絶歌 読書感想

この本が出版されたとき話題になったのを覚えている。僕が産まれた頃発生した事件。場所もそう遠くない。まるで物語のような文章で描かれているが実際に起きた事件である。読んでいるだけで気分が悪くなるし理解を妨げたくなるが犯罪を起こす人間の心理とはこのようなモノであると考えると少し読む気になる。殺人を実行したモノとそうでないモノとの境はないのではないか。然し彼に染みついたカルマはそうではないと話す。未来を閉ざすのは愚かな事だ。然しそれでも尚生きていかなければならない。人間そこまで人のこと気にしてないからという気持ちになる。その裏で露悪的に消費する人もいる。僕だって消費している。その時に気分は悪くなるだろう。罪は受け入れ難い。人類皆兄弟という言葉。悪意を受け入れても生きていく。生の哲学に絡め取られたまま、死ぬまで生きていくしかない。理的な部分で統制された文章に所々理性で抑えきれぬ衝動が露出している。

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