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緊張やプレッシャーの対処法

 発表会や試合の直前、人という字を手のひらに書いて飲み込むおまじないをしたことがあるでしょうか?
緊張を緩和するためのおまじないですが、最近あまり聞くことがないので
古すぎるんですかね…
私は緊張しやすいほうだから、
このおまじないでお腹がパンパンになるぐらい
何百人も飲み込んできました(効果を感じたことはありませんが…)。

そんな私が中学生の頃、先輩とペアを組んでテニスの試合に出場したとき、

「先輩に迷惑かけないようにいいプレーをしよう」

と思えば思うほど、ガチガチに緊張してしまい、
頭が真っ白になって一瞬で試合が終わってしまったことがありました。
試合内容は全く覚えていませんが、号泣しながら先輩に謝罪したことは
覚えています。

心臓に毛が生えているようなメンタルの天才でない限り、
少なからず私のような経験をしたことがあるのではないでしょうか。

なぜ緊張するのか

そもそも、人はなぜ緊張するかというと、

良好な結果を得たい

という前向きな気持ちがあるからです。

どうでもいいと思ったり、
あきらめたりしている心理状態では
緊張感やプレッシャーは襲ってきません。

テスト前に緊張するのは、勉強した成果を出していい点数をとりたいから
高校受験に緊張するのは、努力の成果を出して合格したいから
試合前に緊張するのは、
苦しい練習に耐えて身につけたものを全部発揮して試合に勝ちたいから

緊張しているときは、心拍数が上昇し、体の筋肉がガチガチに固まって、
心理状態もネガティブになりがちですが、
このように緊張の原因はポジティブなものが多いことがわかります。
そう考えると緊張というのは、そこまで悪いものとは思えません。

逆に
勉強を全くしていない人は、
テストで結果が出るわけがないとあきらめているので緊張しませんし、

試合に勝ちたいと思っていなければ
プレッシャーを感じることはありません。

むしろ緊張していないほうがネガティブな感じがします。
確かに、緊張していなければ心理的な圧迫がないので快適に過ごせますが、
ある程度、緊張感がないと心も体も弛緩して
低調なパフォーマンスになってしまうことがわかっています。

このように比較すると緊張している心理状態はそんなに悪いものではありません。
むしろ適度な緊張感があるほうが、
ハイパフォーマンスを発揮することができるので、
緊張している状態は良好な心理傾向にあるというふうに
意識転換したほうがいいんです。


だから、
緊張しない方法を探るのではなく、

緊張やプレッシャーを認めて、コントロールする方法

を考えたほうが現実的で、効果的だと思いますので、
それをふまえて、緊張やプレッシャーの対処法をいくつか紹介します。

緊張やプレッシャーの対処法

①緊張する原因がポジティブな理由であることを理解する

 まず前提として重要なことは

緊張は敵ではなく
むしろ自分のパフォーマンスを維持、または、向上する味方になること

を理解することです。どんな人でも緊張はしてしまうので、この前提がないと、いくら対処法があったとしても意味がありません。

私は教員の頃、
テストや試合前になると極度に緊張してしまう生徒に対して、

「いい心理状態やな~、頑張りたいって思っているから緊張するんやで~」
「本気でがんばってきたんやな~、
 本気でなかったら緊張せぇへんもんな~」
「願いを叶えたいと本気で努力してきたことがよくわかるわ~」
「その緊張の強さは君のがんばってきた証やな~」
「緊張と戦うレベルまで成長したんやな~うれしいわ~」
「逆に頑張りたいと前向きに思っていなかったら、
 こんなに緊張しないんやから、むしろ緊張は君の味方やで~」

などの声かけをしていました。
もちろん、テストや試合直前にこんなことを言っても効果はないので、
前もってアドバイスをして冷静に自分の心を見つめられるように
促しました。
大切なのは緊張に対して悪感情をもたないようにすることです。

②不安をノートに書き出す

これは、私が最もおススメする方法です。

シカゴ大学でこんな実験がありました。
期末試験の直前に10分間の時間を与えて、
次の試験科目のどの部分にどのように不安を感じているか
具体的に書き出させました
その結果、緊張感がほぐれて10%ほど点数が向上したそうです。

このような確固たるエビデンスがあることから

「不安を書き出す」

だけで、かなりの効果が期待できそうです。

 実際数年前、私が教員の頃、研究発表をする機会があり、
その直前にどうしようもない極度の緊張感と不安が襲ってきたので、
上記のことを思い出し、そのときの心情を細かくノートに言語化しました。すると気持ちに余裕が生まれて、
自分なりに満足のいく発表ができ、
かなりお手軽で、かつ、効果的な対処法だと感じました。

