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最近の夢はどれも【一二〇〇文字の短編小説 #1】

薄暗い部屋でベッドに横たわって天井を見上げながら、ジャスティーンは考える。最近の夢はどれも気分がいいものではない。探し物が見つからなかったり、何かの獣から逃げられなかったり、目的地にどうしてもたどり着かなかったり、電車に乗り遅れたり、どうにも寝覚めが悪い。

人生がうまくいっていないわけではない。四年前に自分でロンドンに立ち上げた美容院は順調だし、趣味のガーデニングも楽しめている。黒雲がわき起こるような夢はそれほど気にならない。けれども、「予言夢」という言葉がある。少しだけ不安になる。

いまさっきは、恋人のデーモンが交通事故で亡くなる夢を見ていた。かすかに胸騒ぎを覚えたジャスティーンはベッドから起き上がり、立ったまま煙草に火をつける。猫っ毛の髪がいつもより乾いている気がする。スマートフォンの時計は六時十五分を示していた。六月十五日はデーモンの誕生日だ。

夢のなかでジャスティーンは道路を横切るデーモンが車にはねられるのを見た。デーモンが倒れた瞬間、ジャスティーンはこれは夢だと気づいたけれど、横にいた老人から「彼はもう死んだよ」と告げられた。夢だとわかっていながら、胸が苦しくなった。

アパレルメーカーに勤めるデーモンはまだ寝ているだろう。気が引けたけれど、不安を拭い去るためにデーモンに電話をかけた。ちょうど十コール目で電話に出たデーモンは眠そうな声で言った。

「どうしたんだい、こんな朝早くに」

「ええと……急に声が聞きたくなって」とジャスティーンは嘘をついた。

「それはうれしいけど、時間を考えてくれよ」

「そうよね……ただ、変な夢を見たし」

「それにしても、まだ寝ている時間だよ」

「ごめんなさい」

「で、変な夢ってどんなものだったんだい?」

ジャスティーンは迷った。口に出すと、夢が現実になるのではないかと気がかりだった。「ええと……」と言って少し黙っていると、今度はデーモンが切り出してきた。

「実は僕も嫌な夢を見たんだ」

ジャスティーンは「変な夢」と言ったのに、デーモンは「嫌な夢」と言った。

「僕たちが結婚している夢だ。子どももいる。女の子だ」

デーモンはしばらく沈黙する。ジャスティーンも何も言わず、また煙草に火をつけた。

「僕たちの子は」とデーモンはまた口を開く。「五歳くらいだったと思う。僕が目を離したせいで、川で溺れてしまった。僕と君は慌てている。でも、そこで君から電話が来て夢は終わった。だから、助けられたかどうかはわからない」

ジャスティーンは「心配しないで、あくまで夢よ」と答えた。デーモンは「そうだよな。僕たちはまだ結婚していないんだし」と返事をした。ジャスティーンは、でも急に腹が立った。なぜそんなことをわざわざ言うのかしら。もう一度「心配しないで」と伝えたあと、すぐに電話を切った。最近の夢はどれも気分がいいものではない。

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