マガジンのカバー画像

軟水のたそがれ【フォトエッセイ】

112
毎週日曜日の夜に更新 社会心理学の立場から感じたことをツラツラと… 日常が冷たく流れてしまうその前に、身近な温もりに気づいてもらえるような、そんな文章を意識しています。 写…
運営しているクリエイター

2021年5月の記事一覧

なぜ今、社会は夜なのか

なぜ今、社会は夜なのか

現代の音楽シーンでは、"夜"が1つのトレンドになっていると感じます。

YOASOBI、ずっと真夜中でいいのに。(ずとまよ)、ヨルシカなどが、若い世代を中心に大人気。

■2017年デビューの「ヨルシカ」

ヨルシカの由来は「夜しかもう眠れずに」

■2018年デビューの「ずっと真夜中でいいのに。」

歌詞の一節のようなこのアーティスト名には、「僕らをすべて黒く塗りつぶす」という意味もあるそうです

もっとみる
夜に流され溺れていたあの頃

夜に流され溺れていたあの頃

最近は、20歳前後の記憶を思い起こすことが多い唐澤です。

あの頃は、夜の波に揺られて、世間の中をふらふらと漂っていたように思います。

18歳の頃に新潟から上京したけど、目指すべきものがあったわけじゃない。

大学で環境倫理を学びたくて工学系の学部に入ったけど、ホントに学びたいことはもっと社会学的な分野だと気づいたのは、3年生の頃。

大学という狭い社会の中で同級生と戯れることに、つまらなさを感

もっとみる
はたして僕らは渇く前に溶け合えるのだろうか

はたして僕らは渇く前に溶け合えるのだろうか

「自分や相手を想いきることに誠実でありたい」と、僕は志している。

まだまだ発展途上ではあるのだけれど…

淡々とした日常に冷たく流されてしまわぬよう、感性を研ぎ澄ませておきたいのだ。

だからこそ『自分以外の人を想う時間』を、忙しない日常の中に留めておきたい。

日頃からどれだけ他者を想っていたとしても、実は自分の想いを相手に投影してしまっているだけ…ということが多分にあるからだ。

それは自分

もっとみる
雨で流れた地面が固まるような心の豊かさを求めて

雨で流れた地面が固まるような心の豊かさを求めて

子どもの頃を思い返すと、僕はよく泣いていた。

片思いの恋が、実らなかった時。

テレビドラマを観て、感動した時。

自分の気持ちが、親に伝わらなかった時。

サッカーの試合を観て、応援しているチームが逆転勝利した時。

その涙の理由は、悲しみや怒り、喜びや恐れなど様々だったように思う。

きっと僕らの心が滲むのは、明るい気持ちが暗く変わったり、暗い気持ちが明るく変わったり、何らかの『移り変わり』

もっとみる
視線を合わせ、共に感じることで深まる己の価値

視線を合わせ、共に感じることで深まる己の価値

「安心よりも大事なものは、安全である。」

僕たちはこんなに大切なことを忘れ、利他的な行動よりも自己保身を優先する方向へと、いとも容易く流されてしまう。

本日問いかけたいことは、安心・便利・快適な環境下で、はたして『信頼関係』は育まれるのかどうか?という問題だ。

「安全を守る人」がもし安心しきってしまったら、安全が守られることはないだろう。

群れを成す動物は、周りへの警戒を怠らず、自分が安心

もっとみる