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びわ湖長浜 KANNON HOUSE

びわ湖長浜 KANNON HOUSE

上野の不忍池のほとりにある
びわ湖長浜KANNON HOUSEが10月いっぱいで閉館になりました。
定期的に湖北の観音さまが、一体ずつ遠路はるばる運ばれ、展示されてきました。それも、とうとう、最終。トリを飾る観音さまは、長浜にある総持寺の千手観音立像です。そのお顔立ちの美しさに魅了された観音さまとお会いしたのが7月、その時から再会を待ちに待っていました。
仏像は、お堂で対面するのも格別ですが、ここ

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写経会をおこないました。

写経会をおこないました。

2020年5月24日記

『松の杜くげぬま』
という1928年(昭和3年)建築の国の有形文化財に登録された貴重なお屋敷の和室とのご縁をいただき、写経会を行いました。

7名の方のご参加がありましたが、適度な距離をおき、マスク着用にて、密にならぬよう配慮し、窓も開け放ち、換気の状態もよろしく、行えました。
小筆を握ることは久しぶりの方々も、最初は戸惑いながらも、黙々と書き進めるうちに、手も慣れてきた

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写経

写経

2020年5月25日記

一日一枚写経を始めたところ、写経を書いてみたいという声があり、写経会なるものを始めようと思います。まずは、お声をかけてくださった方々とお試し会を開催します。こんな時期なので、密を避けて、心を落ち着けて、祈りも込めて。
2018年3月に国の登録有形文化財の指定を受けた 『松の杜くげぬま』和館和室にて行うことになりました。これから、どんな展開になっていくのでしょう・・・・・・

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星と祭 番外編 二人の葬儀

星と祭 番外編 二人の葬儀

2020年6月5日記

「ああ、いま湖北の中でも、一番北にいらっしゃる山門の善隆寺の十一面観音さまがお姿をお現わしになりました。何とも言えずきよらかでお健やかなお顔をこちらに向けて、山を背にしてすっくりとお立ちになっていらっしゃる。小柄で、全身お黒く、お腰の捻りは少い」
恰も、実際に善隆寺の十一面観音さまを遠くに望んでいるような、そんな大三浦の言い方であった。
「おや、その左手に海津の宋正寺の十一

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星と祭 その拾参

星と祭 その拾参

2020年6月4日記

主人公 架山洪太郎が訪れた十一面観音の記録

13.長命寺 十一面観音立像

架山と大三浦はすぐに回廊に上がり、本堂の外陣にはいった。弁慶障子によって内陣と分けられてある。
さらに内陣に進むと、正面に礼壇が置かれ、その向うに胸ぐらいの高さの須弥壇が設けられてある。そして、その前に金色に輝いた小さい十一面観音が置かれてあった。
「なかなか美しいお姿をしていらっしゃいますね」

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星と祭 その拾弐

星と祭 その拾弐

2020年6月4日記

主人公 架山洪太郎が訪れた十一面観音の記録

12.己高閣 十一面観音立像
「あの己高山というのは、どのくらいの高さです」
架山が訊くと、
「九〇〇メートルくらいの高さではないですか。あそこに百二十幾つの伽藍があって、それを己高山鶏足寺と言っていました。明治四十一年に廃寺になり、仏像をみんな下して来ました」
その仏像が、これから開ける収蔵庫に収まっているといいことであった。

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星と祭 みはる

星と祭 みはる

2020年6月3日記

きのう医王寺に行った時のことである。あの野分に包まれた無住の小さいお堂の中で、幼く清純な、という言い方はおかしいが、しかし、そんな感じの、あの美しい十一面観音を拝んだ時、やっとのことでみはるに似た観音さまにめぐり会えた。とうとうめぐり会えた、そんな気持ちだった。
・・・・・・
自分は、現在、みはるの遺体の沈んでいる湖の岸に立ったり、湖の面に支援を投げたりすることができるよう

