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DV家庭で育った私のリアル

幼少期のことは正直覚えていない
父親の顔も名前ももう思い出せない
あまりにも過酷すぎて神経症的防衛が働いたのだと思う


むかし母子ホームにいたことと
7歳のときから児童精神科に通ってプレイセラピーを受けていた記憶と
児童心理治療施設に入所していた事実が
それが真実であったことの確かな証拠としてある

にも関わらずもう20年以上も
心の底では信じていなかった
信じたくなかった
そんな血を引いていると思いたくなんかない

父は優しかったんじゃないか、愛してくれていたんじゃないか
離婚した後に父の家にひとりで遊びに行ったこと、そのときに遊んでくれたこと
お菓子を買ってくれたこと、キティちゃんの絆創膏を買ってくれたこと
うれしかったことだけが私の記憶にあるからだ

左頬に切り傷の跡がずっと遺っているのに


3年前に意を決して大学で福祉の勉強を始めたことが
過去の事実を受け入れるきっかけになった
ほんとうに最近のこと

ずっとお世話になり続けている福祉を学びたいと思ったのはいつか恩送りがしたいなんていう格好つけた思いと
関わってきてくれた大人たちがどんな思いでどんな苦労をしてわたしの幸せを願ってくれていたか、どんな限界があったのか
積み重ねてきた不満と怒りと恨みをもう手放したかった

勉強していくうちにそんな私の欲求が叶えられていくと同時に
自分の背景も知ることになる

虐待に関する授業を選択するのは怖かったし

実際テキストを読み進めるたびに手が震え動悸が起こる

児童虐待を受けたこども
の章に書かれていた内容が
全部自分に当てはまるから

刃物を向けられたり冬にベランダに何時間も出されたり親子心中未遂も
働かなかった父親
アルコール依存症の父親
調停中に通帳ぜんぶ持って失踪した父親
養育費を一銭も払わなかった父親
失声症の母親とずっと筆談をしていた記憶
父親と母親の叫び声を聞きながら
隣の部屋に
閉じこもって泣いている妹を元気づけようと一生懸命塗り絵をしている自分の姿
どれもうっすらしたものだが
脳を締め付けるように浮かび上がった

私はDV家庭で育った

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