 また、テストで緊張してしまう生徒に対しては、
不安をノートに書き出すようにアドバイスしました。
すると、だいたいどの生徒も同じような内容の不安を書き出し、
書いた後、表情が少し和らぐので安心しました。

 ・いい点数とれなかったらどうしよう
 ・解けない問題が出たらどうしよう
 ・点数が悪かったら親に怒られるかも
 ・苦手な分野が出たらどうしよう
 ・思ったより勉強できなかったから、できるかな
 ・志望校を受験できなくなったらどうしよう
 ・覚えたことが思い出せなかったらどうしよう
 ・試験中、頭が真っ白になったらどうしよう
 ・トイレに行きたくなったらどうしよう

いつもならテスト前に泣き出してしまうぐらいの緊張感に悩んでいた生徒も、緊張が緩和できて勉強もいつもよりスムーズに進めることができたと
喜んでいました。

 ただここで、重要なことは本人が自分で考えて自分の言葉で言語化する
ことです。
最初は自分の不安を言語化できない人もいるかもしれませんが(言語化できないこと自体が不安の場合もあります)、
そんなときは少しだけ上のような例をあげて

何でもいいかから、
文章にならなくてもいいから、思ったことをそのまま書く

ようにすればいいんです。他人が見てわからなくても本人が不安の正体を
わかっていれば問題ありません。

 それでも緊張がひどい場合は、テスト以外のすべてのことにおいて、

自分にとって最も不幸なことは何か
(例:自分も含めて親しい人物が突然亡くなってしまうことなど)

を言語化し、それをテストの不安と比較します。
そうすれば、テストで、もし不安が的中したとしても
その人にとって最悪の事態ではないと認識できるので、
緊張がほぐれてくるはずです。

③無理やり笑顔を作る

「楽しいから笑顔になる」「幸せだから笑顔になる」
と多くの人は感じていると思いますが、実際は逆で

「笑顔を作ると楽しくなる」

というのが脳科学的に正しいんです。

緊張しているときは不安なので、
表情も暗かったり、しかめっ面になったりしてしまいます。

そんなときこそ、あえて空元気を出して笑顔を作るんです

笑顔を作ると

脳が「あっ、今この人楽しいんだ」

勘違いしてドーパミンという〔快楽〕に関係した神経伝達物質を分泌するので、不安が解消されていくんです。
それだけで不安が解消されるなら利用しない手はないでしょう。

昭和のスポ根全盛期だったら、部活の練習中に笑っていると

「何、ヘラヘラしてんねん!真剣に取り組めや!」

と、激をとばされるところですが、
このエビデンスをみる限り、完全に逆効果ですね。

ピンチにスマイル

が、脳科学的に有効ですから、
緊張しているときこそ笑顔を作って、表情からほぐしていくことを
おススメします。 

④チャレンジ精神へ

 ある程度、緊張やプレッシャーを
コントロールできるようになってきて、

「努力の成果を出したい」
「頑張りたい」

という気持ちから

「自分の力を全部ぶつけて挑戦してみよう」
「1つ上のレベルに挑戦してみよう」

というチャレンジ精神が生まれてくれば、
よりハイパフォーマンスが期待できます。

今までの対処法は緊張を抑えるためのものでしたが、
チャレンジする心境になれば緊張を乗り越えて、
その緊張を生かそうとする能動的な行動になってきます。
ここまでの心境に達したら、
緊張感を楽しむことができるようになるでしょう。

今、自分がもっている力をすべてぶつけよう

という気持ちがあれば、
たとえ、うまくいかなかったとしても
全力を出し切れた達成感充実感が生まれ、
後悔は少ないと思います。

緊張の対処をするという受動的な行動から、
自らチャレンジするという能動的な行動に変化するだけで、
心のステージが1段上がります。
このことを知るだけでも緊張からの解放はもう目の前です。

まとめ

・緊張は敵ではなく、味方であること
・不安は言語化して書き出すこと
・笑顔を作ること
・チャレンジすること

以上が緊張やプレッシャーの対処法です。

他にもガムを噛んでいる
心拍数が安定し、平常心を保つ効果があるようですが、
さすがに高校入試などでクチャクチャ、ガムを噛みながら
テストを受けることは難しいですよね…


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