからない/電車に気をつけましょう

          一度は読んでおかないとと思い「シュルレアリスム宣言」に先日目を通した。内容は忘れた。何か共感したり、よくわからないなと思った。覚えているのは同じ本の中にあった「溶ける魚」という話。自動筆記という手法で書かれたというその話はペラペラと読み進めることはできるが内容は全く頭に入ってこない。めくるめく総ての映像と存在が変動していく。何か握りしめるモノに(仮)はなく本質的な、余りにも露わな像。全生命がこのように露わな世界を想像する。そういう世界が存在してもおかしくはないはず。 e.

          「溶ける魚」はわからない/電車に気をつけましょう

          赤テントの偉大で愉快な冒険

          美しい映画をみたのだと実感するのは見る前と外の世界の明るさが違うとき。同じ色から違うモノを見いだすとき。 唐組「泥人魚」の世界は見出しあぐねる人間観を持つ人々が彼等の倫理観をそのスタイルに圧迫感を前面に押し出してこれでもかと云う程我々は我々の条理を以て世界を裁くという事を語っている。この世界を理解する人たちはどうやらこの世界にいるようで、笑みは客席からこぼれ、人々の眼はキラキラと躍動する役者たちに心奪われている。 感動はラストに待っていた。突如数分の為に世界は大きく切り替わる

          赤テントの偉大で愉快な冒険

          美しい舞台

          この世の中で美しかった舞台を教えてくださいといろんな人に聴きたいと思った。 という感覚はナイフのようにブーメランとなり、ボクの心を刺す。 総ての舞台は美しいから。 という前提はありますが、少しソレを舞台袖に隠して振り返る。 ボクの人生で観た美しい舞台。 嫌いな先輩が見せた芝居は美しかった。 凄く優柔不断で、もっと上の先輩からパワハラ受けて、パワハラを代表に告発して上の先輩が消えました。 その先輩はお世辞にもカッコいいわけではなく、色々な人から舐められていた。 その先輩が

          美しい舞台

          容原オリジナル作品

          容原静オリジナル舞台作品NO.1 『Karma Police』 2022年2月8日上演(2st) キミが自分のカルマを精算するまで何度でも。 僕たちは見逃さない。 レディオヘッド『Karma Police』のMVにインスパイアを受けて製作した作品。 karma=業をテーマに罪深いヒトの救済に光を当てた。 『さよならはいらない。また何処かで逢おう。』 容原静オリジナル舞台作品NO.2 『ノワールの娘』 2022年5月21,22日上演(6st) 『総ては恙なく厳かに終焉した。

          容原オリジナル作品

          吐き捨てるまで── 2

          モノにナロカ。 ワタシに掌がアッテ── 掌の中心に空洞がありました。 空洞が有ればナニカを埋めたく思います。 一体何を埋めばワタシの気は済むだろか。 「きっと、気は済まない。」 •••--- --- ---••• 「演出をしたいです。」 演出家の先生に紹介いただいたとき、ワタシを緊張を隠すことに必死になりながらしどももどろ想いを伝えた。 「なら裏方を勉強しなあかんな。」 それからワタシは舞台照明を中心に舞台のことを学んだ。 4年という短い期間その現場で経験を積み、

          吐き捨てるまで── 2

          吐き捨てるまで  1

          常に団体という枠組みで創作することですら、ワタシにとっては作品製作と同意義といっても差し支えない。 『容原静』、『カムパネルラ』。 この二つの看板は一つの生命体としてもう個人としてのワタシから手離れ生きている。 彼等はワタシのテンションとは無関係に創作することを止まない。 彼等を止めることはワタシに出来ぬ。 『ラブラブ、吐き捨てるようにラブ』の稽古は進む。 協調性があり舞台経験のあるメンバーによる創作は反社会的要素を一切感じさせない独独の緊張感で進む。 はじめての座組となる

          吐き捨てるまで  1

          旅はつづく

          『オレは迷惑おじさんだったし意気地なしだよ』 旅がもうじき終わる。 ヨウハラシズカにとって第10本目の舞台作品。 作品はヨウハラシズカによる氾濫で占められた 翻訳させて戴くと一人芝居。 脚本演出出演はヨウハラシズカだった。 神戸に住みながら大阪で稽古をする倒錯。 知人の少ない東京で芝居をする意味。 ただワタシはその日に向かって。 意固地に作品を仕上げようと模索した。 東京はlainがいた 渋谷 東京はボクにとっては"まっさらな皿" ワタシが今までに見た何よりも真っ直

          旅はつづく

          ダサくていい

          キモくなるくらいなら僕はダサくいたい 気持ち悪い言葉はゴメンだ 気持ち悪い奴の方が百倍マシだ 俺は気持ち悪くていい 惨めで哀れでいい そっちの方がいい 賛否両論でしょう ですがこの一生、世界が一度きりならば ワタシはその一度きりに賭けたい 駆けたい 走り抜けたい 嗚呼見識 嗚呼見栄 変わりたい 変わり続けたい 一生を生き抜きたい

          ダサくていい

          換骨奪胎

          ミイラ取りがミイラになるな 【換骨奪取】 若いうちの苦労は買ってでもしろ えらい人はいいました ワタシはそれを聞きました ワタシは何をしましたか ワタシは引き篭もりました 働きたくありません 生涯養っていただきます 一体誰にお前を養う価値があるか この乞食が乞食にだってそれ相応の覚悟があります キミには何を差し出せる 未来か 差し出した未来を一体誰が美味しいと缶ビールを天上へ振り上げるか ヒトなんて沢山いるんだよ キミなんて代わりが効くんだよ そんな現状を受け止めなさい

          換骨奪胎

          日記

          本日は諸事情で仕事がなくなった。 先方のミスではあるが、ワタシのように様々な失策を侵してきた人間にとっては些細な事。人誰しにもミスはある。しゃーなしの精神。 とはいっても今日は本当の所遅刻気味でめっちゃ急いで支度して、なんとか間に合ったと思ったら今日仕事ないよーという展開で案外びっくりした。 最初は何て事なかったが、帰り道少ししょぼーんと感じる自分がいた。 書くことでもないが、僕はかなりの社会不適合者である。 だから、このようにして再び仕事場へ向かう事ができるようになってる今

          【自己紹介】 死んだ振り

          この文章は事実に基づいたフィクションです 現実の出来事、感情に由来はしますがその時々によって記述が変更する些細さによって構成されております その点を承知の上でお読みください 容原静はボクだけだった 知る必要がない 煌びやかさがないカビ 容原静を開放する 開放に意味を求めぬ 必要に応じて行動するのみ 『かたち』 それが僕の最初の名前だった 芥川賞作家になりたかった 『容原静』 それが新しい名前となった 過去は閉ざしてる ヒトを根絶やしにした 中学までは優等生だったが高校

          【自己紹介】 死んだ振り

          世界の終末のくうき 2

          ※コレは小説です ※コレは小説です せかいには誰もいなかった みんな死んだ 終わっちまった 少女Aは目を覚ました 彼女は氷漬けにされていた 機械の不調により冷気が失われた 氷が溶けて彼女は生命を取り戻した 少女Aは自分の事を思い出しながら地上へ向かう 地上へ繋がる螺旋階段に微かな光が灯る 地下室は真っ暗だった 少女Aは暗闇に怯えた 螺旋階段を恐る恐る登っていく 扉に突き当たる 彼女は扉を開く せかいへ飛びでる そとのせかいは誰かが手入れをしたかのように整った草原で満たさ

          世界の終末のくうき 2