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”規格外”が未来をつくる~持続可能な農業から学ぶ教育

教育は未来づくりだ。学校教育に携わる私は、よりよい教育がよりよい未来をつくると信じている。しかし教育はその質によって、未来を壊す力にもなる。よりよい未来のためによりよい教育をしたい。では「よりよい教育」とはどのようなものだろうか。

近年、持続可能な農業が注目を集める。世界人口が増加して食料需要が増す一方、農業に必要不可欠な「土」は年々劣化が進んでいると言われる。一説には、土はあと60年しか使えないそうだ。農作物の大量生産のために使われる農薬や肥料が土を殺し、農業を持続不可能なものにしてしまっている。この状況の改善を目指したのが「持続可能な農業」である。農薬や肥料を極力使わず、土や植物の力を信じて待つ。

農薬や肥料を使えば、確かに”きれいな商品”を”大量”に生産することはできるだろう。しかしこれは”今”の需要を満たすためのものでしかない。一方、農薬や肥料を使わずに実った野菜は”規格外”かもしれない。だが規格外の形をした野菜が”規格外”のおいしさを秘めているかもしれない。そして何より、農業が、土が未来につながる。

教育も同じだ。子供たちの持つ力を信じず、農薬や肥料=大量の”わかりやすい”説明やブラック校則のような厳しすぎる生活指導を使えば、一見”きれいな”子どもや集団ができあがる。しかしこれは「先生の言うことを聞くだけ」の子どもをつくっているに過ぎない。今、教員や保護者、地域の大人が満足するためだけの教育だ。未来はつくれない。子供の力を信じ、与えすぎずに待つ。そうすることで「先生の言うことを聞くだけ」でない”規格外”の子どもが育つ。”規格外”の子どもがたくさんいたら、授業や集団運営は大変だ。しかし”規格外”の子ども達こそが、このVUCA時代を切り拓き、よりよい未来をつくる原動力となる。

たかが一教員に過ぎない私自身の力では、よりよい未来は作れない。しかし私の畑で育った”規格外”の子どもたちが、きっとよりよい未来をつくってくれる。彼らがつくるよりよい未来を信じて、「持続可能な教育」を実践していきたい。

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