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田舎のショッピングモールとは思えない盛況具合に軽く目眩がする。今日は日曜の朝に放送して…
パジャマを脱いで、制服に腕を通す。前髪を整えて、薄くリップを塗る。先週からコンタクトに…
「読まれた!」 ラジオネーム『影踏み単語』の名前がイヤホンから流れ込む。僕の名前だ。心…
見た目や行動は人間と遜色ない。食事は必要ないが、同じように食べ物を体内に取り込むことが…
隣の席の藤森菜々子さんはマスクを外さない。学生証の集団撮影の日はお休みで別日に撮影だっ…
爪を噛む。親指から順番に噛んでいたが、中指のターンでぺり、と音がして長く伸ばしていた爪…
放課後の美術室には絵の具の重く甘い匂いが沈んでいる。窓を開けると風が匂いを床から持ち上げ、埃と混じる。たまらなくなって廊下へ続く扉を開けると同じクラスの七瀬と目があった。 美術室は校舎の中でも少し離れた場所にあり、美術室に用事がない生徒がここにいるのはかなり珍しい。部員の誰かに用事があるのだろうかと考えたが、生憎今日は部活が休みの日で、そんな日にも絵を描きたい病気に苛まれている私しかここにはいない。 「何しているの」 見つめあうのも気まずくて、ただ疑問をぶつけたが
お別れなんだと思ったのは、一ヶ月経ってもLINEに既読がつかなくなってからのことだった。少…
もしもの話である。 頭に「仮」がつく話をどこまで鵜呑みにすればいいだろうか。 明日…
隣の席の藤森さんは、新学期の直前に左足を骨折して入院していた。聞けば階段から落ちたらし…
左手に指輪の痕を見つけたのは、二時間前のことだった。指輪を着けている姿なんて見たことが…
昔々あるところに、おじいさんとおばあさんが住んでいました。おじいさんは山へ芝刈りに、お…
僕は身体の形がほとんど存在しない状態で産まれた。肉体が十分に形成されることなく、どろど…
頭の奥がきゅうとなって、じわじわと指先の感覚がなくなっていく。心臓の音がうるさくて、かき消すように大きな声を出した。全身がふわふわと軽くなって、羽が生えたみたいだ。目の前がちかちかしてキラキラして綺麗。これが現実だなんて嘘のようだった。 「気持ちいいでしょ」 マサトの声がする。私は「うん」と答えたはずだったけれど、なんだかよくわからない音になってマサトの鼓膜を揺らした。だらりと垂れた唾液がベッドを濡らす。昨日シーツを替えたばかりだったがどうでもよかった。 「マサトも