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星と祭 その拾壱

星と祭 その拾壱

2020年6月3日記

主人公 架山洪太郎が訪れた十一面観音の記録

11.円満寺 十一面観音立像

庫裡から本堂にはいる。本堂は外陣に当たるところには十六枚の畳が敷かれ、その奥の内陣は板の間になっていて、左右には八体ずつの羅漢像が置かれている。正面には、腰くらいの高さの須弥壇が設けられ、その上に小さい厨子が載っていて、その厨子の左右にはたくさんの小さい仏像が置かれている。厨子は小さい仏像で取り巻

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星と祭 その拾

星と祭 その拾

2020年6月3日記

主人公 架山洪太郎が訪れた十一面観音の記録

10.蓮長寺 十一面観音立像
観音堂にはいると、正面奥にお厨子があり、その前はへ畳が二十枚ほど敷かれた部屋になっていた。寺の人の手で厨子が開けられるのを、架山は観音堂の縁側で待っていた。
厨子の中から現われて来たものは、思いきって大きく腰を捻った観音さまだった。胸も、腰も、肉付きはゆたかで、目も鼻も、口許も、彫りは深くはっきりし

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星と祭 その捌

星と祭 その捌

2020年6月3日記

主人公 架山洪太郎が訪れた十一面観音の記録

9.善隆寺和倉堂 十一面観音立像
目指す善隆寺という寺は山際にあって、付近には藁屋根の農家が点々としている。寺の境内は幼稚園にでもなっているのか、すべり台やブランコが設けられてあり、十一面観音像はそれに収められているのかも知れない。
・・・・・・
「農繁期の託児所です。その時は賑やかですが、いまは静かです」
・・・・・・
「そり

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星と祭 その捌

星と祭 その捌

2020年6月2日記

主人公 架山洪太郎が訪れた十一面観音の記録

8.医王寺 十一面観音立像
間もなく、その薄の道の左手に、観音堂の建物が見えた。傍らに「国宝十一面観世音菩薩」と大きな文字を刻んだ石の碑が立っている。こうした碑が立っているところから見ると、誰でもはいって簡単に拝めそうに思われる。
「自由にはいれるんじゃないの?」
架山が訊くと、めっそうなとういうふうに佐和山は大きく首を振り、

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星と祭 その漆

星と祭 その漆

2020年6月2日記

主人公 架山洪太郎が訪れた十一面観音の記録

7.西野薬師堂(充満寺蔵) 十一面観音立像  
「右は薬師如来、左は十一面観音です」
・・・・・・
がっちりした体格の観音さまである。頭の仏面は小さく、しかも煤けて真黒になっており、殆ど彫りや刻みは判らない。いつか体だけに漆が塗られたらしく、体だけが黒く光っている。顔も堂々としており、胸のあたりも僅かに捻った腰も堂々としている。

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星と祭 その陸

星と祭 その陸

2020年6月1日記

主人公 架山洪太郎が訪れた十一面観音の記録

6.宗正寺 十一面観音坐像

秘仏のため画像なし

厨子の扉が開けられると、殆ど天井に届きそうな大きな光背を背負った十一面観音像が現れた。大きな蓮台の上に載った座像である。像の高さと、蓮台の高さは同じくらいであろうか。
像は全体が漆で黒々としている。唇だけが僅かに赤く、眼には玉が嵌められてあって、それがきらりと光っている。
「端

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星と祭 その伍

星と祭 その伍

2020年5月31日記

主人公 架山洪太郎が訪れた十一面観音の記録

5.盛安寺 十一面観音立像
微かに笑っているようなふくよかな顔である。眼は殆ど閉じられていて、二本の手は前で合掌し、その両手には天衣がかけられてある。その手とは別にもう二本の手があって、片方は杖を、片方は蓮を持っている。頭に戴いている仏面のうち頂上面だけが高い。以前はもちろん彩色してあったものであろうが、もとの色は判らず、古さ

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