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#いじめ

長い呪いのあとで小山田圭吾と出会いなおす|小山田圭吾は21世紀のカラヴァッジョなのか|片岡大右

長い呪いのあとで小山田圭吾と出会いなおす|小山田圭吾は21世紀のカラヴァッジョなのか|片岡大右

※文中敬称略

1 はじめに――距離と想像力遠くで誰かが苦しんでいる。わたしたちが直接現地に赴くことはできず、ただちに行動してその苦しみを解消させることなどできはしない、遠い距離の向こうのどこかで。そんな光景が突然、平穏な日常のなかに飛び込んできたなら、いったいどうすればよいだろうか。

フランスの社会学者リュック・ボルタンスキーが1993年に著した『遠くの苦しみ』(La souffrance à

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嘲笑・嘲弄は怒りの触媒

正義を盾にとって怒りを乗せるのはよくない、と先日書いた。他方、怒っている人を「○○脳」とか、「○○ガー」とか、嘲笑めいて表現するのも、私は好ましくないと考えている。一応は極端な人だけを指す言葉だとされているようだが、それでも私はこうした表現に抵抗がある。嘲り要素があるからだ。

人間はバカにされたと感じると怒る。嘲笑や嘲弄は、人に怒りを呼び覚ます。刺激する。だから、冷静に議論すべき時に、こうした嘲

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